フリーランスエンジニアが経費にできるものは?家賃もOK?経費率の計算方法も解説

フリーランスエンジニアが経費にできるものは?
経費に計上してはダメなものは?
経費率って覚えないといけないの?

フリーランスが毎年やらなければいけない確定申告。そこで大事な要素となるのが経費の計上です。

今回は、フリーランスエンジニアの死活問題である「経費」について解説していきます。正しい認識で経費として計上することを心がけ、常識からはずれた節税をしないように気をつけましょう。

この記事の要約
  • フリーランスエンジニアの節税には正確な経費計上が不可欠
  • 水道光熱費や地代家賃・消耗品費などの一部は経費として計上可能
  • 確定申告時に困らないよう、領収書や帳簿はこまめに管理しておこう

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本記事を読む前に、フリーランスエンジニアの働き方から年収、必要なスキルやなり方までを包括的におさらいしておきたい人は、次の記事を参考にしてください。

→ フリーランスエンジニアへの独立ガイド!必要なスキルやなり方も紹介

目次

フリーランスエンジニアの経費とは

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フリーランスのエンジニアとは、企業などの特定組織に所属せず、仕事ごとに契約を結んで働くエンジニアのことです。税務上は「個人事業主」という扱いになり、日々の売上等を正確に記録して、確定申告をおこなう義務があります。

確定申告は、事業で得た収入に対する所得税を計算し、税務署に申告することを目的としています。所得税は、事業による収入から仕事をするためにかかった費用(経費)を差し引いた金額を基準に計算します。

所得税の計算方法

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フリーランスエンジニアの所得税は、「課税所得金額×適用税率-控除額」によって計算されます。課税所得金額は、事業で得た収入です。「事業収入-経費-基礎控除(一律38万円)」で計算されます。

青色申告を行っている場合は、さらに青色申告特別控除(65万円)を引くことができます。適用税率と控除額については、課税所得金額などの要因によって複数の区分があるため、国税庁のHPなどで確認しましょう。

フリーランスエンジニアが経費計上できるもの13項目

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フリーランスエンジニアの所得税は、経費を正しく計上できているかどうかで大きく変わる可能性があります。所得税はキチンと支払うのが当然ですが、できるだけ抑えて本来の事業に使用したいため、節税は重要です。

ここでは、フリーランスエンジニアが経費として計上できるものを13項目お伝えします。どのようなものが経費計上できるか、参考にしてください。

水道光熱費

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電気代、ガス代、水道代などの光熱費のことです。他にも、暖房費、冷房費や冷暖房向けの燃料も光熱費として計上します。

水道光熱費は、使用日と請求日が異なるという性質があります。たとえば、電気代は1月に使用した分は、2月以降に請求が来ます。この場合、1月に経費計上しても、2月以降の支払った時に計上しても問題ありません。ただし、一度計上するタイミングを決めたら、途中でルールを変えないように注意してください。

地代家賃

地代家賃は、仕事をおこなうために使用している場所にかかる費用のことです。オフィスを借りている場合は、その賃貸料や、月極め駐車場代、レンタルスペース代なども含まれます。

フリーランスエンジニアの場合、自宅をオフィスにしている場合も多く、賃借料を含むことができます。ただし、オフィスとして使用している占有面積の割合をもとに、賃借料の一部を計上してください。

消耗品費

10万円未満の備品、使用可能な期間が1年未満の物品が対象です。文房具、名詞、帳票など、仕事に関するものならばすべて必要経費にできますので、コマメに記録しておきましょう。

机やイス、パソコンなどの比較的高額な商品も対象となります。ただし、10万円未満の物品に限るので要注意。フリーランスエンジニアの場合、パソコンや机などを個人でも使用するケースがありますが、業務に使用するものは基本的に経費として認められます。

旅費交通費

業務のために使用する交通費や宿泊費などを、旅費交通費として計上できます。フリーランスエンジニアはオフィス以外でも活動することが可能ですので、公共機関などを使った移動が多くなることもあります。忘れず記録しておきましょう。

電車やバスなどの公共機関の場合、レシートや領収書が発行されないことも多くあります。その場合は、出金伝票を自身で発行し、保管するようにしてください。

事務用品費

消耗品費にまとめられるようなものうち、文房具については事務用品費という名目で計上することもできます。どちらの科目で計上しても問題ありませんが、一度ルールを決めたら変えないようにしてください。

事務用品などは購入数も多くなるため、他の消耗品とは区別して管理した方が何に経費がかかっているかを確認するときに役立つこともあります。

通信費

インターネット代、電話代、宅配便の発送料など、通信費用に関わるものは通信費として経費計上します。インターネットに付随する、プロバイダー料金やサーバ利用料などもこの中に含まれます。

フリーランスエンジニアの場合、業務のためにレンタルサーバやドメイン等を取得しているケースも多いでしょう。それらの料金も、通信費として経費計上できます。

外注費

業務の一部を協力会社などにお願いした場合などは、外注費として経費計上できます。フリーランスエンジニアでは、自分の専門分野以外を外注して作ってもらうケースも多いです。しかし、外注するものがデザインや原稿などの場合、源泉徴収の対象となるので注意が必要です。

源泉徴収は、発注者があらかじめ所得税などを外注先から徴収し、税務署に収めるという制度です。外注をおこなう場合は、事前に調べておきましょう。

新聞図書費

新聞や書籍、業界雑誌などの費用は、新聞図書費として経費計上できます。また、直接書籍を購入しなくても、図書カードやメルマガ、有料情報サイトなどの登録料も同様に経費として認められます。

フリーランスエンジニアの場合、技術書などを購入するケースも多くあります。ただし、経費として認められるものは、事業に関連するものに限られます。当然、業務と関係のないマンガなどは対象になりませんので、注意しましょう。

租税公課

法人税と住民税以外の税金にかかる費用や、公的な書類の発行にかかる手数料は、租税公課として経費計上されます。事業で使用しているオフィスの固定資産税や、自動車税なども対象です。

ただし、事業者本人の親族が所有している場合など、認められないケースが存在しますので注意が必要です。フリーランスエンジニアの場合、契約書類として公的な書類の提出が義務付けられることも多くありますので、事前に調べておきましょう。

広告宣伝費

フリーランスエンジニアが個人で広告・宣伝をすることはあまりないと思いますが、クライントと名刺交換をする機会はあるのではないでしょうか?名刺はフリーランス自身のブランディングに必要となるので、広告宣伝費として扱えます。

また、ポートフォリオ用サイトの作成費用、年賀状なども、広告宣伝費に該当しますので覚えておきましょう。

接待交際費

クライアントとの打ち合わせで支払った飲食代、仕事関係の飲み会なども接待交際費として費用計上できます。ただ、接待交際費はあまり多く計上されていると、確定申告の時に税務署から怪しまれることがあります。税務署側も、プライベートなのか仕事上の飲食代だったのか見極めるのが難しい部分でもあるのです。

対策としては、仕事の打ち合わせなどで飲食をした日付、時間、場所、どこの取引先だったのかをきっちりメモして、領収書またはレシートとセットにして保管しておくことです。

減価償却費

減価償却費とは、一括ではなく耐用年数に応じて分割で税務署に申告する経費になります。10万円を超えるパソコン、デジタルカメラ、自動車などが長期間使用する資産として減価償却費に該当します。

耐用年数については、パソコンは4年、自動車は6年となっており、購入金額を決められた年数で分割して毎年申告していくことになります。

冠婚葬祭費

経費としては見落としがちなものに、冠婚葬祭費があります。取引先や協力会社で発生した冠婚葬祭に対し、ご祝儀や香典を送った場合には、冠婚葬祭費として計上します。

フリーランスエンジニアの場合、友人と協業しているというようなケースもあるため、判断に迷うこともあります。この場合の基準としては、送る対象者と事業に関係のある間柄かという事が重要です。

フリーランスエンジニアが知るべき経費率について

経費率とは、フリーランスの収入に対して経費となっている割合のことになります。節税対策だからといって、なにも考えずになんでも経費計上してしまうと、確定申告の時に税務署から怪しまれてしまいます。

経費の割合については国税庁で業種ごとに目安を定めており、フリーランスエンジニアの場合、一般的には収入の50%が経費率の目安となっています。経費率の計算方法は下記です。

■経費率=経費÷収入

この計算式を使って、自身の収入と経費の割合を確認してください。経費率は売上規模によっても変わり、フリーランスエンジニアの経費の割合は50%というのもあくまで目安なので、結局は自身の常識的な認識で割合のバランスを調整していかなければいけません。

常駐フリーランスエンジニアが経費計上できるもの

常駐フリーランスエンジニアが経費できるものは、在宅・リモートのフリーランスエンジニアとあまり差がありません。以下に、具体的な例として常駐フリーランスエンジニアが経費にしているものを挙げておきます。

  • パソコン
  • 交通費
  • 仕事に関係のある書籍代
  • セミナー・勉強会の参加費
  • IT系資格試験の受講料
  • 会計ソフト
  • 家賃
  • 電気代
  • インターネット代
  • 仕事関係の飲み会代
  • 事務用品(コピー機のインクや用紙など)
  • 税理士の相談費用

上記に挙げた中で、家賃、電気代、インターネット代(通信費)はプライベートで使用している部分もあるので、全額を経費計上できるわけではありません。これは在宅・リモートのフリーランスエンジニアも同じです。

では、どのように経費計上するかというと「按分」という考え方で経費にできる部分を計算します。「按分」の詳しい計算方法については、こちらの記事を参考にしてください。税理士資格をもった方が監修をされている記事です。

フリーランスエンジニアが経費計上できないもの

プライベートで支払った費用など、フリーランスが経費計上できないものを紹介するので覚えておきましょう。

プライベートで使った費用(家族との飲食代・保育料など)

仕事の打ち合わせなども兼ねてクライアントと飲食をした時は経費計上できますが、友人や家族との飲食代を必要経費とすることはできません。保育料も残念ながらフリーランスの事業に直接関係する費用ではないので、経費計上するこはできません。

欧米諸国の方では、保育関係の費用を税額控除できる国もありますが、日本においてはまだ保育料などを税制面からバックアップするための法律整備が進んでいないのです。

健康診断で支払った費用

フリーランス(個人事業主)が健康診断で支払った金額を必要経費にはできませんし、医療費控除の対象にもなりません。また、青色事業専従者(家族従業員)が負担した費用も対象にはできないので、覚えておきましょう。

所得税・住民税などの税金

所得税や住民税などについても、フリーランスエンジニアの仕事で発生する費用ではないので、経費計上はできません。

フリーランスエンジニアが経費計上する際の注意点

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フリーランスエンジニアが経費計上することができるのは、会計上の処理をおこなったものだけです。ここでは、フリーランスエンジニアが経費計上する際の注意点についてお伝えします。

ここでお伝えする注意点が守られないと、経費として認められない可能性がありますので、注意して確認してください。

レシートの保管は必ず行う

経費として何かを購入した場合は、必ずレシートを保管してください。レシートは領収書として扱いますので、当然領収書をもらっても構いません。

経費計上するためには、何をいつどこで買ったかを証明できるように、領収書が必要です。フリーランスエンジニアの場合には、レシートを領収書として扱うことが認められているので、必ずレシートを保管しておきましょう。

収益はきちんと帳簿に記帳

事業で得ることができた収益(収入)は、必ず帳簿に記帳しましょう。経費は申告すると課税対象額を減らすことができますが、記載義務はありません。そのため、計上しなくても課税対象金額が増えるだけで、問題はありません。

しかし、収益はすべて記載しておく義務があり、記載不足があった場合は所得税の過少申告に繋がります。故意の記載不備や不足は、犯罪です。税務調査でミスが発覚すればペナルティーが課されます。

経費率の割合

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「経費率」とは、収入における経費の割合のことを指します。経費率が高いと利益が低く、低いと利益が高いと判断できます。このことより、経費率が低い方の収益が高いので、よいと考えられます。

フリーランスの経費率は、事業によってさまざまです。しかし、経費率が同業者に比べて、極端に高かったり低かったりした場合は、なんらかの不正に関与しているのではないかと疑われ、税務調査の対象になる可能性が高くなります。

フリーランスエンジニアの経費について正しく学び節税しましょう

フリーランスエンジニアの死活問題である「経費」について解説しました。

フリーランスエンジニアは個人事業主なので、所得税を決めるための確定申告を自分でおこなう必要があります。売上や経費も多種多様で、領収書やレシートを保管し、帳簿をつけるのは手間がかかります。しかし、フリーランスエンジニアが認められる経費を知ることで、所得税を正しく抑えることができるのも確かです。

適切に経費を管理し、節税ができるように、経費に関する正しい知識を身につけるようにしましょう。

この記事を書いた人

元ウェブディレクター/編集者
メイン機はOS9時代からMac。
最近はUnityに興味があります。

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