Raspberry Piってどんな機能を持っているんだろう
自分が作りたいものをRaspberry Piで実現できるのか分からない
Raspberry Piの種類による違いって何
最近は特に話題となることが多くなってきたIoT開発の元祖とも言えるシングルボードコンピュータがRaspberry Piです。2012年頃に発売された当時は、衝撃的で勢いあまって購入してしまったという人も少なくないでしょう。
しかし、みなさんはRaspberry Piを活用されていますか?
買ってみたけどイマイチ何ができるか良くわからない……という人も多いはず。Raspberry Piはどんな機能を持っていて何が作れるのでしょうか。
そこで、この記事では初心者でもRaspberry Piを使ってできることについて分かりやすく解説していきます。ぜひ最後まで読んで理解を深めて頂ければ幸いです。
この記事の目次
RaspberryPiの基礎知識
この章では、Raspberry Piの基本的な概要と機能について詳しく見ていきましょう。主に、ソフト面とハード面について学んでいきます。
ソフトウェアから見る特徴
まずRaspberry Piが他のシングルボードコンピュータと比較して大きく異なるのは、OSとしてLinuxを動かせるという点でしょう。つまり、ごく普通のLinux PCとしても利用できるという意味になります。
もちろんマシンスペックの規模が小さいので大規模な処理は厳しいですが、基本的なブラウジングやプログラミングなどの作業であれば十分な性能を持っています。このLinuxが動くという意味は思いのほか大きなポイントであり、自分で好きな開発環境を構築したりサーバーとして利用するなど、可能性が非常に大きくなるわけです。
しかもLinuxにはさまざまなカスタマイズ版のOS(ディストリビューション)が存在しており、最も人気のあるUbuntuやサーバー用途によく使われるCentOSなど非常にたくさんの選択肢があります。Raspberry Pi向けに提供されているOSのRaspbianもこの1種というわけです。
このような背景から、Raspberry Piは単独で開発できるだけでなく環境も自分の好きなように用意して、好きなプログラミング言語を使ってIoT開発できる唯一の存在と言えるでしょう。
ハードウェアから見る特徴
Raspberry Piには入出力用のGPIOが搭載されており、これこそがIoT開発の可能性を大きく広げている特徴でもあります。
つまり、Linux系のOSが動くパソコンのような存在でありながら、GPIOを使って電子工作も実現できるわけです。
例えば、カメラを接続して人感センサーをGPIOと繋げれば監視カメラに早変わりするし、温湿度センサーと赤外線センサーをGPIOに繋げれば自動でエアコンを制御するスマートホームも実現できるわけです。
このような電子部品を簡単に接続可能であり、制御を行うための開発環境もRaspberry Piだけで実現できるので非常に便利です。他にも、無線LANやBluetoothなども搭載しているのでさまざまな電子機器との接続も可能です。
RaspberryPiのできること
この章では、これまで見てきた特徴を踏まえてRaspberry Piで実現できることを見ていきましょう。主なプロダクト事例と共に自分がイメージするものが実現できそうか確認してみましょう。
オリジナルサーバーとして使う
Raspberry Piは一般的なPCと比べると消費電力がとても少ないので、24時間365日ずっと電源を入れっぱなしで利用可能です。このことから、Raspberry Piをサーバーとして使うという人も多いわけです。
例えば、個人用のWebサイトをホスティングするためにRaspberry Piのサーバーを利用してネット上に公開してみたり、音楽ファイルを大量に詰め込んで自分専用のSpotifyみたいな使い方もできるわけです。
(※大量のアクセスが予想される用途にはあまり向かないです)
さらに、Raspberry Piを10台・20台と複数個繋げて使うことも可能で、使い方次第では小型のスーパーコンピューターを自宅に設置する夢も実現するかもしれません。
電子工作のプラットフォームとして使う
冒頭でも少し紹介しましたが、GPIOを上手く活用することでさまざまな電子部品とRaspberry Piを繋げることができます。このような背景から、スマートホームやオリジナル家電を自作する用途に使う人も少なくありません。
また、アイデア次第では超小型のポケットPCを作成したり、自転車を電動にしてみたり、自作のドローンを開発するなどさまざまな事例が多く公開されています。
電子工作の初心者であれば数多くの電子部品を接続することから始めて、慣れてきたら自作のプロダクトに挑戦できるので上級者でも楽しめるでしょう。
ユニークなアイデアを考えて、それを実現するために部品を調達してRaspberry Piで組み立てて具現化するという流れは、STEM教育にも応用することができるでしょう。
普段使いのPCとして使う
Raspberry PiはLinuxが動くコンピューターであることから、そのまま普段使いのPCとしてカスタマイズする人も少なくありません。
初期の頃はマシンスペックが低かったのですが、最新のRaspberry Pi 3やもうすぐ発売されるRaspberry Pi 4であれば普段使いのPCとして十分な性能を持っています。Ubuntuを導入すれば、Office系のソフトやグラフィック系のソフトもたくさん提供されています。
また、Pi-Topと呼ばれるプロダクトを利用すればRaspberry Piをノートパソコンのように使えたり、モバイルディスプレイと接続してタブレット端末のように使えるCutiePiという商品も発売されています。
【pi-top】
【CutiePi tablet】
RaspberryPiの種類による違い
この章では、Raspberry Piのいくつかある種類の違いについて見ていきましょう。用途に合わせて種類を選択できるようになるための知識について学んでいきます。
RaspberryPiのモデル
Raspberry Piを大きく分けると、3つのシリーズ(種類)に区別することができるでしょう。
- Model Aシリーズ
- Model Bシリーズ
- Zeroシリーズ
おおまかに説明すると、Model Aは低スペックの廉価版となりModel Bは通常のスペックで、Zeroは超小型の廉価版というイメージで覚えておくと良いでしょう。
ただし、2019年9月時点においてModel Aシリーズは国内で非常に入手しづらい状況なので、現状はModel BとZeroの2種類で検討することになるでしょう。
主なスペックの違いは以下のとおりです。
Raspberry Pi2 Model B | Raspberry Pi3 Model B | Raspberry Pi3 Model B+ | Raspberry Pi Zero | Raspberry Pi Zero W / WH |
|
---|---|---|---|---|---|
CPU | 4コア 900MHz | 4コア 1.2GHz | 4コア 1.4GHz | 1コア 1GHz | 1コア 1GHz |
メモリ | 1GB | 1GB | 1GB | 512MB | 512MB |
有線LAN | 10/100 Mbps | 10/100 Mbps | 300 Mbps | なし | なし |
無線LAN | なし | 2.4GHz | 2.4GHz, 5GHz | なし | 2.4GHz |
消費電力 | 約350mA | 約400mA | 約450mA〜 1.2A | 約100mA | 約150mA |
重量 | 45g | 45g | 45g | 9g | 9g〜 |
(※Ver1の初期型は除外しています)
Model Bシリーズは、最新版となるRaspberry Pi Model B+がもっともスペックが高く高機能です。それじゃあ他のModelは必要ないの? と思うかもしれませんが、用途によっては消費電力を抑えたいとか簡易的な機能しか使わないなどのケースによって選択することになります。
Zeroシリーズは、スペックが低いのであまり大規模な処理には向いていません。一般的には単機能のIoT開発に特化していると言えるでしょう。
例えば、遠隔でデータを取得するだけの機能とか、スマートホームの中継に使うなど簡単な処理を手軽に開発できるのが強みです。
これらの種類を抑えておけば、自分が作りたいものに最適なRaspberry Piを選択できるようになるでしょう。
まとめ
今回は、Raspberry Piの基礎知識やできることなどを学習しました。
最後に、もう一度ポイントをおさらいしておきましょう!
- Raspberry PiはLinuxを搭載しつつGPIOも使える万能型のIoT開発ボードである
- Raspberry Piはサーバー、電子工作、PCなどに活用できる
- Raspberry PiはModel A、Model B、Zeroの3種類に区分けできる
上記内容を踏まえて、ぜひ自分でもプログラミングに取り入れて活用できるように頑張りましょう!