システムエンジニアの年収はどんなところで差がつくの?
就職/転職を考えたとき、システムエンジニアの年収が気になるという方もいますよね。
この記事では、主に厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」からわかるデータをもとに、システムエンジニアの平均年収を、男女、年代、企業規模、都道府県別に解説いたします。
システムエンジニアの年収に差がつく理由や、年収1,000万円を目指す方法についても解説します。この記事を読めば、システムエンジニアの平均年収や、高収入を得るためにすべきことがわかります。
※記事内で紹介する数字はいずれも2021年9月現在。
この記事の目次
システムエンジニアの平均年収

厚生労働省の調査によると、システムエンジニアの平均年収は568.9万円。また、求人情報を掲載している「求人ボックス」によれば、システムエンジニアの正社員の年収中央値は506万円です。
国税庁の「民間給与実態統計調査」によると日本の平均給与は441万円ですから、システムエンジニアの年収は平均より高いと言えます。
システムエンジニアの年収は、低い企業では331万円から高い企業では880万円まで幅広く分布していることも特徴です。このことから、システムエンジニアはスキルや経験、企業などによって、年収に差が出やすい職業であることもわかります。

【男性・女性別】システムエンジニアの年収

システムエンジニアの平均年収は、男女で差があります。厚生労働省の調査によると、男性は月給39万円、ボーナスなどが年間で116.16万円なので、年収を計算すると584.16万円。
一方で、女性は月給33.3万円、ボーナスなどが年間で97.71万円なので、年収を計算すると497.31万円です。男女で差がある理由として、育休や産休によるブランクが生じやすいこと、時短勤務の割合が高いこと、非正規雇用の割合が高いことなどが考えられます。
女性エンジニアになる方法や、実態については次の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

【年代別】システムエンジニアの年収
システムエンジニアの年収は、年代によっても異なります。ここでは、システムエンジニアの年収について年代別に詳しく解説します。
次の表は、年代別の年収を性別ごとの一覧表にしたものです。
男性 | 月収(万円) | ボーナスなど(万円) | 年収(万円) |
20〜24歳 | 23.24 | 34.54 | 313.42 |
25〜29歳 | 26.83 | 81.04 | 403 |
30〜34歳 | 31.88 | 114.53 | 497.09 |
35〜39歳 | 36.14 | 116.63 | 550.31 |
40〜44歳 | 39.7 | 132.87 | 609.27 |
45〜49歳 | 40.78 | 133.67 | 623.03 |
50〜54歳 | 43.64 | 158.58 | 682.26 |
55〜59歳 | 44.02 | 161.6 | 689.84 |
女性 | 月収(万円) | ボーナスなど(万円) | 年収(万円) |
20〜24歳 | 22.73 | 40.95 | 313.71 |
25〜29歳 | 26.63 | 90.1 | 409.66 |
30〜34歳 | 30.35 | 102.45 | 466.65 |
35〜39歳 | 32.72 | 83.23 | 475.87 |
40〜44歳 | 37.35 | 138.25 | 586.45 |
45〜49歳 | 33.72 | 114.45 | 519.09 |
50〜54歳 | 36.78 | 128.75 | 570.11 |
55〜59歳 | 36.47 | 131.97 | 569.61 |
20代システムエンジニアの年収
20〜24歳のシステムエンジニアは、男性が月収23.24万円、ボーナスなど34.54万円で、年収を計算すると313.42万円。一方女性は月収22.73万円、ボーナスなど40.95万円で、年収を計算すると313.71万円です。
25〜29歳では、男性が月収26.83万円、ボーナスなど81.04万円で年収を計算すると403万円。女性は月収26.63万円、ボーナスなど90.1万円で、年収を計算すると409.66万円です。
20代では、ボーナスが少ないため全体的な年収は低い傾向があります。また、女性は男性と比べて月収が少ないものの、ボーナスが多いため総額では男性を上回っています。
30代システムエンジニアの年収
30〜34歳のシステムエンジニアは、男性が月収31.88万円、ボーナスなど114.53万円で、年収を計算すると497.09万円、女性が月収30.35万円、ボーナスなど102.45万円で、年収を計算すると466.65万円です。
35〜39歳では、男性が36.14万円、ボーナスなど116.63万円で年収を計算すると550.31万円、女性が月収32.72万円、ボーナスなど83.23万円で、年収を計算すると475.87万円です。
20代では女性の方が年収が高かったのですが、30代になると男性のボーナスが増え、年収が逆転します。
40代システムエンジニアの年収
40〜44歳のシステムエンジニアは、男性が月収39.70万円、ボーナスなど132.87万円で年収が609.27万円。女性が月収37.35万円、ボーナスなど138.25万円で年収が586.45万円です。
45〜49歳では、男性が月収40.78万円、ボーナスなど133.67万円で年収が623.03万円。女性が月収33.72万円、ボーナスなど114.45万円で年収が519.09万円です。
男性の月収が上がり続けるのに対して、女性の月収は45歳をすぎると一時的に下がる傾向があります。
50代システムエンジニアの年収
50〜54歳のシステムエンジニアは、男性が月収43.64万円、ボーナスなど158.58万円で年収が682.26万円。女性が月収36.78万円、ボーナスなど128.75万円で年収が570.11万円です。
55〜59歳では、男性が月収44.02万円、ボーナスなど161.6万円で年収が689.84万円。女性が月収36.47万円、ボーナスなど131.97万円で年収が569.61万円です。
40代で女性の月収が一時的に下がりますが、50代では回復し、30代の月収より高い水準となっています。

【企業規模別】システムエンジニアの年収

システムエンジニアの年収は、企業規模によっても差が出ます。従業員数1000人以上の大規模な企業では月収39.78万円、ボーナスなど149.87万円なので、年収が627.23万円。
従業員数100〜999人の中規模な企業では月収35.73万円、ボーナスなど103.47万円なので年収が532.23万円、従業員数10〜99人の小規模な企業では月収38.48万円、ボーナスなど75.75万円なので537.51万円です。
大企業では年収が高い傾向があるものの、必ずしも企業規模と年収は比例しません。データからは、中規模な企業と小規模な企業では年収の水準にほぼ差はないことがわかります。
【都道府県別】システムエンジニアの年収ランキング
システムエンジニアの年収は、地域によっても差があります。多数の求人を掲載している「求人ボックス」によると、都道府県別の年収ランキングは次の表の通りです。
1 | 東京都 | 557万円 |
2 | 神奈川県 | 548万円 |
3 | 千葉県 | 509万円 |
4 | 大阪府 | 495万円 |
5 | 愛知県 | 486万円 |
これを見ると、Top3に入っているのは全て関東地方の都県であり、関東圏はエンジニアの年収が高い地域であることがわかります。また、各地域ごとにそれぞれ、大都市を持つ府県の年収が高い傾向があります。
システムエンジニアの年収に差が出る3つの理由
システムエンジニアの年収に差が出る理由は次の3つです。
- スキル
- 経験
- 企業の立場
それぞれ詳しく解説します。
理由1:スキルによる差
システムエンジニアの年収は、スキルによって差が出ます。使える言語やフレームワークの種類などが多く、さまざまな業務に対応できる人ほど年収が高い傾向です。
また、エンジニアが少なく需要が高い分野では年収が高い傾向もあります。つまり、スキルを磨き、希少性の高い技術を身につけることが年収アップにつながります。
さらに、要件定義や計画立案など上流工程の仕事に関われるようになると年収が上がりやすい傾向もあります。上流工程に携わるためには技術力以外に、顧客の話を聞けるヒアリング力や、そこから具体的な提案ができる提案力、プレゼンのためのドキュメンテーションスキルなども求められます。
理由2:経験による差
システムエンジニアの年収は、経験によっても差が出ます。経験年数が長いと多くのスキルを身につけやすいというだけでなく、さまざまな工程での仕事を経験していると年収が上がりやすい傾向があります。
年収アップを狙うのであれば、今まで経験したことのない仕事に積極的にチャレンジする姿勢が重要です。
理由3:企業の立場による差
元請けのシステムエンジニアは年収が高くなりやすく、下請けや孫請けのシステムエンジニアは年収が上がりにくいという、企業の立場による違いもあります。
元請けとは、クライアントから直接仕事を請け負った会社のことです。それに対して下請けとは、元請け業者から仕事を請け負った会社のこと。
下請け業者からさらに仕事を請け負う業者があれば、それが孫請けです。
元請け企業が下請け企業に支払う金額は、もともとの受注金額の一部です。つまり、下請け企業はその分だけ予算が少なくなり、人件費として使える金額も減るため年収が上がりにくくなります。
孫請けの場合、同様のステップをもう一段挟むことになるので、さらに予算が少なく、年収が上がりにくくなります。就職・転職の際には、企業している企業がどんな立場で仕事をしているのか、という点にも注目しておくと良いでしょう。
システムエンジニアとして年収1000万円を目指す4つの方法
システムエンジニアは、年収1000万円を狙える職業です。年収をアップさせるための方法は、次の4つです。
- スキルアップして高難易度の資格を取得する
- マネジメントに関する知識をつけてリーダークラスを目指す
- 年収が高い企業に転職する
- フリーランスになって案件を掛け持ちする
それぞれ、詳しく解説します。
また、次の記事ではプログラマーの平均年収や、年収を上げるための方法についても解説していますので、興味がある方はぜひご覧ください。

スキルアップして高難易度の資格を取得する
システムエンジニアの年収を上げるためには、スキルアップして高難易度の資格取得を目指しましょう。システムエンジニアは技術職であり、前述の通りスキルが上がれば上がるほど給料もアップしやすくなります。
資格を取得すると企業によっては資格手当が支給されることもありますし、転職やフリーランスになる場合にも有利です。年収アップを目指すなら、ぜひ資格取得にチャレンジしてみてください。
ここでは、システムエンジニアにおすすめの高難易度な資格を3つ紹介します。
Cisco Certified Architect
Cisco Certified Architectは、シスコ技術者認定として世界最高水準の認定であり、ビジネスに向けたネットワーク構築に大変役立つ資格です。即戦力であることを示せる資格なので、転職にも有利になります。
日本語の試験がなく英語で試験を受けなければいけないこともハードルが高い理由です。
ITコーディネータ試験
ITコーディネータは、経済産業省が推進している資格で、IT経営を実現するプロフェッショナルであることを示せます。技術的なスキルだけでなく、経営に関する知識も問われます。
将来、マネジメントの仕事をしたいと考えている人におすすめの資格です。
応用情報技術者試験
応用情報技術者試験は、幅広い知識と応用力を持ったITエンジニアであることを示す資格です。高度IT人材となるために必要な応用的知識が問われます。
幅広い知識を身につけ、それを証明できる資格を目指したい人におすすめです。
マネジメントに関する知識をつけてリーダークラスを目指す
年収アップを狙うなら、部下の管理をする立場を目指してみましょう。部下のマネジメントには、エンジニアとしての技術力だけでなく、コミュニケーション能力などのスキルも必要です。
また、プロジェクトマネージャーなどの上位職を目指すためにもマネジメントに関する知識が求められます。マネジメントの知識を身につけるには次のような方法があります。
- 管理者の仕事をしている人のもとで学ぶ
- マネジメントの研修やセミナーを受ける
- 転職してマネジメントを学ぶ
年収が高い企業に転職する
年収が低いと感じているシステムエンジニアは、他の企業に転職するのもおすすめです。各種転職サイトなどを通じて、年収が高い企業へ転職することがベースアップの近道です。
同じ仕事内容でも、勤務先によって年収には大きな差があります。年収が低いと悩んでいるのであれば、思い切って転職を目指しましょう。
匿名で登録できる転職エージェントもあるので、まずは求人情報をチェックすることから始めてみてください。
フリーランスになって案件を掛け持ちする
フリーランスになることで、年収を上げられる可能性もあります。クリエイター向けの求人情報を掲載している「CREATIVE JOB」によると、フリーランスエンジニアの平均年収は636.0万円。
最初に紹介した通り、システムエンジニアの平均年収は568.9万円ですから、フリーランスエンジニアとの年収の差は大きいと言えるでしょう。フリーランスエンジニアとなって案件を掛け持ちすれば、年収1000万円を得られる可能性は大いにあります。
ただし、フリーランスエンジニアは会社員のエンジニア以上に営業力と技術力による年収の差が大きい点には注意が必要です。最近では、クラウドソーシングサイトなどを利用して仕事を受注しやすくなっていますから、まずは副業から案件獲得に挑戦してみるのも良いでしょう。
まとめ

システムエンジニアの年収は、年代や性別、地域、企業規模などによって差があります。一方でスキルや経験によって年収を上げられる職業でもあるので、年収が低いと悩んでいるなら、まずはスキルアップに挑戦しましょう。
やり方によっては、年収1000万円を目指せる職業でもあります。この記事を参考に、できることから一歩一歩前に進んでみてください。
この記事のおさらい
システムエンジニアの年収に差が出る理由は次の3つです。
1.スキル
2.経験
3.企業の立場
転職や就職活動の際には、企業がどんな立場で仕事をしているのかにも注目してみましょう。
システムエンジニアが年収1000万円を目指す方法は次の4つです。
1.スキルアップして高難易度の資格を取得する
2.マネジメントに関する知識をつけてリーダークラスを目指す
3.年収が高い企業に転職する
4.フリーランスになって案件を掛け持ちする
フリーランスは年収を上げられる可能性がある一方で、リスクの高さもあります。まずは、副業から挑戦してみるのもおすすめです。