UI/UXを学ぶ方法は多岐にわたり、それぞれの個性や働き方にあった勉強法を選ぶ必要があります。
「UI/UXは聞いたことがあるけれど、具体的には知らない方」や「UI/UXを勉強する方法とそれぞれのメリットを知りたい方」は、この記事を参考にUI/UXデザインの概要と学習法を見つけてください。初めにUI/UXデザインを勉強する「5つの方法」について解説します。
本記事を読む前に、UI/UXとは何かをおさらいしておきたい人は次の記事を参考にしてください。
UI/UXを勉強する5つの方法
さっそく、UI/UXの勉強方法を、5つにまとめて紹介します。
本で勉強する
本で学習することのメリットは、「自分のペースで学習を進めることができる」ことです。自分の理解度に合わせて繰り返し学習したり、飛ばしたりできます。また、UI/UXデザインの基礎から応用までを学ぶことができるものや、特定の分野に特化した本を選べるなど自身に合う本を選択可能です。
ただし、一人で学習を継続するのは困難な点も多く、分からないことをすぐに聞けないというデメリットもあります。誰かに教わりたい人や仲間と積極的に交流しながら学びたい人には向かない、といえるでしょう。
以降では、UI/UXの勉強におすすめの本を厳選して3冊紹介します。
UI/UXデザインの原則
ビジネスにおけるWEBサービスの重要性は年々増し、担当者に求められるレベルも高まっています。「WEB担当になったけれど何から手をつけたらいいのか分からない」という方のために、これまでUI/UXデザインにより200社以上のCVR改善に貢献してきた著者が初心者にもわかりやすく解説しています。
使い勝手や見た目を整えるのはもちろん、「ユーザーに選ばれる魅力的なサービスづくり」も基本から応用まで提案します。UI/UXデザインを基礎から応用までわかりやすく解説しているこの本で、初心者でも無理なく学習を進められます。
UIデザイン みんなで考え、カイゼンする
ユーザーニーズが複雑化し変化が速い現代では、チームでUIを開発し改善していくことが重要です。本書はデザイナーだけでなく、チーム全体で共有できるUIデザインプロセスを解説しています。プロトタイピングやミニマムな完成品による改善を繰り返すスピーディーな開発手法について触れられていることも特徴の一つです。デザイナー、エンジニア、マーケティングなどチーム全体でUI開発を進める方法も学べます。
さらには、UIデザイナーの役割とビジネス視点で解決すべき課題についても解説されています。したがってチームでUI開発を効率化したいデザイナー、エンジニアやUIデザインプロセスを理解したいチームメンバー、そしてビジネス視点でUI開発を捉えたい経営層など幅広い人のための実用書といえます。
はじめてのUXリサーチ ユーザとともに価値あるサービスを作り続けるために
UXリサーチは、ユーザーのニーズや行動を理解し、より良いサービス開発に役立てるための重要な手法です。本書は、プロダクトマネージャーやデザイナーなど、さまざまな職種の人が現場の課題や目的に応じています。またUXリサーチを実務に取り入れられるよう、基本的な考え方から実践までわかりやすく解説されています。
本書の特徴は、UXリサーチの基本的な捉え方や組み立て方を学びたい方に最適です。また、手法や組織で活かせる仕組みの作り方、仲間の増やし方、そして実践知の共有について触れられており、メルペイUXリサーチチームの現役リサーチャーによる7つの実践事例を解説しています。また、実践で使えるテンプレートも付いているなど、初心者の人にとって学びの助けになるでしょう。
Webデザイン資格の取得を目指して独学する
資格の習得を通して、UX/UIを体系的に学べます。具体的には、資格取得を通して次のようなスキルが身につけられます。
- ユーザー視点: ユーザーのニーズや行動を理解し、ユーザーにとって使いやすいデザインを構築するスキル
- 情報設計: 情報を整理し、わかりやすく伝えるためのスキル
- インターフェースデザイン: 画面構成や操作方法などを設計し、ユーザーにとって快適な操作性を提供するスキル
- 視覚デザイン: 色彩やフォントなどを使い分け、視覚的に訴求するデザインを構築するスキル
- デザインツール: PhotoshopやIllustratorなどのデザインツールを使いこなすスキル
- 最新トレンド: Webデザインにおける最新トレンドを常に把握し、デザインに活かすスキル
以降では、UI/UXの勉強におすすめの資格を厳選して3つ紹介します。
ウェブデザイン技能検定
ウェブデザイン技能検定は、ウェブサイトのデザインに必要な知識、そして技能を認定する国家資格です。
この試験は特定非営利活動法人「インターネットスキル認定普及協会」によって実施されており、試験は1級から3級まで分かれています。それぞれ「実技試験」と「学科試験」があり、試験内容は国際標準規格に基づいたホームページ作成、システム構築、セキュリティ対策などです。
1級合格者には厚生労働大臣より、そして2級及び3級合格者には当協会理事長より「ウェブデザイン技能士」の合格証書が発行されます。ウェブデザイン技能検定はウェブ業界において唯一の国家資格であり、就職や転職の際にアピールしやすいでしょう。
Google UX Designプロフェッショナル認定
Google UX Designプロフェッショナル認定は、Googleが提供しているUXデザイナーになるためのオンライン講座となります。
UXに関する基本的な概念から整理できますが、後半にかけて実際にプロトタイプの作成や、 仮想プロジェクトの実施もできるためインプットのみならずアウトプットまで実践的にUXデザインを身につけたい方におすすめです。また、講座は一つあたりの時間が短いため、隙間時間を有効に活用して勉強できます。
ただし、使用される講座の動画やテキストは英語表記なので、英語が苦手な人はDeepL翻訳やGoogle翻訳なども活用しながら進めましょう。
HTML5プロフェッショナル認定試験
HTML5プロフェッショナル認定試験は、HTML5を活用したWebページやアプリケーションのデザイン、設計、構築方法などに関する知識やスキルを認定するための試験です。試験はレベル1とレベル2に分けられています。
レベル1ではマルチデバイスに対応しているWebコンテンツ制作の基礎の実力を測ります。また、レベル2はシステム同士の連携、最新のマルチメディア技術に対応している動的コンテンツ、あるいはWebアプリケーションの開発、設計能力などを測ります。試験合格の認定期間は5年間で、それ以後は再認定試験の受検は必要です。
学習サイトで勉強する
学習サイトを使えば、低コストで最新の知識を自分のペースで学べ、コミュニティを通じてモチベーションを保てます。ただし、教材の質は慎重に選ぶ必要があります。
以降では、UI/UXの勉強におすすめの勉強サイトを厳選して3つ紹介します。
侍テラコヤ
侍テラコヤは、日本最安級のサブスク型オンラインITスクールです。
教材数は100種類以上で、実際に自分の手を動かしながら学べるため、最短最速でエンジニアを目指せます。例えば、Amazon風のECサイト構築や美容室のホームぺ―ジ作成など、実践的な題材を通じてスキルを伸ばすことも可能。
また、現役エンジニアによるマンツーマンレッスンも受講可能です。プログラミング学習の悩みやキャリア相談もできるため、モチベーションの向上に結び付けられるでしょう。
Udemy
Udemyでは、初めてUI/UXを学ぶ人向けに基礎講座から実践的な講座まで幅広く用意されています。
動画を見て一緒に手を動かしながら学べるため、効率的に学習可能です。Udemyにて購入したコースの動画は、削除しない限り何回でも見られます。そのため、わかりづらい場所は何度でも見直せます。
内容を忘れてしまっても、該当箇所のみの復習も可能なので初心者の人でも安心して学習を続けられるでしょう。
chot.design
chot.designは日本のIT/Web業界向けのデザイン学習サイトで、毎日ちょっとずつデザインを学ぶことができます。
初学者向けの基礎講座を始め、実践的なUI/UXデザインやコーディングまで幅広いトピックを扱っているのが特徴です。具体的には主要デザインツール(Illustrator・Photoshop・XD・Figmaなど)の使い方や、Wordpressの基礎から応用までサイト制作に必要なスキルを一貫して学べます。
chot.designは無料で利用できるため、気軽にデザインの勉強を始めることが可能です。
上記を含め、UI/UXデザインが学べるおすすめの学習サイトを詳しく知りたい人は、次の記事を参考にしてください。
既存のWebサイトを模写する
模写をすることで、HTML・CSS・Javascriptのコーディングスキルやブートストラップの他、jQueryなどのライブラリやフレームワークの使用方法を学べます。
実際に模写を行うことで、一般的なデザインパターンやユーザー体験の模範を理解できます。また、模写中に生じた難問や問題に取り組むことで今後に役立つ問題解決スキルを培うことも可能です。
既存のWebサイトの模写は効果的ですが、良いと思ったWebサイトのデザインを細かく分析して「言語化」するも重要です。この「言語化」をする訓練を積み重ねることで、今後自分で作成をしていく際に必要な論理的思考力が養われます。
Webデザインスクールで勉強する
WebデザインスクールではUI/UXの基礎から応用、実践的なスキルまで学ぶことが可能です。
また、体系的にデザインの理論や最新のトレンドを学べるため、ユーザーの視点に立った魅力的なデザインを作成する知識を習得できます。
Webデザインスクールによっては転職や就職を目指す人のためのキャリアサポートが充実しているスクールもあります。また、豊富なネットワークを利用して自身のキャリアアップを目指すことも可能です。
以降では、UI/UXの勉強におすすめのスクールを厳選して3校紹介します。
侍エンジニア
侍エンジニアは日本初のマンツーマン専門のプログラミングスクールです。挫折の多いプログラミング学習において、現役エンジニアの専任講師による個人レッスンを自分に合った専門のカリキュラムを通して学ぶことができるので、効率的に学習できます。
また、徹底したサポート体制が整っており、いつでも質問可能な環境とキャリアアドバイザーによる就職や転職の相談まですることが可能です。
デジタルハリウッドSTUDIO
デジタルハリウッドSTUDIOでは現役クリエイターによる実践的な指導を受けられ、オンラインとリアルを組み合わせたハイブリット教育を提供し、受講生のペースやレベルに合わせて学習できます。段階的な課題が設定されており、どの地域からでも高い質の講座を受けることも可能です。
INTERNET ACADEMY
INTERNET ACADEMYは、WebデザインやプログラミングなどのITスキルを学ぶためのオンライン学習プラットフォームです。
もちろんUI/UXの基本を理解するための講座も用意されており、自分のペースでオンライン講義、ビデオチュートリアルなどを通して学べます。また、コース修了後には認定を取得でき、学習したスキルを活用してUI/UXデザイナーなどの仕事に就くことも可能です。
なお、次の記事では上記を含め、UI/UXが学べるWebデザインスクールを紹介していますので、併せて参考にしてください。
効率よくUI/UXを勉強する4つのポイント
ここからは、効率よくuiuxを勉強するポイントを、4つにまとめて紹介します。
挫折しない環境を整える
どの学習法を選ぶにしても大切なことは「挫折をせず継続できる環境」を作ることです。ここでは挫折を防ぐための環境構築の方法について紹介していきます。
UI/UXの学習に限ったことではありませんが、学習するなかで困難なことや解決できないことが出てくることがあります。特にコーディングは初心者の人にはハードルが高いこともあり、一人で継続することは難しい場合があります。
挫折を防ぐためには、コミュニティや知り合いなど、UI/UXに詳しい人ですぐに質問ができる人を作っておくことが大切です。近年はインターネットやWebの情報が豊富にあるため、誰とでもつながりやすいです。また、分からないことをネットを通じて質問してみることもおすすめの方法です。
ツールを準備する
UI/UXを学ぶ際に活用できるツールはいくつかあります。次の表のうち、ご自身の用途に合ったツールを選んでください。
ツール名 | 特徴 |
Adobe XD | PhotoshopやIllustratorなどが扱える。Webサイトだけでなくモバイルアプリにも適したUI/UXツール。 |
Figma | Webベースのプラットフォームで手軽にデザインを作成可能。 |
実際に手を動かして学ぶ
それぞれ自分に合った方法で学習することが重要ですが、インプットだけではスキルとして身につけるのは難しいといえます。したがって、どのような方法で学ぶ場合でも実際に自分の手を動かして学ぶことが重要です。
ポートフォリオを作成してアウトプットする
ケーススタディを作成することで、プロダクトを整理できるため、アウトプットとして有効な方法です。ポートフォリオの作成方法はいくつかありますが、一つは「ケーススタディ型」です。これは一般的な方法ですが、そのプロジェクトの背景、課題、解決策、そして結果を明確に記述することで後で見直すことも可能です。
また、特定の領域に特化したデザイナーには「スペシャリスト型ポートフォリオ」が適しています。こちらは自分の専門性に基づいて分類することで、顧客が求めているニーズに応じて提案をする場合にも活用できます。
UI/UXのスキルが活かせる仕事5つ
ここからは、UI/UXのスキルが活かせる仕事を、5つにまとめて紹介します。
Webデザイナー
WebデザイナーはWebサイトのデザインを専門的に行う職種です。
WebデザイナーはHTML・CSS、そしてJavaScriptなどのプログラミング言語を理解している必要もあり、ユーザーが使いやすいプロダクトを設計するうえで、UI/UXのスキルがあることでそれぞれのニーズに応じた質の高いプロダクトを制作できます。
なお、WebデザイナーとUIデザイナーの違いを学びたい場合は次の記事を参考にしてください。
ITエンジニア
ITエンジニアはユーザーがシステムやアプリケーションを効率的に操作ができるようにUI/UXのスキルを活用します。また、HTML・CSS・JavaScriptを使って、ユーザーインターフェースを構築でき、フロントエンド開発においてデザインから実装までの一連のプロセスを担当できます。さらに、デザインシステムを作成して一貫性のあるデザイン要素を管理することも可能です。
こうしたことから、UI/UXデザインのスキルを持つITエンジニアはデザイナーやプロダクトマネージャーといった、他のスキルを持つ人と連携してプロジェクトにより深く携われるでしょう。
UXリサーチャー
UXリサーチャーは、ユーザーと直接対話をすることによって彼らのニーズやどのような課題があるのかを理解する必要があります。そのためには、UXを向上させるための高い知識とスキルが求められます。特にインタビューをもとにしたユーザビリティテストでは、ユーザーのデータからプロトタイプを作成します。それをもとにフィードバックを収集、そしてプロトタイプを通じてUI/UXの改善点を特定することが重要です。
またプロダクトに反映する過程において、デザイナーやエンジニアと連携してプロダクトの開発や改善を行う必要があります。UXリサーチャーが幅広いUI/UXのスキルを持っていることで円滑なコミュニケーションを行うことができるでしょう。
グラフィックデザイナー
グラフィックデザイナーは、美的な視点だけでなく、ユーザーの視点からもデザインを考えることが重要です。ユーザビリティや使いやすさを意識してUIデザインを行うことで、一貫性のあるデザイン要素を管理でき、UXを向上できます。
またグラフィックデザイナーは、アニメーションやモーショングラフィックを使って、UXを豊かにすることができ、UI/UXのスキルがあることでユーザーの目を引く要素をデザインできます。
Webマーケター
Webマーケターはユーザーが、ウェブサイトやアプリケーションを使いやすく満足度の高い体験をするためにUI/UXデザインの原則を理解していることが重要です。そうすることで、コンテンツ戦略とUIデザインを連携させてユーザーにとって魅力的なコンテンツを提供できます。また、ユーザビリティの向上やユーザーのニーズに合った機能の開発に貢献できるでしょう。
また、WebマーケターはSEOを踏まえてUXの向上を同時に達成できるため、使いやすいプロダクトをユーザーに提供するとともに、検索エンジンにも適切に表示できます。
まとめ
今回の記事ではUI/UXの学び方やプラットフォーム、そして実務でのスキルの活用法まで紹介しました。UI/UXデザイナーはWebサイトやプロダクトの開発においてユーザビリティを高めるために必要な存在です。したがって、Web関連のサービスを提供している多くの競合が存在する現代社会において企業の競争力を高めるために今後も求められるでしょう。
また、UI/UXのスキルと他業種における専門性を組み合わせることによって希少性が高まることから、自身の更なるスキルアップやキャリアアップを目指せるため、この機会にUI/UXを学習することをおすすめします。
この記事の監修者
株式会社SAMURAI
情報系の大学を卒業後、HR関連のサービスを複数展開する事業会社に勤務。コミュニケーションデザイン領域のデザイナーを4年ほど務め、LPやバナーデザインの制作、コーディング等を経験。現在は株式会社SAMURAIでWebデザイナーとして、バナーデザイン制作やLP改善、Instagram運用等に従事。