システムエンジニア(SE)になるのに取得必須の資格はある?
SEへの就職や転職に役立つ資格があるなら取得しておきたいな…
「システムエンジニア=専門職」といったイメージから、資格が必要なのではないかと感じている人は多いですよね。
また、SEへの就職・転職に役立つ資格があるなら、取得しておきたいと考えている人もいるはず。
そこで、この記事では独自調査を踏まえ、システムエンジニア(SE)に資格は必要なのか、その是非をわかりやすく解説します。システムエンジニアが資格を取得するメリットや就業に役立つおすすめの資格も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
- システムエンジニアになるうえで取得が必須の資格はない
- 資格は就業時や昇進・昇格時に役立つケースがある
- 初心者は「基本情報技術者試験」から取得を目指すのがおすすめ
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この記事の監修者
フルスタックエンジニア
音楽大学卒業後、15年間中高一貫進学校の音楽教師として勤務。40才のときからIT、WEB系の企業に勤務。livedoor(スーパーバイザー)、楽天株式会社(ディレクター)、アスキーソリューションズ(PM)などを経験。50歳の時より、専門学校でWEB・デザイン系の学科長として勤務の傍ら、副業としてフリーランス活動を開始。 2016年、株式会社SAMURAIのインストラクターを始め、その後フリーランスコースを創設。現在までに100名以上の指導を行い、未経験から活躍できるエンジニアを輩出している。また、フリーランスのノウハウを伝えるセミナーにも多数、登壇している。
本記事の解説内容に関する補足事項
本記事はプログラミングやWebデザインなど、100種類以上の教材を制作・提供する「侍テラコヤ」、4万5,000名以上の累計指導実績を持つプログラミングスクール「侍エンジニア」、を運営する株式会社SAMURAIが制作しています。
また、当メディア「侍エンジニアブログ」を運営する株式会社SAMURAIは「DX認定取得事業者」に選定されており、プログラミングを中心としたITに関する正確な情報提供に努めております。
記事制作の詳しい流れは「SAMURAI ENGINEER Blogのコンテンツ制作フロー」をご確認ください。
システムエンジニア(SE)に資格は必要?
結論からいえば、システムエンジニアになるうえで取得が必須の資格はありません。しかし、なかにはSEへの就職・転職時に役立つ資格もあります。
ここからは、次のトピック別にシステムエンジニアにおける資格の必要性を掘り下げて解説します。
「資格取得=SEになれる」ではない
システムエンジニアは資格を取得すればなれるわけではありません。
システムエンジニアは、医師や弁護士のような免許制の職業ではなく、次のような知識があれば目指せる職種だからです。
- プログラミングやシステム開発の知識
- システムを設計するスキル
- コミュニケーションスキル
また、未経験からポテンシャルを重視して採用される場合は、入社後に努力する意思や前職で身につけたスキルが評価されます。
そのため、IT関係の資格を取得したとしても、システムエンジニアになれる保証はありません。資格取得がシステムエンジニアへの就職・転職に直結すると考えている場合、かけた労力に対して成果が見合わないと感じる可能性があります。
ただし、資格取得はシステムエンジニアへの就職・転職に直結しないものの、良い効果は期待できます。時間・金銭的な余裕がある場合、積極的に資格取得を目指すと良いでしょう。
資格はSEへの就職・転職に効果的
取得した資格によってはシステムエンジニアへの転職・就職に効果的なものもあります。
前述したとおり、システムエンジニアに資格は必須ではありません。しかし、資格を取得すれば、専門知識やスキルを客観的に証明できるため、就職・転職時に役立つ可能性があります。
事実、プログラミングの資格取得者へ実施した調査では実務経験の有無に関わらず「資格の取得はITエンジニアへの就職・転職におすすめできる」といった回答が多くを占めました。
ITエンジニアへの就職・転職にプログラミング資格の取得はおすすめできるか | ・未経験/異業種から目指す場合 94%:おすすめできる 6%:おすすめできない ・プログラミングの実務経験がある場合 77%:おすすめできる 23%:おすすめできない |
未経験からシステムエンジニアを目指す人は、スキルを証明する手段が多くありません。また、面接で志望者がスキルを口頭で説明した場合、本当にスキルがあるか判断するのは難しいです。その点、資格は客観的に保有スキルや知識を証明できます。
資格というわかりやすい評価基準があれば、企業側も保有スキルや努力値を加味して採用しやすいです。実際、ITエンジニアへのアンケートでは、就職・転職時に資格取得をおすすめする声が大多数でした。
未経験からITエンジニアを目指す場合は94%、プログラミングの実務経験がある場合は資格取得をおすすめできると回答した人が77%でした。
この結果から、システムエンジニアへの就職・転職を目指す場合、資格取得は良い効果を得られる可能性があるとわかります。
一方で、どのような資格でも就職・転職に良い効果があるわけではありません。ITエンジニア向けの資格は多くあり、システムエンジニアに関係性が薄い資格もあります。システムエンジニアへの就職・転職に役立てるには、仕事内容に適した資格を選択してください。
SEとして働くなかで資格の取得が重要になる可能性も
システムエンジニアとして働き始めた後で、資格取得が求められるケースもあります。
たとえば、クライアントのなかには技術者に対し、特定の資格取得を条件とする場合があるのです。資格取得を条件にするのは、クライアントが技術者のスキルレベルを担保する意味があります。
指定された資格を取得していなければ、業務に参加できません。チャレンジできる仕事の選択肢が減るのは、システムエンジニアとして成長する機会の損失につながります。
さらに、昇給や昇進の条件に資格取得が含まれるケースも。仕事の幅や給料の面で、資格取得がポイントになるかもしれないのです。
なお、システムエンジニアとして働くなかで必要となりえる資格を先に取得したい人は、自分のスキルレベルに合う資格からチャレンジしましょう。
資格ごとに求められるスキルレベルが異なるため、無理のない範囲で受験することが大切です。スキルレベルに合わない資格を受験すれば、合格できず学習時間が無駄になる可能性もあります。また、資格学習に力を入れるあまり、業務に必要なスキルアップをおろそかにするのは良くありません。
資格取得と業務を両立するためには、無理のない範囲で先々必要となる資格取得を目指す必要があります。
システムエンジニア(SE)が資格を取得する4つのメリット
ここからは、資格がシステムエンジニアにどう役立つのか、メリットを、4つにまとめて紹介します。
なお、先ほど紹介した同調査では「取得したプログラミングの資格が役立ったと感じたこと」を聞いた質問へ、次のような回答がありました。資格取得にどんなメリットがあるのか、イメージする際の参考にしてください。
取得したプログラミングの資格が役立ったと感じたこと | 35%:プログラミングスキルの向上 23%:副業での収入獲得・案件獲得・単価UP 22%:ITエンジニアやIT企業への就職・転職 14%:社内での昇進・昇給 6%:フリーランスへの独立 |
取得勉強を通じたスキルの向上
取得試験に向けた勉強の過程でシステムエンジニアに必要なスキルの向上が目指せる点は、資格を取るメリットの1つです。
学習内容は資格により異なるものの、次のように技術スキルやマネジメントスキルなど幅広く学べます。
- IT全般の基礎知識
- プログラミングスキル
- システム開発の手順
- システム設計のノウハウ
- マネジメントスキル
また、資格取得の目標があれば、ただスキルを学ぶよりモチベーションが維持しやすいです。学習する理由があれば、面倒な学習も計画的に実施しやすいでしょう。資格を取得できれば、客観的なスキルの証明と技術力の向上を両方実現できるためおすすめです。
就業時のアピールに役立つ
資格は、システムエンジニアへの就職・転職時に企業へのアピール材料としても活用できます。
前述したとおり、資格は客観的に企業へ保有スキルや知識をアピールできる材料です。加えて、資格取得のために努力した過程も評価対象となりえます。
- 資格を取得した目的
- 取得した資格を選んだ理由
- 資格勉強で苦労した点/工夫した点
- 資格を今後どう活かしたいか
資格を取得した目的や今後の抱負を企業に説明できれば、ポテンシャルとやる気をアピールできるのです。とくに未経験の人材を募集している企業は、今のスキルより将来的な伸びしろを評価する傾向があります。
少しでもアピールポイントを増やしたい人は、積極的に資格取得に挑戦すると良いでしょう。
社内での昇進・昇給
資格は、社内での昇給・昇進に役立つ側面もあります。
企業により制度は異なるものの、指定された資格の保有や取得に手当が支給されるケースがあります。手当の支給方法は、次の2種類が一般的です。
- 資格取得時の一時金
- 保有資格に対して給料アップ
手当の金額は資格の種類や企業により異なるため、入社時に確認してください。
また、資格手当のほかに昇進につながるケースもあります。
- 課長/部長
- プロジェクトマネージャ
- プロジェクトリーダー
役職ごとに資格取得の条件がある企業も。昇進できれば成長を実感できるだけでなく、給料アップも実現できます。将来的に昇進・昇給を目指したい人は、資格取得を視野に入れて行動すると良いでしょう。
取引先への安心材料になる
取引先への安心材料になり得る点は、システムエンジニアが資格を取得するメリットの1つです。
取引先はシステム開発に精通していないケースもあり、担当者の技術力に不安を抱えている場合があります。文面で保有スキルを説明しても、専門知識が少ない人にはスキルレベルを理解できない可能性も。
その点、客観的にスキルが証明できる資格を提示できれば、取引先へのアピールがしやすく安心につながります。とくに国が認定する国家資格であれば、社会的な信頼度が高いです。
資格で取引先との関係性を構築できれば、社内での存在感も高まります。仕事を円滑に進めるために、資格を取得するのも1つの手です。
取得前におさえておきたい資格の種類
ここからは、システムエンジニアに役立つ資格の種類を、3つにまとめて解説します。
国家資格
国家資格は、国が公認した資格です。
日本における国家資格は、国内で必要なIT技術に関する資格が指定されており、特化型の資格より網羅型の資格が多く選ばれています。
たとえば、次のような資格が該当します。
国家資格は国のお墨つきを得られる資格であるため、国内では評価されやすいです。そのため、国家資格を取得すれば、システムエンジニアを目指すにあたって有利にはたらく可能性があります。
IT分野の資格に精通していないクライアントでも、知名度が高く日本語での情報が多い国家資格は評価しやすいです。
IT企業の知名度も高いため、どの資格を取得するか迷う場合、国家資格を選択すれば後悔は少ないでしょう。
民間資格
民間資格は、民間企業や団体が実施する資格です。IT業界の要望や需要を考慮した資格が多く、専門性と網羅性のバランスを取った資格が多い傾向にあります。
IT業界で求められるスキルや知識が問われる試験であるため、取得できればシステムエンジニアからキャリアチェンジするときにも役立つ資格です。
難易度も国家資格ほど高くなく、未経験者から受験できる資格も。国家資格やベンダー資格など、難易度が高いと感じる人は、民間資格からチャレンジするのもおすすめです。
ベンダー資格
ベンダー資格は、民間企業や団体が特定の製品やサービスに関する技能を認定する資格です。
民間資格と同一にとらえられるケースもありますが、ベンダー資格は試験を実施する企業が提供する製品やサービスに特化したスキル・知識が問われます。製品の使用方法や、運用サポートなど製品やサービスの普及につながる資格でもあるのです。民間資格より出題内容が特化しており、活用できる開発分野が限られます。
代表的な資格は、次の3つです。
ベンダー資格は国家資格に劣るわけではなく、特定のスキルを必要とする企業や案件では高く評価されています。万人におすすめできる資格は少ないものの、必要に応じて取得すれば就職・転職時に活かせる資格が多いです。
システムエンジニアにおすすめの国家資格8選
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が運営するIT関係の国家資格は、次のとおり多くの種類があります。
資格ごとに求められるスキルや難易度が異なるため、どれを選択すべきかわからない人もいるでしょう。ここでは、システムエンジニアにおすすめの国家資格を8つ紹介します。
ITパスポート
ITパスポートは、IT基礎知識が学べる入門向けの資格です。
令和5年10月に実施された試験の合格率は53.7%と高く、今回紹介するなかで最も取得しやすい資格といえます。
出題内容はシステムエンジニアを含むITエンジニア、一般社会人に必要なIT基礎知識がメインです。
- AI/ビッグデータ/IoTなど最新技術
- マーケティングや経営戦略
- セキュリティやネットワーク
知識を問われる資格のため、はじめてIT分野に触れる人でも合格を目指せます。システムエンジニアを目指す人以外にも、すべての社会人が学んでおきたいITリテラシーを学べる試験です。
公式サイトで詳細を見る時期 | 随時 |
試験料 | 7,500円 |
試験時間 | 120分 |
出題形式 | 多肢選択式(四肢択一) |
出題数 | 100問(小問形式) |
なお、ITパスポートの詳細は次の記事で詳しく解説しています。取得するメリットや学習方法を知りたい人は、あわせてご覧ください。
基本情報技術者試験
基本情報技術者試験は、ITエンジニアの登竜門といわれる試験です。
ITパスポートより難易度が高い資格で、合格率は令和5年度10月試験で42.4%でした。令和4年度までの合格率は30%を切る年もありましたが、シラバスの改定により合格率が向上した可能性もあります。いずれにしても、ITパスポートよりは難易度が高いため、十分に準備して試験に挑む必要があります。
出題内容は、ITパスポートの内容をより専門的で技術者向けにしたものです。具体的には、次の知識・スキルが問われます。
- プログラミングやハードウェアに関する知識
- ネットワークに関する知識
- セキュリティに関する知識
- プロジェクトマネジメントに関する知識
- システムの企画や企業活動に関する知識
基本情報技術者試験では、システムエンジニアに必要なIT関連の知識が幅広く問われるため、これから実務を経験する人におすすめです。
公式サイトで詳細を見る時期 | 随時 |
試験料 | 7,500円 |
試験時間 | 科目A:90分 科目B:100分 |
出題形式 | 科目A:多肢選択式(四肢択一) 科目B:多肢選択式 |
出題数 | 科目A:60問 科目B:20問 |
回答数 | 科目A:60問 科目B:20問 |
なお、基本情報技術者試験の難易度や勉強方法は次の記事で詳しく解説しているので、あわせて参考にしてください。
応用情報技術者試験
応用情報技術者試験は、応用的なIT知識・スキルを求められる資格です。
基本情報技術者試験が基礎的なIT知識を中心に問われたのに対し、応用情報技術者試験は次の知識を問われます。
- ITを活用したシステム計画
- 計画に対応した要件定義の作成方法
- ITシステムの開発/運営方法
- ITを活用した経営戦略
システム開発だけでなく管理、経営まで幅広い知識と応用力が必要です。
問われる内容の専門性が高いため、令和5年度の合格率は27.2%でした。基本情報技術者試験と比べて難易度は高く、継続した学習が必要です。とくに午後試験で記述式問題が出題されるため、解答を深く理解する必要があります。
難易度が高い点を踏まえると、無理に挑戦するのではなく、システムエンジニアの経験を積んでからチャレンジすると良いでしょう。
公式サイトで詳細を見る時期 | 春期(4月)/秋期(10月) |
試験料 | 7,500円 |
試験時間 | 午前:9:30~12:00(150分) 午後:13:00~15:30(150分) |
出題形式 | 午前:多肢選択式(四肢択一) 午後:記述式 |
出題数 | 午前:80問 午後:11問 |
回答数 | 午前:80問 午後:5問 |
なお、応用情報技術者試験の難易度や勉強方法は下の記事で詳しく解説しているので、あわせて参考にしてください。
情報処理安全確保支援士
情報処理安全確保支援士は、情報セキュリティ分野の国家資格です。
資格を取得することで、情報セキュリティの専門家として、安全なシステムの開発から運用までのスキルを身につけられます。
- 企画
- 要件定義
- 開発
- 運用/保守
システムエンジニアも近年、セキュリティ対策やITリテラシーを求められます。情報処理安全確保支援士を取得すれば、セキュリティの専門家として企業にアピールが可能です。
セキュリティに関する専門性の高いスキルを求められるため、合格率は令和5年度春季試験で19.7%でした。難易度は高いため、学習期間を長く設定するか、セキュリティ関連の実務経験を積む必要があるでしょう。
なお、合格後に登録簿へ登録することで、情報セキュリティのスペシャリストを意味する「情報処理安全確保支援士」として仕事ができます。情報処理安全確保支援士は、IT系資格で初の登録制士業です。そのため、セキュリティ関連の仕事をしたい人に向いています。
公式サイトで詳細を見る時期 | 春期(4月)/秋期(10月) |
試験時間 | ・午前Ⅰ:50分(9:30~10:20) ・午前Ⅱ:40分(10:50~11:30) ・午後:90分(12:30~15:00) |
試験料 | ・7,500円 情報処理安全支援士として活動する場合は、別途登録料が必要です。 ・登録免許税:9,000円 ・登録手数料:10,700円 |
出題形式 | ・午前Ⅰ:多肢選択式(四肢択一) ・午前Ⅱ:多肢選択式(四肢択一) ・午後:記述式 |
出題数 | ・午前Ⅰ:30問 ・午前Ⅱ:25問 ・午後:4問 |
解答数 | ・午前Ⅰ:30問 ・午前Ⅱ:25問 ・午後:2問 |
データベーススペシャリスト試験
データベーススペシャリスト試験は、データベース分野の国家資格です。
データベースの構築や、データ分析に関する知識が問われます。
- 企画
- 設計
- 開発
- 保守/運用
データベースを開発するスキルだけでなく、条件に合う技術や技法の選択、カスタマイズを行うスキルが必要なため難易度が高いです。
令和4年度秋期の合格率は17.6%で、実施年によっては15%を下回るケースもあります。今回紹介する資格のなかでも難易度は高く、実務経験者の受講を想定した資格です。システムエンジニアとして働くうえで、データベース分野のスキルに特化させたい人におすすめの資格といえます。
公式サイトで詳細を見る時期 | 秋期(10月) |
試験時間 | ・午前Ⅰ:50分(9:30~10:20) ・午前Ⅱ:40分(10:50~11:30) ・午後Ⅰ:90分(12:30~14:00) ・午後Ⅱ:120分(14:30~16:30) |
試験料 | 7,500円 |
出題形式 | ・午前Ⅰ:多肢選択式(四肢択一) ・午前Ⅱ:多肢選択式(四肢択一) ・午後Ⅰ:記述式 ・午後Ⅱ:記述式 |
出題数 | ・午前Ⅰ:30問 ・午前Ⅱ:25問 ・午後Ⅰ:3問 ・午後Ⅱ:2問 |
解答数 | ・午前Ⅰ:30問 ・午前Ⅱ:25問 ・午後Ⅰ:2問 ・午後Ⅱ:1問 |
プロジェクトマネージャ試験
プロジェクトマネージャ試験は、開発プロジェクトでのマネジメントスキルを問われる資格です。
次のような、円滑にシステム開発を完了するためのスキルが求められます。
- システムの計画支援
- プロジェクトの進捗管理
- プロジェクトの資源管理
- プロジェクトのリスクマネジメント
技術的なスキルよりマネジメントスキルを求められるため、実務経験のある人のほうが合格しやすい試験です。
合格率は令和4年度秋期試験で14.1%と低く、難易度は高い資格といえます。午後試験は記述式と論述式の問題が出題されるため、より深い理解が必要です。
システムエンジニアは、設計やクライアントとの意思疎通など開発の調整作業もあります。マネジメントに特化して、キャリアアップしたい人におすすめの資格です。
公式サイトで詳細を見る時期 | 秋期(10月) |
試験時間 | ・午前Ⅰ:50分(9:30~10:20) ・午前Ⅱ:40分(10:50~11:30) ・午後Ⅰ:90分(12:30~14:00) ・午後Ⅱ:120分(14:30~16:30) |
試験料 | 7,500円 |
出題形式 | ・午前Ⅰ:多肢選択式(四肢択一) ・午前Ⅱ:多肢選択式(四肢択一) ・午後Ⅰ:記述式 ・午後Ⅱ:論述式 |
出題数 | ・午前Ⅰ:30問 ・午前Ⅱ:25問 ・午後Ⅰ:3問 ・午後Ⅱ:2問 |
解答数 | ・午前Ⅰ:30問 ・午前Ⅱ:25問 ・午後Ⅰ:2問 ・午後Ⅱ:1問 |
ITストラテジスト試験
ITストラテジスト試験は、経営分野の国家資格です。
対象者はCIOやCTO、ITコンサルタントを目指す人で、次のようなスキルが問われます。
- 事業企画/経営戦略の作成
- 事業戦略を実現するITシステム計画の作成
IT関連の資格ではあるものの、経営者や企業を動かす管理者に必要なスキルが必要です。システムエンジニアを経て、将来的に管理職や起業を目指している人におすすめです。
企業の経営にかかわるスキルが求められるため難易度は高く、令和5年春期の合格率は15.5%でした。システムエンジニアだけでなく、プロジェクトマネージャや管理職などを経験したうえで受験すると合格率を高められるでしょう。
公式サイトで詳細を見る時期 | 春期(4月) |
試験時間 | ・午前Ⅰ:50分(9:30~10:20) ・午前Ⅱ:40分(10:50~11:30) ・午後Ⅰ:90分(12:30~14:00) ・午後Ⅱ:120分(14:30~16:30) |
試験料 | 7,500円 |
出題形式 | ・午前Ⅰ:多肢選択式(四肢択一) ・午前Ⅱ:多肢選択式(四肢択一) ・午後Ⅰ:記述式 ・午後Ⅱ:論述式 |
出題数 | ・午前Ⅰ:30問 ・午前Ⅱ:25問 ・午後Ⅰ:3問 ・午後Ⅱ:2問 |
解答数 | ・午前Ⅰ:30問 ・午前Ⅱ:25問 ・午後Ⅰ:2問 ・午後Ⅱ:1問 |
システムアーキテクト試験
システムアーキテクト試験は、上流工程を担当するITエンジニアを目指す人におすすめの資格です。
上流工程とは、システム開発における企画や設計など、開発するシステムの基礎を構築する工程です。システムエンジニアも上流工程を担当するケースが多い職種のため、相性がいい資格といえます。
ただし、システムアーキテクト試験は、システムエンジニアとしてのより専門性の高いスキルが求められます。たとえば、次のような目的を実現するためのスキルが必要です。
- システム戦略を元に設計するスキル
- 必要な要件を分析・整理してまとめるスキル
- 要件をクリアしつつセキュリティに配慮するスキル
資格の難易度は高く、令和5年春期試験の合格率は15.8%でした。システムエンジニアとして、実践スキルを高めていきたい人におすすめの資格です。
公式サイトで詳細を見る時期 | 春期(4月) |
試験時間 | ・午前Ⅰ:50分(9:30~10:20) ・午前Ⅱ:40分(10:50~11:30) ・午後Ⅰ:90分(12:30~14:00) ・午後Ⅱ:120分(14:30~16:30) |
試験料 | 7,500円 |
出題形式 | ・午前Ⅰ:多肢選択式(四肢択一) ・午前Ⅱ:多肢選択式(四肢択一) ・午後Ⅰ:記述式 ・午後Ⅱ:論述式 |
出題数 | ・午前Ⅰ:30問 ・午前Ⅱ:25問 ・午後Ⅰ:3問 ・午後Ⅱ:2問 |
解答数 | ・午前Ⅰ:30問 ・午前Ⅱ:25問 ・午後Ⅰ:2問 ・午後Ⅱ:1問 |
システムエンジニアにおすすめのベンダー資格3選
ここでは、システムエンジニアにおすすめのベンダー資格を3つ紹介します。
オラクルマスター
オラクルマスターは、日本オラクル社が実施している資格です。
オラクルマスターはデータベースに関する資格で、Oracle Databaseシリーズの技術力を評価し認定します。日本だけでなく海外でも実施されており、資格のレベルが4段階あります。
オラクルマスターに合格することで、オラクル製品を使用したデータベース構築や管理ができるスキルを証明できます。
なお、オラクルマスターはシルバー以降の試験に受験条件があるため、下位資格から受験しなければいけません。将来的にデータベースエンジニアを目指したい人は、まずシルバー以下の試験からチャレンジしてください。
公式サイトで詳細を見るLinux技術者認定試験
Linux技術者認定試験(LPIC)は、オープンソースのLinuxを活用してサーバーの構築を行うスキルが問われる資格です。
資格に合格することで、Linuxの運用・管理の知識とスキルを証明できます。LPICは次の3つのレベルにわかれています。
それぞれのレベルに1~2の試験が用意されており、下位資格の合格と指定試験の合格により認定を取得できます。
レベルが上がるにつれて、サーバー構築スキルだけでなく、条件や状況を考慮しながら臨機応変に作業を行う知識が必要です。
Linuxを使用したデータベースやインフラ構築が学べる資格であるため、将来的にインフラ・ネットワークエンジニアを検討している人におすすめです。
公式サイトで詳細を見るシスコ技術者認定
シスコ技術者認定は、シスコシステムズが実施する資格試験です。
資格に合格することで、シスコ社製品を使用したネットワーク構築に関する知識・スキルを証明できます。シスコ技術者認定試験には、4つのグレードがあります。
各グレードには複数の試験が用意されており、自分が学びたい分野を選択できます。エントリーが最も難易度の低いネットワーク入門向けで、上位グレードになるほど難易度と専門性が高いです。
このなかでおすすめの資格は「CCNA」です。グレードはアソシエイトで、難易度と求められるスキルレベルのバランスがよく、ネットワークエンジニアを目指したい人に向いています。
最近ではシステムエンジニアでも、ネットワークやセキュリティの知識を求められるため、スキルアップのために取得を目指すと良いでしょう。
公式サイトで詳細を見る【職種別】システムエンジニアにおすすめの資格
ここからは、次の職種別でシステムエンジニアにおすすめ資格を紹介します。
ネットワークエンジニア向け
ネットワークエンジニアを目指す人におすすめの資格は、次のとおりです。
- Linux技術者認定試験
- シスコ技術者認定
- オラクルマスター
- ネットワークスペシャリスト
ネットワークエンジニアはネットワークの要件定義や設計、システムの構築から保守作業まで幅広い業務を行います。担当する業務は幅広いため、ネットワークに加えデータベースに関する知識やスキルが必要です。
おすすめの資格は、オラクル・シスコ・Linuxなどネットワーク開発で使用頻度の高いツールを扱うスキルが身につきます。各資格とも難易度別に試験がわかれているため、自分の知識・スキルレベルにあわせて受験すると良いでしょう。
サーバーエンジニア向け
サーバーエンジニアを目指す人におすすめの資格は、次のとおりです。
- Linux技術者認定試験
- シスコ技術者試験
- 情報処理安全確保支援士
サーバーエンジニアは、サーバーの構築や保守・運用を行います。そのため、サーバーエンジニアには、OSやサーバー・データベースに関する知識・スキルが必要です。
Linux技術者認定試験やシスコ技術者試験を取得することで、サーバーやネットワーク構築スキルを身につけられます。
また、サーバーエンジニアはサーバー構築や運用時にセキュリティ対策を求められます。そのため、最新動向を踏まえたセキュリティ手法の知識が必要です。その点、情報処理安全確保支援士は難易度が高いものの、取得できればセキュリティ対策の専門知識を身につけられます。
セキュリティエンジニア向け
セキュリティエンジニアにおすすめの資格は、次のとおりです。
- シスコ技術者認定資格
- 情報処理安全確保支援士試験
セキュリティエンジニアは、セキュリティの専門家です。セキュリティに配慮したシステムの設計や実装、保守・運用などの業務を行います。そのため、幅広い知識を求められます。
- サーバー
- OS
- セキュリティ関連
- ネットワーク
- IT関連の法律
シスコ技術者認定資格を取得することで、ネットワークに関するセキュリティ対策スキルを身につけられます。また、学んだネットワーク技術は、セキュリティ対策を行うときに役立つはずです。
さらに、情報処理安全確保支援士試験に合格すれば、セキュリティ対策の専門家を名乗れるほど高いスキルを身につけられます。将来的にセキュリティ専門のITエンジニアを目指したい人は、2つの資格を検討すると良いでしょう。
プロジェクトマネージャ向け
プロジェクトマネージャにおすすめの資格は、次のとおりです。
- プロジェクトマネージャ試験
- ITストラテジスト試験
- 応用情報技術者試験
プロジェクトマネージャはプロジェクトをスムーズに進めるために、進行管理やマネージメント業務を行います。そのため、システム開発やプログラミングスキルだけでなく、リーダシップやコミュニケーションスキルが必要です。
応用情報技術者試験を取得することで、マネジメントの基礎になるIT分野全般の知識を身につけられます。また、プロジェクトマネージャ試験では、開発プロジェクトの進捗管理やリスクマネジメントなどを習得可能です。
さらに、より上位のプロジェクトマネージャを目指したい人は、経営や事業計画を作成するスキルが学べるITストラテジスト試験も向いています。
システムエンジニア(SE)の資格取得に向けた勉強方法
ここからは、システムエンジニアの資格取得に向けた勉強方法を、2つにまとめて紹介します。
なお、前述した同調査にて「プログラミングの資格取得に向け活用した勉強方法」を聞いたところ、
- 37%:本・書籍
- 25%:スクール・通信講座
といった回答が多くを占めました。自身にあう勉強方法を選ぶ参考にしてください。
プログラミングの資格取得に向け活用した勉強方法 | 37%:本・書籍 25%:スクール/通信講座 21%:学習サイト 17%:Youtube |
独学
独学のメリット | ・費用が少なくて済む ・自分のペースで学習できる |
独学のデメリット | ・効率的に学習できない可能性がある ・モチベーションの維持が大変 |
独学のメリットは、費用が少なくて済むところです。本や書籍を購入する場合でも、1,000~1万円程度で済むため、費用をおさえて合格が目指せます。また、学習のタイミングや頻度は自由であるため、自分の理解度やライフスタイルに合わせて学習可能です。
一方、独学の場合は学習方法によっては効率的に学習できないリスクも。さらに、1人での学習である点や資格取得は必須ではない点から、モチベーションの維持は大変です。反対に自分で学習を管理でき、自分に合う教材があれば独学でも資格合格を目指せます。
独学の方法は、おもに次のとおりです。
国家資格に関しては、IPAで公開されている過去問で学習するのがおすすめです。また、多くの学習本が発売されているため、自分に合う本を探すと良いでしょう。なお、難易度の高い本は挫折しやすいため、今のレベルで理解できるか、わかりやすい説明か必ずチェックしてください。
加えて最近では、WebサイトやYouTubeで学習する人も増えています。ネット環境があれば利用できるため、スマホやタブレットでも手軽に学習できます。学習方法に正解はないため、自分に合う独学方法を早めに見つけましょう。
スクール/通信講座
資格学習は、スクールや通信講座でも可能です。
有名な資格はスクールや通信講座で取り扱われており、1人での学習が不安な人に向いています。独学に比べ、講師のサポートやわかりやすい教材が利用できる分、効率よく試験対策ができます。
費用がかかるものの、出題内容を想定した予想問題など独自の対策も利用できるため、無駄なく学習を進められるのです。
加えて、スクールや通信講座を利用すれば、卒業後の転職・就職サポートも受けられます。資格取得と同時に転職・就職も実現したい人は、費用を考えても利用すべきです。
たとえば、SAMURAI ENGINEERの「LPIC資格対策コース」では、次のサポートを受けながら効率的にLPIC資格の取得を目指せます。
- 現役エンジニアのマンツーマン指導
- チャットでの質問機能
- 学習コーチとの面談
受講料の最大70%が受講後に支給される給付金制度や、転職サポートが受けられる点も魅力です。無料カウンセリングも実施していますので、スクールを検討中の人はお気軽にご参加ください。
公式サイトで詳細を見る高収入のシステムエンジニア(SE)になる3つのコツ
最後に、高収入のシステムエンジニアになるコツを、3つにまとめて紹介します。
就業前に実務の経験を積んでおく
資格取得と合わせて就業前に実務の経験を積むことで、収入を上げられる可能性があります。
未経験からシステムエンジニアを目指す場合、資格を取得しても給料は最低額からスタートするケースが多いです。未経験者は入社後の研修や経験を積む期間が必要で、即戦力になりにくいため、企業も高収入を支払えません。
その点、就業前に実務経験を積んでおけば、実績を企業にアピールして未経験より高い金額で採用してもらえる確率が高まります。
入社前の実績は、次の方法で積めます。
- アルバイト
- 副業
- インターンシップ
社会人はアルバイトや副業であれば、本業が休みの日や終業後に活動しやすいです。また、大学生であればインターンシップ制度を利用して、就活と実績作りの両方を実施できます。
大幅な給料アップは現実的ではないものの、少しでも収入アップしたい人は実務経験を積むと良いでしょう。
プログラマーからキャリアアップする
収入アップのために、プログラマーからキャリアアップする方法もあります。
プログラマーを経由することで、プログラミングスキルや開発現場のノウハウを得られます。開発現場で培ったスキルと経験があれば、システムエンジニアとして平均より高い収入を実現可能です。
システムエンジニアは、システムの企画・設計するのがメイン業務です。しかし、開発内容の理解やスケジュールに無理のない設計をするには、技術面の理解が欠かせません。
プログラミングに精通したシステムエンジニアであれば、クライアントの要望をくみ取り、最適な設計ができます。また、開発現場の負担や実現可能性も考慮できるため、円滑に作業できる環境を整えられるのです。
システムエンジニアのなかでも、プログラミングと上流工程の両方に精通した人は多くありません。企業は対応力があり、円滑に開発プロジェクトの管理ができる人材を評価します。プログラマーを経由することで、技術スキルを強みにして収入アップが実現できるのです。
なお、次の記事ではシステムエンジニアになる方法を詳しく解説しているので、あわせて参考にしてください。
SEのキャリアパスを把握しておく
高収入を実現するには、システムエンジニアのキャリアパスを把握しましょう。
キャリアパスを事前に確認することで、自分の目標キャリアを見つけられます。反対に受動的にキャリアを選んでしまうと、タイミングによっては収入アップが難しい選択肢しかない可能性も。先に目標を決めることで、逆算して必要なスキルや経験を積めるため、効率よく収入アップを目指せるのです。
たとえば、システムエンジニアのキャリアパスには、次の職種があります。
- ITスペシャリスト
- プロジェクトマネージャ
- ITコンサルタント
キャリアパスを決めたうえで取得する資格を選択すれば、さらに目的実現を効率化できます。収入アップを実現したい人は、キャリアパスを把握したうえで、長期計画を立てて行動すると良いでしょう。
なお、下の記事ではシステムエンジニアのキャリアパスを詳しく紹介してるので、良ければ参考にしてください。
まとめ
今回は、システムエンジニアにおすすめの資格を紹介しました。
システムエンジニアへの転職・就職に資格は必須ではないものの、取得すれば保有スキルや努力を評価してもらえる可能性があります。
システムエンジニアは幅広い分野の開発に携わるため、取得するメリットのある資格が多いです。今回紹介した資格を参考に、資格学習をスタートしてください。