SES契約とは?SES契約に関するメリット4つとデメリット5つ

 

IT業界で言われるSES契約とは、どんな契約なのかご存じでしょうか。

派遣契約と区別していない人もいるのですが、SES契約は請負契約なので派遣契約とは違います。今回は、SES契約について詳しくまとめてみました。ぜひご覧ください。

目次

IT業界には様々な雇用形態がある

IT業界にはいくつかの雇用形態がありますが、主なものとしては「正社員」と「派遣契約」、そして「SES契約」の3種類になるでしょう。新卒社員として入社する場合をのぞいて、正社員になるハードルが高いのはIT業界でも同じです。

派遣契約は他の業種でもありますが、SES契約は、その名称の通りエンジニアにある独自の雇用形態と言えるでしょう。

SES契約とは

SES契約とは、どんな契約なのかというと、いったんSES企業の正社員として雇用され、そのSES企業の取引先企業にエンジニアとして派遣されるという契約です。

SES契約のSESは「System Engineering Service」の略であり、その名称の通り、システムエンジニアを派遣する契約と言えます。SES契約ではなく、普通にシステムエンジニアを正社員として抱えるシステム開発会社もあります。

SES契約と請負契約の違いとは

SES契約は、請負契約の一種であるため、SES契約と請負契約には特に違いはありません。請負契約には、SES契約(準委任契約)と一括請負契約がありますが、どちらも自社の指示を受けて仕事をします。

一括請負契約が「契約内容について全て完成させる必要がある」に対して、SES契約は「契約内容にある業務をする」という違いがあります。つまり、SES契約の場合は完成させなくとも問題はないのです。

SES契約と派遣契約の違いとは

SES契約のような請負契約とIT業界における派遣契約の違いは、SES契約では指示を出すのが社員として働いている自社であるのに対して、派遣契約は派遣先の指示を受けるという点でしょう。

派遣契約では純粋な労働力として、契約書にて定められた期間、人を派遣するので、仕事の内容や勤務環境についての指示などは派遣先の会社から出されます。働く場所も派遣先の会社となっています。

SES契約に関するメリット4つ

IT業界でもあまり評判の良くないSES契約ですが、メリットもあります。ここでは、SES契約で働く場合にどのようなメリットが得られるのか、4つのメリットについて紹介します。

新卒を除き、未経験者がいきなり正社員になるというのはIT業界においても厳しいものです。そのため、まずはSES契約として働く人も少なくないのですが、そこには幾つかのメリットがあるからです。

メリット1:経験値が増えスキルアップできる

SES契約で働くことは、様々な企業の様々な案件に関わることを意味しているため、経験値が増えスキルアップすることが可能だというメリットがあります。

SES契約とは、契約を結んだ企業の仕事を請け負うので、様々な経験をすることが可能になります。1つの企業に勤めた場合とは得られる経験の種類が違います。そのため、様々な方面でのスキルアップができる可能性があります。

メリット2:残業が少ない

既に紹介しているように、SES契約とは「契約の内容に沿って仕事をする」という契約であり、完成させなければならないという義務が発生しないため、残業が少ないというメリットがあります。

SES契約では、契約した内容の通りに働いて労働力を提供していれば、問題ないでしょう。とは言え、完成させられるようにきちんと自分が担っている業務を適切に行うことは必要です。

メリット3:人脈が広がる

SES契約とは、指揮系統が自社からとなっているものの、契約先の企業との関わり合いも増えるため、様々な業種の企業に人脈を広げることも可能です。人脈の豊富さについては、自社や取引相手に限られる1社でのみの働き方とは違います。

SES契約はあまり評判がよくないと前述しましたが、人脈を広げるためにあえてSES契約を選ぶ、という人もいます。

メリット4:正社員登用がある

SES契約でスキルのあるシステムエンジニアを確保したい、と考えている企業もあるため、正社員として登用されるケースがあります。IT業界は人材不足と言われていますが、それでも正社員にはなかなかなれません。

そこで、SES契約をして経験を積み、その経験や人脈を武器に正社員を目指す、という方法があります。企業にしてみても、SES契約とは即戦力の人材を手に入れるチャンスなのです。

SES契約に関するデメリット5つ

ここまではSES契約に関するメリットについて紹介してきました。とはいえ、やはりSES契約にはデメリットも多いことを知っておくべきでしょう。

ここからは、SES契約の5つのデメリットについて紹介していきます。SES契約をすべきか考えている方は、メリットと共にデメリットについても知っておきましょう。

デメリット1:収入が低い

請負契約の中でも一括請負契約とは違い、完成させる義務までは負っていないSES契約の場合は、報酬が低く抑えられることが多く、収入が低いことがデメリットになるでしょう。

完成までの責任がないため、残業が少なく時間的に自由になりやすいというのがメリットでした。しかし、責任が少ない分、収入も低くなってしまうというデメリットがあります。

デメリット2:キャリアコントロールができない

SES契約では、様々な業種の案件を担当できることがメリットなのですが、良い案件ばかりにあたるとは言い難く、キャリアコントロールが難しいというデメリットがあります。

キャリアアップできるような案件に当たるかどうかを、SES契約している本人が選ぶことはできません。契約書にある通りに仕事をしなければならないので、時には望んでいないような案件を担当する必要もでてくるでしょう。

デメリット3:環境の変化が激しい

SES契約は派遣契約とは違いますが、契約した取引先に出向いて仕事をする必要がある場合も多く、出向する企業がよく変わるなど環境の変化が激しい点もデメリットでしょう。

人間関係の構築に時間がかかる人などは、めまぐるしく変わる人間関係がストレスになることも考えられます。なるべく安定した生活がしたいという方、日々の変化に対応するのが難しい方には注意が必要でしょう。

デメリット4:指揮系統が混乱することがある

SES契約では、指示を出すのは自社であってクライアントではないのですが、クライアントによってはSES契約というものを理解していなかったり、派遣と混同していて勝手に業務命令を下されたりなど指揮系統が混乱することがあります。

SES契約をしている相手にクライアントが指示するのは違反行為にあたります。クライアントが業務命令を出すのであれば、それは請負契約ではなく派遣契約でなければいけません。

デメリット5:IT土方としての業務になることもある

IT土方とは、いわゆる誰にでもできる業務を多く任される人のことです。SES契約を結んでいても、それだけの技術力がないと判断された場合は、IT土方として、重要度の低い仕事ばかりを回されることになりかねません。

IT土方は、だれにでもでき、重要度の低い業務が多いので収入は低くなります。SES契約を続けていても、さらなるキャリアアップは望めないでしょう。

SES契約に向いている人の特徴

ここからは、SES契約をして働くことが向いている人とはどんな人なのか、その特徴について見ていきましょう。SES契約は様々な問題点があるのですが、それでもやはり目指すだけの魅力がある契約でしょう。

開発スキルが高い

SES契約に向いている人とは、まずは開発スキルが高い人です。高い技術力を持った人は、どこの業種でも重宝されることでしょう。

また、SES契約は即戦力を期待されるため、確かな技術力がある人ならクライアントの要望に沿うでしょう。そういった開発スキルの高い人なら、正社員としての道が開けやすいと言えるのではないでしょうか。

サポート力が高い

SES契約では、様々な業種の様々な案件に携わることになるため、状況判断力に優れていてサポート力の高い人が向いているでしょう。

SES契約では、途中から参加した場合でもプロジェクトチームにすぐ馴染め、円滑に動ける人が求められています。ある程度、コミュニケーション能力も求められるでしょう。

SES契約について理解し理想のキャリアを歩もう

SES契約とはどんな契約なのか、メリットやデメリットなどについて紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。

SES契約は、システムエンジニアとして活躍したい人や、開発会社の正社員を目指す人にとって実力を発揮する場にもなります。大切なことは、どんな契約かを理解して自身のキャリアアップに役立てていくことです。

 

この記事を書いた人

兵庫県西宮市出身。現在大学4年生。プログラミングスクールを卒業したのち株式会社SAMURAIでインターン生として活動中。
記事の執筆や編集、業務改善システムの改善を担当中。

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