プログラミング学習をしているなかで、「フレームワーク」という単語を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか? 特に、Rubyのフレームワークである「Ruby on Rails」は、日本でも大人気です。
Ruby on Railsってどんなものなんですか?
という方もいらっしゃるでしょう。そこで今回は、大人気フレームワークの「Ruby on Rails」とはどのようなものなのか? その概要や使用例、メリットなどを初心者の方にもわかりやすいように徹底解説していきます!
これからRubyやRuby on Railsを学習していこうとしている方にはぜひとも押さえておいて欲しい内容ですので、参考にしてください。
【こんな方に向けて書きました】
- Rubyのフレームワークについて詳しく知りたい
- Ruby on Railsがなぜ選ばれるのかを知りたい
- これからRubyの学習を1から始めたい
この記事の目次
Ruby on Railsとは?
Ruby on Railsは、プログラミング言語「Ruby」のフレームワークとして有名です。しかし、そもそもフレームワークって何?という方もいらっしゃいますよね。まずは、以下4つのトピックについてご紹介します。
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- フレームワークとはなにか
- Ruby on Railsの特徴
- Ruby on Railsに用いられるMVCモデルについて
- Ruby on Railsで使われるGemについて
「そもそもRubyってどんなプログラミング言語なの?」という方はこちらの記事をはじめにご覧ください。
そもそもフレームワークとは?
Ruby on Railsは、Rubyのフレームワークとして有名です。しかし、そもそもフレームワークって何?という方のために、ここで簡単に解説します。
フレームワークは簡単に言うと、開発を簡単に、よりスピーディーに行うための道具です。カレー作りに例えるとイメージが湧くかと思います。

図のように、市販の固形ルーがあれば時間も短縮され、効率よくカレーを作ることができます。固形ルーがあれば、初心者でも簡単にカレーが作れますよね。逆に、固形ルーがないとスパイスの調合からカレーを作り始めないといけないので、時間もかかりますし、初心者にはハードルが高い料理になってしまいます。
フレームワークも同様に、誰でもある程度の質が維持できて、時間を短縮するためにあるものです。
Ruby on Railsの概要
先ほど、フレームワークの解説をしましたが、Ruby on RailsとはRubyのフレームワークです。つまり、Ruby on Railsが先ほどの市販の固形ルーの役割を果たしてくれるというわけです。そのためRuby on Railsは使いやすく、開発が効率よく進むように作られています。
Ruby on Railsは特に、ベンチャー企業に人気の技術となっています。最近ではSNSやマッチングサービスだけでなく、オンラインのゲーム開発、業務システムなどにも用いられており、様々な場所で利用されています。応用範囲が広く万能なフレームワークと言えるでしょう。
MVCモデルとは?
Ruby on Railsは、設計にMVCモデルというモデルを採用しています。
MVCとは、Model(モデル)・View(ビュー)・Controller(コントローラー)の略称です。MVCでは、アプリケーションを下記のように役割ごとに分割して作り上げていきます。
分割することにより開発を効率的に進められるだけではなく、コードの再利用も行いやすくなります。
Gemとは?
GemとはRubyのライブラリのことです。Rubyで書かれた様々なプログラムがパッケージ化されており、自分で1からコードを書くことなく機能を実装できるので開発効率が向上できます。
例えば、下記のようなgemがあります。
- ユーザー登録機能
- ログイン認証機能
- 定数/設定値管理
- フォロー機能
また、Gemという言葉はパッケージ管理システムであるRubyGemsを指して呼ばれることもあります。パッケージ管理システムでは、Gemパッケージのインストール・アンインストール等の操作を行います。
最近ではbundlerというパッケージ管理ツールを行うことが多く、ほとんどの場合Gemという言葉はRubyのパッケージを指すと思って良いでしょう。
Ruby on Railsでできること
上記の図はRuby on Railsを学習したらどんなものが作れるのかを簡単なまとめたものです。より詳しくどんなことができるのか見ていきましょう。
WEBサイト制作
ブログやオウンドメディアでもよく使われており、改善速度が早い現場ほどRuby on Railsを使う印象があります。Ruby on Rails自体はWeb系に強い言語なので、一番力を発揮できる領域ですね。
Ruby on Railsはスクリプト言語ということもあり、エラーが見つけやすい利点があるので、その点を考えてもWeb領域には特に適しています。
代表的なサービス「Cookpad」
レシピ共有サイトで有名な「Cookpad」はRuby on Railsで作られています。
Rubyで書くのは楽しい、気持ちよく開発ができる。
クックパッド株式会社様
ショッピングサイト(ECサイト)
ECサイトにもRuby on Railsはよく使われています。会員サービスにするためのログイン機能などを簡単に実装できる点などが、採用されている理由に挙げられますね。
こちらも特にスタートアップ界隈でよくRuby on Railsが使われているので、速度感をもった開発に引っ張りだこの印象ですね。
代表的なサービス「Airbnb」
宿泊予約サービスで有名な「Airbnb」も、Ruby on railsで開発されています。
SNSやマッチングサービスなどのWebサービス
Ruby on Railsを利用することで、SNSやマッチングサービスなどのWEBアプリケーションが作成できます。特に自社サービスを行っている会社や、スタートアップ企業で使われていることが多い技術です。ちなみにプログラミングスクールである侍エンジニアでも、よく簡易的なSNSを作る練習を受講生にしていただいています。
初心者でも比較的簡単に実装が可能なのと、簡単なわりにかなりしっかりしたアプリが作れるため、それだけRuby on RailsはWebサービスに優れたフレームワークと言えるでしょう。
代表的なサービス「Wantedly」
エンジニアの求職、転職、人脈の構築に便利な「Wantedly」もRuby on railsで開発されています。
スクレイピング
Ruby on Railsには「スクレイピング」という技術があります。スクレイピングは、Web上から情報を自動で取ってきて、その情報を加工して新たな情報を作り出すことです。
スクレイピングの活用例としては、様々なニュースサイトから見出しの情報だけを取り出して一覧にしたり、商品のデータを集めて価格表を生成したりするといったものが挙げられます。このスクレイピングの技術は、マーケティング的な視点で見ると価値が高く、今まで手動で行っていたデータ収集が一気に時間短縮できる革命的な技術でもあります。
業務システム
最近では社内システム(例えば出欠管理システムなど)をはじめとする、業務システムにも使用されるようになってきました。Ruby on Railsは開発速度が早いため、会社独自の柔軟な機能追加を行えます。
代表的なサービス「freee」
WEBで会計帳簿が付けられる「freee」は、特にフリーランスの方や個人事業主の方に人気のサービスです。
プロトタイプを作るにあたり何よりもスピード感を重視して取り組んできた。
freee株式会社様
Ruby on Railsが人気な4つの理由
何故開発でRuby on Railsを使うのか、その理由についてもう少し詳しく解説していきます。
①初心者でも習得しやすい
Rubyという言語は書きやすく、プログラムの処理を覚えることに適しています。さらに、Ruby(Ruby on Rails)は日本語で使い方を解説している記事が比較的多いため、メジャーな機能は調べながらすぐに作れます。例えば日本語で解説してあるRuby on Railsの記事には以下のような記事があります。
この記事の著者さんは、タイトルにあるように本当に100万回詰まったわけではないそうです。ただ、超初心者の方向けの記事がこうして用意されていることを知るとなんだか安心ですよね。
学習する前の段階で、自分がどこまでこのフレームワークに向いているかなんて分かりません。このように超初心者向けの記事もネット上にゴロゴロ落ちていれば、たとえ難しい項目に差し掛かり、たとえ100万回詰まりそうになったとしても、ネットで探せば早い段階で解決ができます。
Ruby on Railsは、初心者でも短期間で効率的に本格的なWEBアプリケーションなどが作成できるような、初心者でも学びやすいフレームワークなんです。
②コードが素早く書ける
Ruby on Railsは、これからスピード感をもって開発することが必要になるスタートアップの企業を中心に採用されることが多いフレームワークです。その理由には、主に以下の2つのメリットが挙げられます。
- Rubyで書くよりも格段に少ないコード量で書くことができる
- Ruby on RailsはRubyよりも細かく書き方にルールが決まっており、その書き方通りに書いていくことで簡単にアプリケーションが作れる
上記の理由から、ここ最近でさらに急成長をしている企業が使っている言語がRuby on Railsということは少なくありません。実際にRuby on Railsが使われているサービスを見てみてください。きっと知っている企業があるはずです。
Ruby on Railsが使われている既存のサービスを見てみたい方はこちら
③応用が効く
開発にかかる時間が短いので、サービスの成長に柔軟に対応が可能です。特に経営判断の早いスタートアップでも、すぐに機能などの変更対応ができます。
対応の際に参考にするソースとしてプログラマの情報共有サイトQiita(キータ)で「Ruby on Rails」で検索をかけたところ、3642件(2017年8月23日現在)、「Rails」で検索の際には15298件の記事数が確認できました。また、他のサービスであるエンジニアのQ&Aプラットフォームのteratail(テラテイル)で、同じように検索をかけたところ「Ruby on Rails」では3285件、「Rails」では、5272件の質問数が確認できました。
これらは先にサービスを開発した方が残してくれているログなので、それを参考に応用可能。Ruby on Railsが応用が効く理由の一つとなっています。
その他に、便利なライブラリ(他の人が作ったプログラムのパッケージ)もたくさんあるので、会員機能から画像のアップロード機能まで、通常のWEBサービスで使われる機能であれば全て対応可能です。
④仕事を獲得しやすい
Ruby(Ruby on Rails)はスタートアップが盛んなアメリカのシリコンバレーで特に人気ですが、日本でも案件が増えており、単価も上がってきています。以前はそうでもありませんでしたが、最近は業務システムなどのBtoBの案件もRuby on Railsで増えてきています。
また、フリーランス案件を扱うエンジニアと企業のマッチングサイト「ポテパン」でも以下のことが述べられていました。
Rubyの案件は多くありますが、そのほとんどがRuby on Railsを使用した案件になります。
そのため、Ruby on Railsを使用した経験がないとRubyの高単価の恩恵を受けることはほぼできません。ソーシャルゲームやECサイトなどを筆頭にWebサービスはRuby on Railsで作られる事が多くなった昨今。
Rubyの経験を積むなら、必ずと言っていいほどRuby on Railsを触れる環境に行くといいでしょう。
Ruby on Railsエンジニアは今後益々求められる人材になるでしょう。
Ruby on Railsが苦手なこと
ここまでRuby on Railsを学べば多くのことができることを紹介しました。しかし、Ruby on Railsも万能ではありません。学習を始める前にRuby on Railsが苦手なことについても知っておきましょう。
エラーを特定すること
Ruby on Railsはコードが抽象的なのがメリットでもあるのですが、内容が抽象化(簡略化)されすぎて、応用的な開発やライブラリーなどの拡張機能の組み合わせによるエラーの原因が特定しにくいという難点もあります。
Ruby on Railsは確かにコード量は少なくなりますが、スピーディーな開発が可能な分、規則性が少なく自由度が高すぎるので、あとあとになって不具合が生まれることもあります。コードなどの管理をしっかりと行う担当者がおらず、開発現場に任せっきりだといろいろ進まないことも起こり得ますね。
スマホアプリやゲームの開発
Ruby on Railsは「スマホアプリの開発やゲーム開発」にも用いられます。Ruby on Railsのコードをスマホ用に変換するRuby Motionというツールなども存在し、最近ではスマホのソーシャルゲームを作成する時に使用されることも。
しかし、基本的にRuby on RailsはWeb系に強い言語ということで、ゲーム開発であればC#、スマホアプリ開発であればSwiftやJavaという主要言語があるため、それらの言語と比較すると見劣りしてしまいます。
機械学習や人工知能の開発
Ruby on Railsでは、機械学習や人工知能開発はおすすめできません。RubyのライブラリでPyCallというものがありますが、ほとんど使っている人がおらず実用性も極めて低いです。使っている人がいないということは、参照できる情報もコミュニティーも少ないということになるので、極めて学習が難しいのもの難点の1つ。
さらに需要もないので、機械学習ができるツールの開発がされることもない可能性が高く、将来的に普及してくる可能性もかなり低いと言わざるを得ない状況です。
Ruby on Railsの学習方法
ここでは、Ruby on Railsの学習方法をやり方別でご紹介します。
学習サイトで学ぶ
初心者の方が学習の一歩目を踏み出すためにおすすめの手順は、まずはインターネット上の学習サイトで基礎文法を学ぶことです。書籍だと情報量が多いですが、文字が多く挫折してしまう可能性があるため、初心者の方にはおすすめできません。
また、独学が難しいという方向けにプログラミングスクールの特徴も解説しているので、参考にしてみてください。
Progate
Ruby on Railsについて全くの初心者という方におすすめするサイトは、Progateです。オンラインでプログラミング学習ができる教材としては、非常に有名なサイトの一つです。
初心者の方が躓かずにプログラミングの楽しさを知りながら、プログラミングの第一歩を踏み出すには最適なコンテンツと言えるでしょう。全コースを学習しようと思うと一部有料になりますが、それでも学習コストが月額1000円程なのでとてもコスパが良いです。
開発環境を構築しなくても、全てブラウザ上でプログラムを動かせるのも、初心者にとってはとても嬉しい利点ですね。
SAMURAI ENGINEER Plus+
こちらは会員登録だけでAmazon風のアプリやRailsの基礎などを学べる学習サービスです。RailsだけでなくRubyの基礎からステップ形式で学べるので全くの初学者でも1から学ぶことができます。
また、学習を記録できる「学習ログ」機能や現役エンジニアに質問できるQ&Aサービスなども充実しており、他のユーザーが質問した内容などもログとして残っているので、検索することで多くのエラーを解決することができます。
Ruby on Railsのみならず、主要なプログラミング言語の教材やプログラミングってそもそもなに?といった基礎的な内容も取り揃えているので、プログラミング自体全くわからないという方もぜひ触ってみてください。
書籍で学ぶ
Progate等でRuby on Railsの基本を学んだ後は、書籍でより概念的な部分の理解を深めていくと良いでしょう。アプリを作ろうと思った場合、Progateだけでは知識が足りない部分が出てくるはずです。
Ruby on Rails 5アプリケーションプログラミング
Ruby on Rails 5アプリケーションプログラミングは、Ruby on Railsの仕組みから機能までが具体的に解説されており、Railsについてより詳しく理解したい人におすすめの本です。サンプルコードをダウンロードしRailsを実行することで、書籍の内容を楽しめます。
内容が細かくて網羅的な反面、全くの初心者が本書籍で学習を取り組む場合、躓いてしまう可能性があります。ある程度Ruby on Railsの基礎を身に着けた上で、より実践的な内容を得る場合には最適な本と言えるでしょう。
注意点として、本書の対象バージョンはRails5ですが、Railsの最新版は6系であるということは理解しておきましょう。
現場で使える Ruby on Rails 5速習実践ガイド
Ruby on Rails 5速習実践ガイドでは、タスク管理アプリを作りながらRailsの実践的な開発テクニックについて学ぶことができます。基本的な知識からより実践的な内容まで扱われており、丁寧に解説されているのが特徴です。
BootstrapやAjaxといった技術も解説されており、アプリ作成に対するイメージをより深められるでしょう。イラストがたくさん使われていて分かりやすいので、中級者だけでなく初心者が学習するのにもおすすめの本です。
この他にもRailsの学習書籍は多くあります。こちらの記事では、学習レベルに応じておすすめの書籍を紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

プログラミングスクールで学ぶ
プログラミング学習は独学でも可能ですが、1人で学習し続けるのは難しいことも事実です。思ったよりも覚えることが多く、「分からないことが分からない」という状態に陥ってしまう人も少なくなりません。
プログラミングスクールであれば基礎からRuby on Railsを使用したアプリの作成までを学べるので、学習プランを立てるのが苦手な人や、1人で挫折してしまいがちな人にとっては最適な学習方法です。
最近はRuby on Railsを学べるスクールが増えているので、自分に合ったスクールも選びやすくなっています。ほとんどのスクールで無料体験を受けられるので、まずはレッスンを体験してみて自分に合うか試してみるのが良いでしょう。

Ruby on Railsを効率的に学ぶためには
もし、これからRuby on Railsを学習をすると決めたのなら、次の行動を起こさなくてはいけません。
まず、Ruby on Railsを効率的かつ最速で学ぶには、仕事獲得までの道筋の全体像を理解する必要があります。ちなみに、Ruby on Railsで仕事獲得を目指すならWebエンジニアがおすすめ。仕事獲得のしやすさを考えるならば、Webサービスを学びましょう。
という方もいらっしゃいますよね。学習するには、まずRubyが動く仕組みを大まかに理解しておく必要がありますので、以下の図をもとに簡単に見ていきましょう。

上記の表を見てわかるようにRubyを構成する要素は主に5つしかありません。その5つとは、
- オブジェクト指向
- 制御フロー
- データ構造
- オブジェクトと変数
- 共通要素
これらの5つになります。多少異論はあるかもしれませんが、ざっくりでもいいので大まかに押さえておきましょう。
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興味のある方はぜひ詳細を確認してみてください。
まとめ
Ruby on Railsの概要についてご理解いただけましたか。
いまからWEBプログラミングを入門する方には、とてもおすすめのフレームワークとなっています。WEBサービス作成や仕事獲得を目指す方は、ぜひ学習してみてください。