フリーランスの始め方【完全独立必読マニュアル】必要な手続き・案件獲得手順まとめ

 

フリーランスの始め方は?どんな手続きが必要?
会社を辞めて独立したい!しかし食べていけるだろうか……

 

フリーランスに憧れがあっても実行できない理由のひとつが、「フリーランスという働き方や始め方が具体的にイメージできないから」です。

そこで、フリーランスの実態や具体的に何から始めれば良いのかをまとめました。フリーランスに興味がある人、いつか目指してみたいと思っている人は、ぜひ参考にしてください。

目次

始める前に知っておきたいフリーランスの実態

フリーランスを始めるには、まず実態を知っておくことが大切です。

フリーランスとは、会社組織に属さずに独立して働く人たちの総称です。会社員ではありませんから、給料ではなく成果物や労働時間などに対する報酬をクライアントから受け取ります。

なお、フリーランスの中でも開業届を出した個人を「個人事業主」と呼びます。

まずはフリーランスの仕事時間や年齢、職業といった実態を見てみましょう。

フリーランスの仕事時間や年齢

フリーランスについて最新の調査結果をまとめた「フリーランス白書 2021」によると、フリーランスとして働いている人の年齢分布は次のとおりです。

フリーランスとして働いている人の年齢分布

フリーランスとして働く人の年齢は主に、30歳~50歳代です。また、開業してからの期間については、約半数が5年未満となっています。

開業してからの期間

会社員としてある程度社会人経験を積んでから独立する人や、出産や育児で一時的に仕事を離れた後、ライフスタイルに合った働き方を選択する人などが多いと考えられます。

月の就業時間

1ヵ月の就業時間は、バラつきもあるものの、もっとも多いのは140~200時間未満となっています。1日8時間、週に5日働いた場合の就業時間は約160時間ですから、フリーランスの就業時間は一般的な会社員と同程度、ということになります。

しかし、半数近くの人が「140時間未満」と答えている点は、自分の希望に合わせた働き方ができるフリーランスならではの結果といえるでしょう。

フリーランスが多い職種とは

同じく「フリーランス白書 2021」によると、フリーランスとして働いている人の職種には、次のような種類があります。

  • エンジニア
  • イラストレーター
  • ライター
  • Webデザイナー
  • グラフィックデザイナー
  • 翻訳家
  • コンサルタント 
主な収入源

従来、事務職や営業職は正規雇用が主流でしたが、近年はフリーランスが一定数存在しています。Web系やエンジニアなど、フリーランスと相性の良い職種はありますが、それ以外の仕事でもフリーランスとして独立することは十分可能です。

引用:一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会「フリーランス白書 2021」

フリーランスの始め方【必要な手続き】

必要な手続き

「フリーランス」として働き始めるためには、下記の手続きを行う必要があります。

  • 開業届の提出
  • 個人事業開始申告書の提出
  • 青色申告承認申請書の提出
  • 年金と健康保険の手続き
  • 雇用保険の手続き

手続きの種類と概要を解説します。

開業届の提出

フリーランスを始めるときは、まず税務署に「開業届」を提出しましょう。

開業届を出さなくても罰則を課される、ということはありません。しかし、開業届は事業主としての公的な証明になりますし、提出すれば青色申告特別控除を受けられるなどのメリットがあります。

開業届の提出時期は、原則として「開業から1カ月以内」とされています。

なお、副業でフリーランスをする場合でも開業届を提出できます。ただし、収入が一時的な可能性があるのであれば、提出しなくても問題はありません。

会社員の場合、開業届を出していると将来会社を退職した際に失業手当がもらえなくなる可能性もあるので、注意が必要です。

参照:[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続|国税庁

個人事業開始申告書の提出

次に、フリーランスを始めるときは「個人事業開始申告書」を提出します。

開業届が「国税」関連の手続きであるのに対して、個人事業開始申告書は「地方税」の手続きです。提出しなくても罰則はありませんが、事業を開始するのであればきちんと申告しておきましょう。

提出先は「都道府県税事務所」で、開業届を提出する「税務署」とは別の場所です。間違えないようにしてください。

青色申告承認申請書の提出

青色申告承認申請書とは、「青色申告で申告をします」という届出です。開業届を提出した人だけが提出できる書類で、提出期限は業務開始から2ヵ月以内です。

フリーランスは、確定申告を行い所得を申告する必要があります。

確定申告をするときは白色申告と青色申告のどちらかの方法を選べます。青色申告を選べば、青色申告特別控除を受けることが可能です。

青色申告特別控除では、10万円・55万円・65万円のいずれかの金額が所得から控除されます。

フリーランス1本で独立するなら、青色申告をするのがおすすめです。会計ソフトを使えば、経理の知識があまりない人でもスムーズに手続きできます。

一方、副業でフリーランスをする場合や育児の合間に少し稼ぐ、という場合は白色申告で申告しても良いでしょう。

年金と健康保険の手続き

会社を辞めてフリーランスになるときは、年金と健康保険の切り替え手続きが必要です。

年金

年金の手続きは、市区町村役場の窓口で国民年金の手続きを行います。退職日がわかる書類(「離職票」や「健康保険資格喪失証明書」など)と年金手帳、印鑑、身分証を忘れないでください。

健康保険

健康保険は、「会社の健康保険の任意継続」「自治体の国民健康保険」「フリーランス団体等の健康保険」の3種類のいずれかを選択します。

  • 会社の健康保険の任意継続
    所属している健康保険組合に申し出ます。ただし、任意継続は会社を辞めてから2年間しか利用できません。
  • 自治体の国民健康保険
    年金の手続き同様、市区町村役場の窓口で手続きをします。
  • フリーランス団体等の健康保険
    エンジニアやライターなどの場合、「文芸美術健康保険組合」に加入できます。JNCA(ライター)などの団体に加入した上で申請手続きを行うため、独立直後ではなく、翌年以降の加入を目指すのがおすすめです(団体への加入時に、確定申告書の控え等の提出を求められることがあるためです)。

雇用保険関連の手続き

「会社を辞めて再就職先を探すか、フリーランスとして独立するか迷っている」という人は、ハローワークで雇用保険の手続きをしておきましょう。

なお、開業準備の期間がある場合は、準備を始めたのが一定期間経過後である必要があります。

フリーランスの始め方【仕事環境の整備】

仕事環境の整備

フリーランスを始めるにあたっては、仕事環境の整備も大切です。

とはいえ、実際に何をすべきかはそれぞれの人の状況や働き方によっても変わるでしょう。必ずやるべきことと必要に応じてやること、それぞれ解説します。

必ずやる準備

フリーランスを始めるときに必ずやる準備は、下記の4つです。

  • 事業用口座の作成
  • 請求書のひな形を作成
  • 帳簿の準備
  • 業務に必要な機器類の整備

方法を解説しますので、早めに準備しておきましょう。

事業用口座の作成

フリーランスの仕事で使う口座を用意します。事業用の口座を普段使いの口座とは別に用意しておくことで、帳簿の整理が簡単になります。

基本的に、事業に関する入金(取引先からの振り込み等)や出金(クレジットカードの引き落としや振り込み等)は、すべて同一の専用口座で行います。

もともと持っている銀行口座を事業用に転用する形でも問題ありません。その場合、残高を0円にしておくと収支がわかりやすくなります。

請求書のひな形を作成

フリーランスとして働くとき、自分で請求書を作って取引先に請求を行う場合があります。インターネットで無料のテンプレートを入手できるので、活用しましょう。

なお近年、郵送ではなくオンラインで書類のやり取りを行うことも増えています。請求書と合わせて、電子印鑑を作成しておくと何かと役立つでしょう。

帳簿の準備

フリーランスの方は確定申告を行うにあたり、帳簿をつける必要があります。帳簿とは、収支を記録して資産や経営状況を明確にするための書類です。

帳簿の作成は、年末にまとめてやろうとすると大変な手間になります。開業時点で準備しておきましょう。

方法は、「自分でつける」「税理士に頼む」の2種類あります。

自分で帳簿をつける場合は、会計ソフトの導入と使い方の確認をしましょう。税理士に頼むのであれば、年間契約を結ぶのか確定申告のみ依頼するのかを検討し、連絡をしておきます。

なお、自分で記帳する場合はもちろん、税理士に依頼する場合でも領収書や請求書といった書類は整理しなければいけません。年末に慌てることがないよう、開業時から管理を怠らないようにしてください。

業務に必要な機器類の整備

パソコンやWi-Fi設備、プリンターなど、業務に必要な機器類を用意します。

スペックの見直しやセキュリティソフトの導入など、働くうえで必要な環境が整っているかどうか、改めて確認しましょう。

必要に応じて行う準備

フリーランスとして働くうえで、下記のような準備が必要になる場合があります。

  • 名刺の作成
  • SNSアカウント開設やポートフォリオの作成
  • 事務所の契約
  • マイナンバーカードの作成

仕事を始めてみて、「あったほうがいいな」と思ったタイミングで用意しましょう。

名刺の作成

取引先との打ち合わせや顔合わせを行う方は、名刺を作っておく必要があります。一方、打ち合わせや営業活動など、オンラインで完結する方は作らなくて良いでしょう。

SNSアカウント開設やポートフォリオの作成

実績のアピールや宣伝のために、SNSアカウントやポートフォリオを作成する人もいます。「SNSを見た人から仕事の依頼が来る」といったこともあるので、必要に応じて作成しましょう。

事務所の契約

事務所を構えるのであれば、契約手続きをする必要があります。フリーランス向けのコワーキングスペースや、シェアオフィスの会員になるのもおすすめです。

ただし、事務所を契約すると、売上の有無にかかわらず必ず一定の経費がかかってしまいます。収入が安定していない場合は負担になることもあるので、事務所が必要かどうかは慎重に見極めましょう。

マイナンバーカードの作成

マイナンバーカードの作成は義務ではありませんが、作っておくと何かと便利です。

フリーランスは、取引先にマイナンバーの提出を求められることがあります。このとき、マイナンバーカードを持っているとスムーズです。

また、青色申告をする際にe-Taxを利用すると控除額が大きくなりますが、e-Taxの利用には原則マイナンバーカードが必要です(2021年現在は、移行期間としてID・パスワード方式というマイナンバーカードを利用しない方法も可能)。

いよいよ受注!フリーランスの仕事獲得方法

準備が整ったら、いよいよ仕事獲得のために動き出しましょう。

フリーランスとして独立した方のなかには、もともと付き合いのあった会社から仕事を回してもらえる人もいます。しかし、自分から一切動かなくても十分な仕事が舞い込んでくるというのは、一部の人だけでしょう。

フリーランスがどのように仕事を獲得するのか、「フリーランス白書 2021」のアンケート結果を見てみましょう(複数回答可)。

人脈を頼る

フリーランスエンジニアが仕事を獲得するのに、人脈を頼る、というのもひとつの手です。

アンケート結果上位の「人脈」「過去・現在の取引先」は、どちらも人とのつながりの中で仕事を獲得したケースだといえるでしょう。

とはいえ、頼りっぱなしでは人脈は途絶えてしまいます。「つながりを途絶えさせない」「仕事を受けられることをアピールする」といった働きかけが受注につながります。

SNSやブログを活用する

フリーランスとして仕事を獲得するには、SNSやブログを活用しましょう。自分のスキルを示せるサンプルやポートフォリオを用意して、案件の獲得を目指します。

たとえば、エンジニアなら自作アプリ、ライターならコラム記事をまとめたウェブサイト、イラストレーターならイラストサンプルの作成などです。

また、SNSアカウントを作って定期的に情報を発信することで「自分のファン」を作り、仕事につなげるのも有効です。

エージェントサービス

案件獲得には、フリーランス用のエージェントを利用するのもおすすめです。豊富な案件の中から、スキルや希望にマッチする仕事を紹介してもらえます。

多くのサービスは無料で利用できるため、積極的に活用しましょう。

求人広告への応募

フリーランス向けの求人サイトにおいても、案件を獲得できます。

求人サイトによって募集案件が異なるので、複数のサイトをチェックするのがおすすめです。

クラウドソーシング

登録無料で求人を検索できるクラウドソーシングサイトは、フリーランス初心者の方におすすめの案件獲得の方法です。

実績が乏しい独立したてのフリーランスであっても、仕事を見つけやすい点がメリットです。ただし納品後、報酬から一定の手数料が差し引かれる点には注意が必要です。

実績づくりとして活用するには便利なサービスだといえるでしょう。

ここが知りたい!フリーランスを始めるときのリアルな疑問

フリーランスを始めるときのリアルな疑問

フリーランスを始めるにあたっては、いろいろな疑問や不安があるでしょう。そこで、よくある疑問についてまとめました。

開業届の「職業」なんて書けばいい?

開業届には、「職業」と「事業の概要」を書く欄があります。特に書き方の決まりはありませんから、実態に即した内容を書きましょう。たとえば、「職業:プログラマー、事業の概要:android向けスマートフォンアプリ開発」などです。

なお複数の仕事を行う予定の場合、主な仕事についてのみ記載すれば大丈夫です。

フリーランスでも住宅ローンは組める?

フリーランスの人でも、住宅ローンを組むことは可能です。ただし会社員に比べると安定性に欠けるとみなされるため、審査が厳しい可能性があります。

なお、フリーランスが住宅ローンやカーローン等の審査を受ける時は、確定申告書を提出します。毎年の確定申告書の控えは領収書などの書類と一緒にファイリングして、すぐに取り出せるようにしておきましょう。

取引先が倒産したらどうなる?

フリーランスは取引先から報酬をもらいますが、多くの場合納品と支払いは同時ではありません。一般的に、納品から支払いまでの間には1~2カ月程度のタイムラグがあります。

この間に取引先が倒産してしまった場合、売上が回収できない「掛け倒れ」になる可能性が高いでしょう。

対策としては、「複数の取引先と取引をしてリスクを分散させる」「取引先が倒産した際、無担保・無保証で借入できる「経営セーフティ共済」に加入する」などが挙げられます。

老後の年金が少なくなる?

フリーランスは厚生年金に加入できない分、老後の年金が少なくなってしまいます。iDeCoや小規模企業共済、付加年金、国民年金基金などで将来に備えましょう。

  • iDeCo:自分で運用を行って老後資金を作る制度。拠出金は全額所得控除の対象。
  • 小規模企業共済:自営業者のための退職金制度。拠出金は全額所得控除の対象。
  • 付加年金:国民年金に月々400円上乗せすることで、将来の年金額を増やす制度。全額が社会保険料控除の対象。
  • 国民年金基金:自営業者のための年金制度。iDeCoと合わせて月額6万8,000円まで掛けられる。付加年金との併用不可。全額が社会保険料控除の対象。

それぞれの特徴を比較して、自分に合う老後資金の作り方を検討しましょう。

またフリーランスには会社員のような定年がないため、何歳になっても働けます。「長く働く」というのも、効果的な老後資金対策です。

病気で働けなくなったら?

会社員が病気やケガで働けなくなると、健康保険組合から「傷病手当金」が支給されます。しかし、フリーランスが加入できる健康保険には傷病手当金の制度がありません。

民間の医療保険(病気やケガで治療を受けた時に支給される)や、所得補償保険(病気やケガで働けなくなった時に支給される)等に加入して備えましょう。

妊娠・出産時のサポートは?

妊娠・出産した場合、加入している健康保険組合から出産育児一時金が支給されます。また、出産月の前月から4カ月間は国民年金保険料が免除されます。

なお、会社員のような育児休業制度はありません。

仕事が減ったらどうすればいい?

フリーランスに基本給はありません。仕事が一切もらえないと、その月の収入は0円になってしまいます。

これを防ぐためには、日頃からスキルアップや営業活動を行って、継続的に仕事を取って行くことが大切です。同時に、収入が減少したときのためにある程度の貯金を用意しておくことや、収入減少時の対策について考えておくことも大切です。

たとえば、「運転資金が○万円を切ったら事務所を解約する」「月の稼働時間が100時間以下になったら、新規案件獲得のために営業を行う」といった目安を作っておくと、手遅れになる前に動き出すきっかけができるでしょう。あわせて、経費と売上といった経営視点でのお金の捉え方やフリーランスならではの節税なども意識しておくと、余裕をつくりやすくなります。

まとめ

フリーランスは、自由度の高い働き方です。会社に縛られるのが嫌な人やワークライフバランスを大切にしたい人、スキルを活かして夢を実現したい人などは、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。

始める前は「大丈夫かな?」と不安になることもあるかもしれませんが、世の中にはフリーランスとして働いている人がたくさんいます。実際のフリーランスの声やアンケート結果なども参考に、自分らしい毎日を実現しましょう。

この記事のおさらい

フリーランスの始め方は?

まずは、フリーランスの働き方と実態を知ってイメージを固めましょう。フリーランスになる決意が固まったら、開業届や個人事業開始申告書の提出、社会保険の切り替え手続きなどを行います。

フリーランスは安定しない?

フリーランスとして安定的な収入を得られるかどうかは、それぞれの人のスキルによって決まります。スキルアップや人脈づくり、営業力アップなどを心掛けましょう。なお社会保障制度は、フリーランスよりも会社員の方が充実しています。任意で加入できるさまざまな保障制度を上手に活用することが大切です。

この記事を書いた人

侍エンジニアは「人生を変えるプログラミング学習」をコンセンプトに、過去多くのフリーランスエンジニアを輩出したプログラミングスクールです。プログラミングに役立つ情報や有用な情報を発信していきます。
サービスページはこちら

目次