Amazon AWSとは?
AWS(Amazon Web Services)について調べていると、
知りたい情報が見つからなかった
という経験をした人は少なくないはずです。そこでこの記事では、AWSでできることやパブリッククラウドの現状を理解し、AWSエンジニアになる方法をお伝えします。
AWSはAmazonが提供しているクラウドサービス
「AWS」とは、Amazonが提供するクラウドサービスの総称です。そもそもはAmazonのインフラを支えるために作られたものですが、他社にも提供しようと2006年7月に公開されました。
利用しているのは、「インターネット上で何らかのサービスを提供したい」、「インターネット上にデータを保存しておきたい」と考える企業や個人です。
AWSの基本サービスは、レンタルサーバー、データベース、ストレージを利用したデータ保存、画像認識などです。サービスの種類は大きく分けて100以上、細分化すると700以上もあり、今現在も増え続けているそうです!
種類が多くて便利な反面、多過ぎて全体像が見えにくく、具体的にどんなことができるのかがわかりにくいという一面もあります。
パブリッククラウド市場の現状と展望
そもそも「パブリッククラウド」とは、企業や個人など不特定のユーザーに、サーバーやストレージ、データベース、ソフトウェアといったクラウドコンピューティング環境をインターネットを通じて提供するサービスのことです。AWSのほかにも、Google Cloud Platform、IBM Cloud、Alibaba Cloudといったパブリッククラウドがあります。
総務省の「平成30年版情報通信白書」によると、企業におけるクラウドサービス利用状況は56.9%で、2016年から大幅に増加しています。そのうちの85.2%がサービスの効果を実感しているといいます。
パブリッククラウドを利用している理由で最も多いのは、「資産や保守体制を社内に持つ必要がないこと」(45.2%)です。「どこでもサービスを利用できる」(34.8%)という利便性も支持されています。
現在、官公庁をはじめ、多くの企業、医療機関、大学がパブリッククラウドの導入を進めています。IT専門調査会社IDC Japan株式会社の「国内パブリッククラウドサービス市場予測」によると、2018〜2023年の年間成長率は20.4%で推移し、2023年の市場規模は1兆6,940億円になると予測しています。
パブリッククラウドは今後主要なサービスとなっていく可能性が高く、その中でも代表的なサービスであるAWSは、この先業界・業種問わず広く利用されていくことが予想できます。
AWSで「できること」は?

さてここで、AWSで「できること」の中で特にニーズが高いものを5つ、ピックアップしてご紹介します。
Webサイト・Webサービスの構築・運用
主に使うサービス/Amazon EC2、Amazon Lightsail
「Amazon EC2」などを使い、サーバーを構築し運用します。WindowsやLinuxといったOSが選べたり、Core数やメモリ内容が選べるインスタンスタイプ、サーバーにアクセスするポートを設定するセキュリティグループなど、幅広いカスタマイズが可能です。早ければ5分程度でサーバー構築が完了するスピーディーさも魅力です。
「Amazon Lightsail」では、事前に設定されたWordPressなどのアプリケーションを使って、WebサイトやWebアプリをたった数クリックで作れます。
データのバックアップ・災害対策
主に使うサービス/Amazon S3
オンラインストレージ「Amazon S3」は、データのバックアップや復元、分析などに活用できたり、インターネットを経由してさまざまなデータを保存できます。
コンソール画面上のほか、AWS特有のコマンドを使ってサーバーやローカルPCから保存する方法もあります。「S3」はSimple Storage Serviceの頭文字からきており、また、Amazon S3のようなクラウド上で提供されるソフトウェアを「Saas」と呼びます。
ビッグデータの蓄積・分析・運用
主に使うサービス/Amazon EMR、Amazon Redshift、Amazon Kinesis
顧客情報やIoTデータといった、企業が扱う膨大なビッグデータの蓄積から分析、運用までを、いくつかのサービスを併用して実現できます。
「Amazon EMR」は、ビッグデータの分析処理に優れたサービスで、機械学習、データ変換(ELT)などによる解析まで可能です。Amazon EC2やAmazon S3を用いてデータを蓄積し、Amazon EMRと連携すれば効率よくビッグデータを解析できます。
そほか、「Amazon Redshift」や「Amazon Kinesis」といったサービスもあります。
基幹・業務システムの構築
AWSは、顧客管理や販売管理、給与計算といった基幹・業務システムの構築にも使えます。会計システムや給与システムをAWSに移行した結果、ハードウェア切れやサイジング等の課題から解放され、運用管理がとてもスムーズになったという企業もあります。
ほかにも物流管理システムやトレードシステムなど、ジャンルを問わず、多くの基幹・業務システムの構築に使われています。具体的な導入事例はこちらをご覧ください。
参考:基幹・業務システム用途でのAWS国内導入事例 https://aws.amazon.com/jp/solutions/case-studies/backbone-system/
統合開発環境(IDE)の構築
主に使うサービス/Amazon Cloud9
「Amazon Cloud9」を使えば、Google ChromeやSafari、Firefoxといった各種ブラウザ上で動く、快適な統合開発環境を構築できます。Amazon Cloud9は40以上のプログラミング言語をサポートしており、それぞれの言語を扱うのに必要なツールがパッケージ化されているうえ、リアルタイムでコードチェックが可能です。
チャット機能も組み込まれているため、何人ものメンバーが絡む開発現場でも快適に作業を進められます。また、クラウド上で動くサービスなので、自宅や旅先、海外からでも利用可能です。
さらに、Amazon Cloud9自体の利用は無料なんです!

AWSの導入事例

AWSのサービスを複数組み合わせると、より便利なサービスを作ることができます。ここからは、代表的なサービスの利用例を紹介しましょう。
シャープ株式会社
IoT家電を快適に利用するため、AWSを導入しています。
“ヘルシオをはじめとした AIoT 家電を利用するユーザーが、ストレスなく安心してCOCORO+のサービスを利用できるようにするためには、信頼性や安定性が高く、レスポンスも十分なクラウドインフラの確保が不可欠でした。”
世界中のユーザーからアクセスが一気に集中しても、AWSのインフラは十分なレスポンスを返し続け、問題なく運用ができたとのことです。
任天堂株式会社、株式会社ディー・エヌ・エー
任天堂とディー・エヌ・エーは協業で、スマートデバイス向けゲーム「Super Mario Run(スーパー マリオ ラン)」を開発しました。iOS版では150もの国と地域を対象に配信するにあたり、以下のような課題がありました。
“堅牢なシステムインフラを極めて短時間に構築することが必要でした。”
そこで、
“クラウドであればピーク時の負荷にも柔軟に対応でき、コストの最適化という意味でも大きなメリットになると考えました。
(中略)DeNAがオンプレミスで実績を積んできたアーキテクチャーを、そのままクラウド化できることでした。”
という理由から、AWSを利用することに決めました。
株式会社ジャパンネット銀行
ジャパンネット銀行はネット専業銀行として、インターネットを通じて320万の個人・スモールビジネスの顧客にサービスを提供していましたが、サーバー老朽化、OSの保守切れといった問題を抱えていました。そこで、他のネット専業銀行でシステムの移行実績があったことからAWSが選ばれました。
“「以前より金融機関でのクラウド活用の事例は聞いていましたが、2014年にソニー銀行様が行内システムのAWSへの移行を発表されたことには触発されました」(出口氏)”
導入した結果、最短で構築できたうえにコストを抑えることができました。さらに、規模変化への柔軟な対応や、災害対策の実現を可能にしました。
なかでも費用面での効果が大きく、固定費が変動費に変わったため、データセンターの運用やハードウェアの購入費、保守費用などが削減されたそうです。
Retty株式会社
元々VPSサーバーを使用していましたが、サービスの急成長に伴い「少人数でもスピードを落とさず、スケールさせる基盤が必要」になったため、クラウド環境への移行を検討し始めました。そして、以下の理由によりAWSの利用を決めました。
“マネージドサービスの充実度、APIの充実、質の高いユーザーコミュニティから提供されている資料やツールによる運用ノウハウの蓄積。中〜大規模なWebサービスを運営するにあたって他のクラウドサービスには無い恩恵にあずかる事ができる基盤ということで決定しました。”
利用開始時からユーザー数が10倍以上になった今も安定可動できており、AWS利用のメリットを感じているようです。
全日本空輸株式会社(ANA)
ANAでは、ビッグデータを人工知能(AI)や機械学習などの最新デジタル技術に融合させることで、分析業務の大幅な効率化・高度化を狙いました。これらを実現させるためは、「柔軟性と拡張性を備えたデータ分析基盤が必須」と考え、Amazon RedshiftとAmazon EC2、Amazon S3、Amazon Auroraなどを採用しました。
その結果、AWSをこのように評価しています。
“オンプレミス環境で運用してきたデータ分析基盤を、大きなトラブルなくクラウドに移行できました。
(中略)ヘビーユーザーほど「レスポンスが速くなった」「使い勝手が良くなった」と実感しているといいます。さらに今後、分析業務の効率化や高度化が進んでいくことも期待されています。”
上記に加え、ディスク容量の拡張、バッチ処理の長時間化、運用業務の負荷などのAWS導入前の問題点も解消され、快適に運用ができているとのことです。
AWSを使う「メリット」とは?

AWSを使うメリットには「費用」、「高機能」、「スピードの向上」が挙げられます。具体的にはどんなメリットがあるのかを、説明していきます。
コストの最適化(従量課金制)
AWSの利用は、初期費用が不要で、利用した分だけ料金が発生する従量課金制です。一般的なレンタルサーバーの場合、通信量に関わらず毎月一定の料金がかかりますが、AWSは使った分だけ支払えばいいので、コスト削減が期待できます。
信頼性・セキュリティの高さ
16年以上に渡り大きなトラブルなく運営してきたAmazonが提供しているため、信頼性の高さと、セキュリティの高さが人気の理由です。
柔軟性・拡張性の高さ
100以上のサービスを提供しており、あらゆる場面で利用できる柔軟性があります。また、サービスによって、規模を簡単に大きくしたり小さくしたりできる拡張性の高さがあります。
使用するデータの容量が大きくなったり、サービスの規模が大きくなったのでサーバーの規模を倍増させたくなったとき、一般的なサーバーなら時間や経費などのコストがかかりますが、AWSなら素早く低コストで対応できるのです。コストをかけずスピーディ、これは大きなメリットです。
導入スピードが速い
新たなサービスの申し込みや容量の追加がすぐにできます。サーバーを選定したりHDD容量の検討のような煩わしいことは一切なしで、すぐに対応してくれるのでビジネスチャンスを逃しません。
パフォーマンスの安定
常に最新のハードウェアへアップグレードされます。サーバーの安定感や反応速度が安定しており、質が常に高く保たれています。
オンプレミスからAWSに切り替えた企業では、パフォーマンスが安定した、業務スピードが改善したと回答している例は少なくありません。
AWSを使うデメリットとは?

サービスが豊富すぎて選定が難しい
対応できるサービスが豊富で何でもできてしまうため、どのサービスを選べばいいのか、どのようにサーバーを構築すればいいのか、専門知識やノウハウが必要になります。拡張性の高さが、逆にデメリットになっています。
毎月の料金が把握しにくい
従量課金制なので、毎月の費用が一定ではありません。例えば、 Webサイト構築のためにAWSを利用しており、テレビに取り上げられてバズったらアクセスが集中し高負荷がかかって料金が跳ね上がる……という懸念があります。
AWSに切り替えた多くの企業がコストが下がったと回答していますが、費用が固定ではないからこそ、毎月の料金が把握しづらいのは確かです。
障害・トラブル時には自己解決が必須
AWSが提供するのはインフラのみで、障害やトラブルが起こった時の対応はしてもらえません。実際、2019年8月にAWSに大規模障害が起こったとき、さまざまなサービスで緊急メンテナンスの必要が生じて、多大な影響がありました。
そんな時のために、障害対応の備えをしておかなければなりません。
AWSエンジニアの需要はあるのか?

市場での需要が右肩上がりのAWS、導入時はもちろん、トラブル発生時は自己対応が必要ですから、AWSを扱うエンジニア(以下、AWSエンジニア)の需要は高まっています。
実際、主な求人サイトでAWSエンジニアの求人数を調べてみると、以下の通りでした。
- 求人ボックス 14,136件
- doda 1,966件
- 3,528件
(いずれも2020年4月21日現在)
合計で20,000件近い求人があり、AWSエンジニアは名実ともに非常に需要が高い職業と言えます。収入面でも優遇されており、年収500万円以上を提示する企業が目立ちます。


AWSエンジニアの仕事内容はインフラの構築がメインです。現状、インフラエンジニアやネットワークエンジニアでAWSに関する知識を持っているエンジニアが、関連業務を担っていることがほとんどです。
実際、AWSはサービスの数が多いため、使いこなすには知識と経験が必要です。
AWSの使い方はどう勉強すればいい?

AWSエンジニアになるには、どのような方法で勉強すればいいのでしょう? 具体的な方法を3つ、ご紹介します。
AWSの基礎部分から学習したい人:入門書を使う
AWSエンジニアには、高い専門性が必要とされます。サーバーやデータベースの知識は必須なうえ、AWS独自の専門用語が多く、慣れるまではなかなか手強いかもしれません。
まずは、入門書を購入し、初歩的なところをしっかり抑え、徐々にレベルアップしていきましょう。
おすすめの入門書は「Amason Web Services 基礎からのネットワーク&サーバー構築 改訂版」です。
AWSの使用をイメージしながら学習したい人:AWS入門サイトを使う
二つめは、入門サイトで勉強する方法です。動画を見て勉強するサイトや、スライド形式の解説を読んでから設問を解いて学習を進めていくサイトまで、さまざまな入門サイトがあります。
実際にAWSの画面を見ながら操作や技術を学べるので、操作感がイメージしやすいのが特徴です。おすすめの入門サイトはこちらを参考にしてください。
どのサイトも基本的には無料で使えるので、閲覧してから自分に合ったサイトを選んでくださいね!

「AWSを仕事にしたい!」という人:スクールでプロに習う
「AWSを使ってアプリ開発をしたい」というように、AWSを本気で仕事にしたい方は、スクールでプロに教わるのが断然おすすめです。AWSを使った仕事は、実際にAWSを仕事にしているエンジニアに習うのが一番の近道だからです。
スクールの講師は現役エンジニアが務めていることが多く、スクールによっては、転職先やフリーランスとしての案件を紹介してくれるところもあります。本気でやりたい方ほど、スクールに通うのをおすすめします。
まとめ

100以上のサービスがあり、いろんなことができるAWSには認定資格があり、AWSを利用したクラウドの専門知識を証明してくれます。レベル別、役割別、専門分野別に11種類用意されており、必要な知識やスキルを効率よく学べます。
3つの学習法の中から自分に合った方法で学んだら、資格取得にチャレンジするのもおすすめです。
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プログラミング学習の挫折率は約90%と言われています。学習を成功させるには、モチベーションを維持して成長を実感できる環境が必要です。
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