プログラミング教育の課題を現場からお伝え!子供たちの未来はどうなる?

プログラミング教育が必修化され、新たな課題が生じていることを、みなさんはご存知でしょうか。

課題を解決しないと、「子供が将来活かせる能力を身につける、IT社会に対応できる人材を育成する」といったプログラミング教育の本来の目的が達成されない可能性があります。

この記事では、プログラミング教育が実施され、実際どのような課題が生じているのかを現場からお伝えします。

子供たちの可能性を広げ、プログラミング教育の成果を最大限にするため、今後解決すべき課題を確認しましょう。

そもそもプログラミング教育とは?詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。

プログラミング教育とは?必修化の目的や現状の問題点を実践例から検証!
更新日 : 2021年8月19日

プログラミング教育の課題3つ

プログラミング教育の課題

プログラミング教育が現状、抱える課題は下記の3つです。

  • 指導教員に関する課題
  • ICT環境に関する課題
  • カリキュラムに関する課題

それぞれ、詳しく解説します。

指導教員に関する課題

1つ目の課題は、指導教員に関する課題です。小学校のプログラミング教育では、プログラミング言語そのものを学ぶわけではなく、プログラミング的思考という考え方を学ぶことを目的としています。

そのため、必ずしもプログラミングのスキルを必要とするわけではありません。

ただし、これまで指導教員自身も学んだことがない「プログラミング的思考」を子どもに教えるのは、簡単なことではありません。さらに中学校や高等学校のプログラミング教育となると、プログラミングについてより専門的な知識を学ぶことになります。

一般財団法人 LINEみらい財団の調査は、全国の小学校教員に対してプログラミング教育必修化に関する調査を行い、結果を公表しています。

「プログラミング教育に対して、どの程度の不安があるか」という問いには、約70%の教員が不安を感じていると回答しています。

また、「プログラミングを児童に教える自信があるか」という問いについては、約65%の教員が「自信がない」と回答しています。

ICT環境に関する課題

2つ目は、ICT環境の整備不足です。下のグラフは文部科学省が令和2年に発表した教育情報化の実体に関する調査結果です。

児童1人に対するコンピュータの台数は、全国平均で4.9台です。

1台あたりの児童数が増えれば増えるほど、コンピュータに触れる時間は短くなってしまいます。

また、各都道府県のバラつきも課題です。

最もパソコンの導入が進んでいる佐賀県では1台に対して1.8人、反対に最も導入が遅れている千葉県では1台に対して6.6人という結果となっています。また、埼玉県、愛知県、広島県、福岡県といった大都市も、1台あたり6人以上と低調な結果となっています。

学習指導要領は「全国どの学校に通っても、一定水準以上の教育を受けることができる」という目的で制定されています。果たして、佐賀と千葉の両県では、同一水準のプログラミング教育が実施できるのでしょうか。

特に義務教育の場合、住んでいる地域によって、満足な教育を得られないという点も、プログラミング教育の課題といえます。

カリキュラムに関する課題

3つ目は、プログラミング教育のカリキュラムに関する課題です。

プログラミング教育のカリキュラムは、定形がありません。特に小学校では、「プログラミング(情報)」という教科が追加されるわけではないため、実施する教科や教材を各学校で考える必要があります。

一般財団法人 LINEみらい財団の調査によると、「プログラミング教育で取り扱う教材やサービスを見つけたか」という問いに対しては約63%の教員が「No」と回答しています。

「具体的な授業の進め方や指導方法が決まったか」という問いに対しては約65%の教員が「No」と回答しています。

ただでさえ多忙だといわれている学校の教員がプログラミング教育の準備をする時間を捻出する難しさは、容易に想像できます。

プログラミング教育のカリキュラムについて、現場で働く教員の負担を下げるような方法がないのか、早急に検討すべき課題です。

プログラミング教育の現場で明らかになった課題

現場で明らかになった課題

続いて、教育現場の有識者や教員から発せられた生の声から、プログラミング教育の現場で明らかになった課題について、解説します。

小学校におけるプログラミング教育の課題

小学校

前述のとおり、小学校は2020年にプログラミング教育が必修化されました。

まずは小学校のプログラミング教育で、どのような課題が生じているのかを教科ごとに見ていきましょう。

なお、小学校に関するプログラミング教育の課題については、鳴門教育大学 尾崎 光氏、伊藤 陽介氏の研究論文である「小学校におけるプログラミング教育実践上の課題」を参考にしています。

小学校のプログラミング教育について詳しくは下記の記事をご覧ください。

小学校のプログラミング教育必修化!内容や事例、現状と課題まとめ
更新日 : 2021年7月29日

国語

国語では、文字を書く能力の低下が課題として挙がっています。パソコンで入力する機会が増えると、漢字を書けなくなってしまうのではという声があります。

子供が文章や漢字を書く機会が減らないよう、カリキュラムや宿題を調整する必要があるでしょう。

算数

算数

算数では、プログラミングで問題を解決したとき、きちんと振り返るための時間が必要、という点が課題です。

例えば、プログラミングで正多角形の作図を行ったとします。プログラミングを使えば、分度器や定規を使うより正確に、スピーディーにかけます。

しかし作業の効率化で終わりにするのでなく、なぜプログラミングだと効率化できるのか、生徒が考えるための時間をとる必要があります。

理科

理科では、前提となる知識が多いため、児童が授業につまづきやすい点が課題です。

例えば、「温度センサーなどを用いてLEDを制御するプログラミングをつくる」といった学習内容が例示されています。

理科と情報の知識が必要となり、難度が上がるため、児童によっては授業についていけません。

音楽

音楽

音楽では、学年にあわせたプログラミング教材の選定やプログラミング教材の操作に時間を割かれてしまい、音楽本来の学びが減ってしまいやすい点が課題です。

音楽ではビジュアルプログラミング教材などを活用して、単体の「音」や「音楽(メロディ)」をつくるという学習内容が検討されています。

教師・児童がビジュアルプログラミング教材に慣れないうちは、理解するのに一定の時間が必要になります。

中学校におけるプログラミング教育の課題

中学校

中学校のプログラミング教育は、2021年度から技術・家庭科で実施されます。

一般社団法人 日本産業技術教育学会が公表した、中学校におけるプログラミング教育の実態調査では、中学校のプログラミング教育の課題が浮き彫りとなっています。

ひとつずつ、見ていきましょう。

中学校のプログラミング教育について、詳しくは下記の記事をご覧ください。

中学校でプログラミング教育が必修化!目的・教育内容・実施例まとめ
更新日 : 2021年7月29日

指導・授業展開が難しさ

中学校のプログラミング教育の課題として「指導・授業展開の難しさ」が挙げられます。

新しい学習指導要領では、既存の「ディジタル作品の設計・制作」が「ネットワークを利用した双方向性のあるコンテンツのプログラミングによる問題の解決」に変更されました。

簡単にいうと、Webアプリケーションなどを強く意識したカリキュラムになっているのです。

改訂前と比較するとより専門的な内容を学ぶことになるため、ついてこれない生徒がいないよう授業を工夫する必要があります。

指導内容の多さと授業時間の少なさ

指導内容の多さと授業時間の少なさ

中学校のプログラミング教育現場の声から、「時間数不足」や「指導内容の多さ」という点も課題であることがわかります。

中学では「技術」にプログラミング教育が追加されました。しかし、技術の指導内容はもともと多く、授業時間が足りない、という現状があります。

高等学校におけるプログラミング教育の課題

高等学校

続いて、高校でのプログラミング教育に関する課題について、国立国会図書館 調査及び立法考査局が公表した高等学校における情報化教育の現状という資料をもとに解説します。

高校のプログラミング教育について詳しくは下記の記事をご覧ください。

【2022年必修化】高校のプログラミング教育、情報の授業内容や言語、教材まとめ
更新日 : 2021年10月1日

担当教員の不足

高校でも、小学校などと同じように担当教員の不足(スキル不足)が課題として挙げられています。

高校で授業を行うためには、それぞれの科目の免許が必要です。たとえば国語を教える先生は、国語の免許を保有していなければなりません。

2003年、高校では「情報」というプログラミングの科目が必修化されました。高校の教員は、特例として15日間の講習会をうければ「情報」の免許を取得できることになりました。

この対応により、約9,000人の教師が「情報」の免許を取得しています。しかし、15日間の講習を受けただけで、すべての教員が十分なスキルを習得できるわけではありません。

また高校によっては情報の免許保有者がいないため、ほかの教科を教えている教師が情報の授業を兼務しているケースもあります。

小学校や中学校と比べて、実践的で高度な内容を学ぶように改訂された高校のプログラミング教育では、教員のスキル不足がシビアな問題となっています。

大学入試に対する対応

大学入試に対する対応

大学入試に対する対応も、高校のプログラミング教育が抱えている課題のひとつです。

現時点では、大学入試センター試験の科目に情報は含まれていません。ただ、新しい学習指導要領で学んだ高校生がセンター試験を受験する最初の年である、「令和6年度」のセンター試験から情報という科目が追加される可能性があります。

現時点で判明している方針としては、CBT方式(コンピュータ上で完結する試験)による実施が有力です。

小学校・中学校・大学の情報教育とのつながり

小学校、中学校、そして大学との学びのつながりも、課題の1つです。

小学校や中学校のプログラミング教育自体が、まだ試行錯誤を続けている状態です。そのため小中の出身校によっては、高校の情報科の授業についていけないケースも考えられます。

また大学側が感じている課題としては、高校で情報科を学んでいるにもかかわらず、大学側が求めるレベルに達していないことや学生間でのスキルの差が大きいなどといったものがあるようです。

このような課題をみると、子どものプログラミング教育に関するグランドデザインの設計が弱く、それぞれがぶつぶつと細切れとなっている印象を受けます。

プログラミング教育の課題を解決するには

プログラミング教育の課題を解決する方法

課題が解決されれば、IT人材不足の解消や、子供が将来活かせるスキルの習得、といったプログラミング教育本来の目的は達成されやすくなります。

続いて、プログラミング教育の課題を解決する方法を解説します。

ICT環境に関する課題の解決法

学校におけるICT環境の整備不足は「GIGAスクールの構想」による改善が見込まれます。

GIGAスクール構想とは、学校ICT環境を整備しよう、という文部科学省の取り組みです。

また、コンピュータを使用しないアンプラグド教材を活用するという方法もあります。

指導教員に関する課題の解決法

指導教員に関する課題の解決法

指導教員のスキル不足については、教員のプログラミング研修を充実することで解決できます。

各自治体の研修センターでは、教員向けのプログラミング教育ガイドを作成したり、研修会を実施したりしています。こういった研修や、文部科学省が公開している研修教材などを活用して、教員の育成を進めるのが有効です。

カリキュラムに関する課題の解決法

カリキュラムについては、各学校がプログラミング教育の実施事例を活用するのが有効です。

各学校が事例をもとにカリキュラムを作成すればプログラミング教育のクオリティがあまりに違いすぎる、ということがなくなります。

今、文部科学省が運営するWebサイト「みらプロ」では実施事例が報告されるようになりました。

文部科学省が中心となって実施事例のデータベース化を行うといった解決法も考えられます。

プログラミング教育の展望

プログラミング教育の展望

現在、プログラミング教育が抱えている課題が解決したらどうなるのでしょうか。続いて、プログラミング教育の展望について解説します。

指導教員不足、あるいは指導教員のスキル不足、さらにはICT環境の整備が完了すれば、プログラミング教育のクオリティは向上は向上するでしょう。

プログラミング教育は始まったばかり、学習指導要領の改訂により、第一歩が踏み出されたのです。

まとめ

プログラミング教育は将来の日本にとって意義があるもの

小学校、中学校、高校でプログラミング教育が必修化されたのは、将来の日本にとって意義があることです。

現状、プログラミング教育にはさまざまな課題がありますが、はじめからすべてが完璧である必要はありません。

現場の声を尊重し「改善」を繰り返せば、日本のプログラミング教育は他国に誇れるものとなるのではないでしょうか。

この記事のおさらい

プログラミング教育の課題は?

プログラミング教育の課題は、「指導教員に関する課題」「ICT環境に関する課題」「カリキュラムに関する課題」などがあります。

プログラミング教育の課題を解決するには?

プログラミング教育の課題を解決するには、それぞれさまざまな方法があります。指導教員に関しては民間との連携、ICT環境に関してはコンピュータを使用しない教材の利活用、カリキュラムに関しては実施事例のデータベース化や教材の整備などが考えらえます。

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