【ExcelVBA】重なったセル範囲を取得するIntersectメソッドとは?

重なったセル範囲を取得 Intersectメソッドの基礎

こんにちは、フリーランスエンジニア兼ライターのワキザカ サンシロウです。

皆さんは、VBAで「Intersectメソッドを使ったことがありますか? セルの操作をするときに、このメソッドの使い方を覚えておくと便利です!

そこで今回は、「Intersectメソッドとは?」といった基礎的なことから、

  • Intersectメソッドの便利な使い方
  • Intersectメソッドを使ったサンプルコード
  • 重複するセルがなかった場合の対処方法

といった応用的な方法まで、徹底的に解説します!

目次

Intersectメソッドとは

まず、Intersectメソッドについて簡単に解説します。

Intersectメソッドとは、2つのセル範囲の中から重なったセル範囲を取得するためのメソッドです。

次のようなイメージですね。

2つのデータで重なった範囲を簡単に取得することができるので、使いこなすととても便利なメソッドです。

Intersectメソッドの便利な使い方

ただ、次のように思った方もいるのではないでしょうか。

重複したセル範囲を取得できるのはわかったけど、いつ使うんだろう……?

具体的なイメージがつかめない方も多いと思います。

Intersectメソッドは「使いたいセルの範囲を絞るとき」にとても便利です! 言葉だけでは伝わりにくいと思うので、具体的な例をご紹介しますね。

VBAでは、マウスで選択したセル範囲を取得するための処理「Workbook_SheetSelectionChange」があります。

「Workbook_SheetSelectionChange」内に処理を書くことで、「セルの選択範囲を変更したときに必ず起こる処理」を作ることができます。

これを応用すると、「データ一覧の中からドラッグして選択した範囲のデータだけを、別シートにコピーする」といった処理を作ることができます。

ただ、この処理を作るとき、「コピーしたいデータ以外のセル」はコピーしたくないですよね? たとえば、コピー元のヘッダ行「No、氏名、得意言語」などのデータはコピーしたくないはずです。

そんな時に便利なのが、Intersectメソッドです。

Intersect (コピーしたいデータ範囲 , Target関数で取得した選択範囲)とすることで、コピーしたい範囲のデータのみ取得することができます。

このように、Intersectメソッドを応用すれば「使いたいセルの範囲を絞るとき」にとても便利です。

Intersectメソッドのサンプル

次に、サンプルコードをもとに、具体的な使い方について解説します。

さきほど解説した、Target関数 + Intersectメソッドを使って選択したセル範囲をコピーするサンプルを用意しました。

最初に前提ですが、このサンプルはThisWorkbookオブジェクト内に処理を書いています。

ThisWorkbookオブジェクトは、ブック全体に対しての処理を書くことができるオブジェクトです。

セルの選択範囲を変更する処理のように、ブック全体に影響がある処理はThisWorkbookオブジェクトにイベントプロシージャとして設定できるので、覚えておくのがおすすめです!

サンプルコード:

Private Sub Workbook_SheetSelectionChange(ByVal Sh As Object, ByVal Target As Range)

  '貼り付け元の選択したセル範囲を取得
  Dim selectArea As Variant
  Set selectArea = Intersect(Range("A3:C7"), Target) 'A3:C7がデータ範囲
  
  'E列の「最終行 + 1」でコピー開始位置の行数を取得
  Dim maxRow As Long
  maxRow = Cells(Rows.Count, 5).End(xlUp).Row + 1

  '5列目の最終行にデータコピー
  selectArea.Copy Cells(maxRow, 5)

End Sub

 

セル選択前のデータ:

 

セル選択前のデータ:

「Workbook_SheetSelectionChange」ではセルを選択した範囲を変数名Targetで使えるので、Intersectメソッド内の引数にTarget・データ範囲を指定して選択したセル範囲を取得しています。

その後、データ貼り付け用にデータの最終行を取得し、Copyメソッドを使ってデータをコピーしています。

このように、選択したデータを使う処理を簡単に作ることができます。

ちなみに、最終行の取得方法・Copyメソッドの使い方については以下で詳しく解説しているので、気になる方は見てみてくださいね!

重複するセルがなかった時の対処方法

ここまでIntersectメソッドの使い方を解説してきましたが、1つだけ注意点があります。

重複するセルがない場合にセルのアドレスではなく、「Nothing」が結果として返ってきてしまうことです。

そのため、セルのアドレスが返ってくることを前提に処理を書いていた場合エラーになってしまうので、事前にチェック処理を入れておくのがおすすめです!

先ほどのサンプルに、チェック処理を追加したサンプルコードを用意しました。

サンプルコード:

Private Sub Workbook_SheetSelectionChange(ByVal Sh As Object, ByVal Target As Range)

  '貼り付け元の選択したセル範囲を取得
  Dim selectArea As Variant
  Set selectArea = Intersect(Range("A3:C7"), Target) 'A3:C7がデータ範囲
  
  'コピー元以外を選択していた場合は、処理終了
  If selectArea Is Nothing Then
    Exit Sub
  End If
  
  'E列の「最終行 + 1」でコピー開始位置の行数を取得
  Dim maxRow As Long
  maxRow = Cells(Rows.Count, 5).End(xlUp).Row + 1

  '5列目の最終行にデータコピー
  selectArea.Copy Cells(maxRow, 5)

End Sub

「If selectArea Is Nothing Then」でNothingが返ってきた場合のみ、処理を終了する「Exit Sub」を実行しています。

こうしておくことで、Intersectメソッドで重なったセル範囲がなかったとしても、処理がエラーにならないようにしています。

Intersectメソッドを使う時は、合わせて覚えておくのがおすすめです!

まとめ

今回は、Intersectメソッドを使って重複したたセル範囲を取得する方法について解説しました。

指定した枠内のデータのみ使う」といったケースで便利なので、使い方を覚えておくと便利です!

使い方も簡単なので、ぜひ使ってみてくださいね!

この記事を書いた人

北海道出身の30歳で、フリーランスエンジニア兼テックライターとして活動中。新卒入社したメーカー系のIT企業で、システムエンジニアとして約5年勤務。

Webアプリ、業務アプリ開発において、要件定義 ~ 運用保守まで様々な経験あり。また3歳の娘がいる1児のパパで、日々娘との時間を確保するために仕事を頑張っています!
侍エンジニアでは、【誰でもわかるレベルのわかりやすさ】を意識して、記事を執筆中。

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