起業して5年間フルリモートフルフレックスを持続させた3つのTips

IoTでできること

オンラインプログラミングスクールを経営している「侍エンジニア」の代表をしています、木内です。

弊社は創業から5年、フルリモートで経営してきました。

小学5年生の時にゲームプログラミングを始め、大学時代はフルリモートのフリーランスのエンジニアだったことも影響して、『リモートワーク』に対しては割と長い間(19歳の時からなので10年ほど)トライアンドエラーを繰り返してきました。

ベンチャー業界ではそこまで珍しい話ではないとは思いますが、従業員50人規模(業務委託さんあわせると300人規模)でフルリモートはなかなか周りでも聞いたことがないので、コロナウイルス影響でリモートワークに転換を検討している企業様に何かしら役立てる情報を発信できるのではないかと思い今回筆を取りました。

目次

マインド編

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まず最初に重要なのは、「リモートワークでも会社は成り立つ、うまくいく!」というマインドセットを構築することです。これは自分自身も社員のみんなも、です。

マインドセット編では、そういったマインドを構築するために、おすすめのリモートワークに関する本をご紹介します。ここで紹介する本は実際に弊社でも社員におすすめしています。

強いチームはオフィスを捨てる

この本は、Ruby on Railsというウェブフレームワークを開発したことで有名な「37signals(現在はBasecampに改名)」というアメリカの企業によって書かれた「リモートワークの指南書」です。

7年くらい前に「より良いリモート組織を作るには?」という問題意識のもと読んだと記憶していますが、当時うけた衝撃は凄まじかったです。

非常にシンプルな内容になっていて、この本を読んだ後は「リモートワークじゃない理由を探す方が大変」というマインドになります。笑

リモートワークのほうが不利なイメージが有りましたが、「絶対有利でしょう」と確信をもてました。

よくある洋書のような読み辛さはなく、1時間程度でさくっと読めてしまうのもおすすめポイントです。以下に本の要約を転載します。

オフィスは非効率、通勤はただの苦痛。デスクに縛られては、発想も凝り固まる。世界は狭く、市場は広い。もっと外に目を向けよ―どこにいても世界中の人と簡単にコミュニケーションできるのに、なぜオフィスが必要?人生の大切な時間を通勤に費やすのはナンセンス!優秀な人材と一緒に働きたければ、物理的距離なんて関係ない!前作『小さなチーム、大きな仕事』で圧倒的な支持を集めたカリスマ経営者たちが、今回取り上げたのは「リモートワーク」。世界に散らばる36人の社員を率いて、数百万人ものユーザーにサービスを届けている彼らが、新しい時代にふさわしい働き方を伝授する。会社や組織にまつわる固定観念が、徹底的にくつがえる!

この本に書いてある刺激的な言葉を一部抜粋します。

人は、刺激を求める生き物だ。やりがいのある刺激的な仕事なら、いわれなくてもやりたいと思う。そういうものだ。もちろん、仕事にやりがいも刺激も感じられないなら、やる気をだすのは難しい。そんなときはリモートワークを見直すよりも、まず転職を考えてみよう。

1人や2人を島流ししても、リモートワークを試したことにはならない。ちゃんと試してみるなら、チーム全体でとりくむ必要がある。プロジェクトマネジャーも関係者も含めて、全員だ。それに、期間も長めにとったほうがいい。

アライアンス

この本は、Paypalマフィアの1人でもあるリード・ホフマンの「ネットワーク時代の新しい企業(雇用主)と個人(社員)の関係を提示している書」です。

ALLIANCE

一言でこの本の主張をまとめると「雇用を『取引』でなく『関係』として再定義するということ」です。

下記の章立てになっており、本質的な指摘は眼から鱗です。

1. ネットワーク時代の新しい雇用-職場に信頼と忠誠を取り戻す「アライアンス」とは
2. コミットメント期間を設定しよう-アライアンスは仕事の内容と期間を定める
3. コミットメント期間で大切なもの-社員と会社の目標および価値観をそろえる
4. 変革型コミットメント期間を導入する-うまく活用する四つのステップ
5. 社員にネットワーク情報収集力を求める-社員を通して世界を自社内に取り込む
6. ネットワーク情報収集力を育てるには-社員の人脈を伸ばすコツと戦術
7. 会社は「卒業生」ネットワークをつくろう-生涯続く個人と会社のアライアンス関係
8. 「卒業生」ネットワークを活かすには-効果的に導入するためのコツとテクニック

弊社マネージャー陣にはマストで読んでもらってる名著です。

ツール編

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リモートワークをスムーズに実行するために、オフィスの外でも全ての業務を完結できるように設計しています。そのためには、やはり積極的にツールを活用していく必要があります。弊社でも色々なツールを使ってみて、しっくり来るものを常に探しています。

今回は紹介程度に今弊社で使っているツールの一例を一部ご紹介したいと思います。

(※ただし、ただツールを導入すれば良いかというとそうではなくて、やはりツール活用のコツなどは存在しています。このあたりも時間があれば、後日noteに書いてみたいと思います)

セキュリティ

フルリモートの会社ですが、意外にPマークも取得していたりしています。

– Trust Login:セキュリティソフト。これでアカウントを一元管理してます。

コミュニケーション

やっぱりチャットでのコミュニケーションが基本です。

 – Slack:いわずもがなコミュニケーションツール
– Zoom:最近有料課金しました。40人レベルで繋いでも快適。
– GSuite:資料、スケジュール管理、メールなど、もうほぼ全て業務はGSuiteに集約してます。

情報共有

社内wikiをしっかり作むことで、社内的なルールやツールの使い方などは最小限のコミュニケーションでキャッチアップできるようにしています。

 – DocBase:ここに社員が社内wikiを蓄積。ルール作らないとよく乱れがち。
– Voicy Biz:ボイシーを社内情報共有ツールとして使っています。

労務・総務・人事

最近はHRテックやリーガルテックが活況になってきたこともあり、労務関連もかなりツールの導入が進みました。

– ジョブカン:勤怠管理で利用。
– SmartHR:人事情報管理で利用。
– Dr.経費精算:経費/稟議/押印申請/法務申請etc..申請系は全部ここに統一。
– クラウドサイン:契約書締結。社内で紙の管理減ってかなり重宝してます。
– HRMOS:採用管理で利用。面談情報の申し送りや数値管理もこれで。
– wevox:エンゲージメント管理。リモートだからこそ、社員のエンゲージメント管理は定量化して経営会議で重めにウォッチするようにしています。

タスク・プロジェクト管理

マーケティングやシステムなどのタスク管理はバックログで管理しています。ガントチャート機能などあり、進捗管理しやすいなと感じてます。

 – Backlog:他部署でも誰がどのくらいタスク抱えているか分かるのが良いです。
– Github:こちらも言わずもがなですが、プロジェクト管理はGithubにて。

システム編

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ここからは、フルリモートでも滞りなく事業運営をしていくための社内システム(全社共通で導入している人事制度や取り組み)についてです。

「社内システムも常に変化しアップデートされるべき」という前提のもと、これまで組織の規模やフェーズに合わせて色々な施策を実践してきました。

現時点で弊社内で定着している代表的なものを紹介したいと思います。

OKR

目標管理方法として、言わずと知れたOKR。弊社でも2年以上前から取り入れています。
(OKRについて知らない方はこちらからどうぞ。)

会社と個人の目標がリンクすることがOKRの特徴であり、弊社では、四半期に1回「OKR合宿」と称して全社OKR、部署OKR、個人OKRの見直しを行なっています。

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会社のビジョン、事業部・チームのビジョン、個人のビジョンのすり合わせを行い、目の前の業務まで落とし込みをします。そうすることで、各人のやるべきことが明確で迷いがなくなります。

より上位概念の意識・認識のすり合わせをしておくことで、マイクロマネジメントをせずともメンバーが主体的に判断、行動できるようになります。

Voicy Biz

ツール編でも少し触れましたが、弊社ではVoicy Bizを導入しており、僕からの発信や各部署メンバーインタビューなど、社内ラジオとして活用しています。

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導入目的としては大きく3つあります。

1つ目はやはり「コミュニケーション」ですね。僕の考えていることやビジョン・世界観、戦略や意思決定を届けたい、そして現場の生の悩みや声をよりリアルに拾い上げて、相互理解を深めたいということ。

2つ目は「教育」です。社内教育の一環で勉強会を実施したり、1on1を通して可能性を感じており、体系的にやってみたかったというのがあります。試行錯誤しながらみんなと共同研究をして、真理を開発しているイメージですね。

3つ目は「voicy自体の活用」です。音声ニュースやオーディオ教材を利用することで、インプット・学習効率が劇的によくなることを体験しています。それをみんなにも当たり前に活用してほしい、という思いがありました。

月に1回の全体定例

月に1回、全社員が参加する定例ミーティングを実施しています。アジェンダとしては、大きく以下4つがメインですが、月によって内容を調整してます。

– 各事業部より:前月の目標/結果、当月の目標/戦略施策、相談共有事項
– グループワーク:部署横断で共通課題に対してディスカッション
– 社内勉強会:リーガル面の勉強会など
– 社長パート:僕が少し先の未来の話や足元の話、その時の組織の状態に合わせて話をしています

弊社は基本的に情報をオープンにしており、SlackやGoogleドライブ、Docbaseなど自ら情報を取りに行ける環境ではあります。しかし、各部署・各チーム・部署横断で様々なプロジェクトが日々走っているとどうしても重要度や詳細の背景を踏まえた情報をキャッチアップ仕切れないため、全体定例を行なっています。

また、普段お互い顔を合わせずに仕事ができてしまうため「毎月全員が集うコミュニケーションの場」としても機能していますね。

全体定例完全オンラインver.

全体定例はこれまで対面で行ってきましたが、コロナウイルスの影響で弊社も完全リモートに切り替わり、最近は全体定例もオンラインで実施しています。

今回初の試みでしたが、全体定例を「Voicyで収録して配信」しました。

事前に各部署責任者が報告・共有内容を収録し、メンバーは関連資料を見ながら視聴するという形をとりました。

ログに残るためいつでも確認できるというメリットはありますが、インタラクティブ性に欠けるため、翌月はZoomにて実施しました。

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Zoomでの実施時は、なるべく顔を写す事、話す人以外は基本ミュートにする、などのルールを設ける事で滞りなく40名のミーティングを行うことができました。

Zoomで実施してみた感想として、「普段の対面より距離感が近く感じた」という意見が聞かれ、工夫次第では大人数でのミーティングは対面よりリモートの方が良いのでは?という新しい気付きがありました。

Good&New

昨今の自粛疲れ、コロナ疲れが聞こえてきますが、それを紐解くとリモートワークによる閉鎖感・閉塞感・コミュニケーションの不足がストレスに繋がっているのではと思います。弊社では定期的にメンバーとのコミュニケーションや評価・称賛する文化を作ることで、その閉鎖感や閉塞感を緩和しています。

そのような前提の中で、全体定例で大事にしていることの1つに「Good & New」があります。

ミーティングの冒頭に部署横断の4-5人グループで最近あった良かった事・新しい出来事(プライベート)を1人1分程度で話します。

また、ミーティングの後半では全体で「業務Good & New」= 仕事の中での良かった事・新しい出来事、発見・学び・コミットメント、そして誰かへの感謝を共有する時間を設けています。

直接感謝を言葉にし、全メンバーに共有するという事を創業当初からずっと続けています。

毎朝のデイリースクラム

弊社では、毎朝チームごとに「デイリースクラム」を行なっています。一言でいうと、「チームの状況を共有するミーティング」です。一般的にいわれる「朝会」のようなものですね。

全社的に導入しており、必要に応じて社員だけでなく業務委託の方にも参加してもらっています。リモートワークだからこそ、チーム一体となって最大の成果に繋げていくことが重要だと考えてます。

基本的に毎日決まった時間にオンライン接続し、4~6人のチームで15分程度で実施しています。

「昨日やったこと」「今日やること」「障害と対策」をチーム間で共有し、相談・相互フォローを行います。

チームによっては、上記の3項目に加えて「今週達成する目標」「今日の一言」「稼働・休暇情報」なども入れており、チーム内でタスク過多なメンバーや体調不良、家庭の事情など相談して相互サポートできるような工夫をしています。

毎週のチーム会

デイリースクラムと連動する形で、毎週終わりに「チーム会」を行なっています。週次でPDCA・フィードバックサイクルを回していくことと、相互承認・称賛の場を目的として実施しています。

実施方法はスクラム同様、決まった時間にオンラインミーティングを開催します。「今週の振り返り(目標に対する結果、反省と学び)」「来週の目標」「相互フィードバック」「バリュー体現エピソード」をシェアしています。

過去に日報や週報などを行なっていたこともありましたが、リモートワークかつフレックスだとどうしても自己完結し、個人化が加速してしまうという背景もあり現在は「チームとして成果を出していく」という点にフォーカスしこのような運営をしています。

終わりに

侍エンジニアはオンラインで完結できるサービスです。だからこそ、会社としてもフルリモートを実践し、社員のリモートへのリテラシーを高めつつ、そのノウハウなどをオンラインプログラミング学習サービスに繋がげられるように意識しています。

この記事を書いた人

【プロフィール】
DX認定取得事業者に選定されている株式会社SAMURAIのマーケティング・コミュニケーション部が運営。「質の高いIT教育を、すべての人に」をミッションに、IT・プログラミングを学び始めた初学者の方に向け記事を執筆。
累計指導者数4万5,000名以上のプログラミングスクール「侍エンジニア」、累計登録者数1万8,000人以上のオンライン学習サービス「侍テラコヤ」で扱う教材開発のノウハウ、2013年の創業から運営で得た知見に基づき、記事の執筆だけでなく編集・監修も担当しています。
【専門分野】
IT/Web開発/AI・ロボット開発/インフラ開発/ゲーム開発/AI/Webデザイン

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