ICT教育 2020年の国内最新事例はこれ!海外の事例と併せてご紹介

ICT教育の国内の最新事例を知りたい!
ICT教育は海外ではどうなっているの?

教育の現場に関わる方、ICT教育そのものに興味を持っている方は、日本国内におけるICT教育はどのくらい進んでいるのか気になる方も多いと思います。

そこで、本記事では、総務省が発表している国内のICT教育の最新事例をご紹介します。

また、海外の事例やICT教育における課題も併せてご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

目次

ICT教育とは

具体的にどんな教育のこと?

従来の学校などの教育現場では、黒板とノートがあり先生が板書し生徒がノートに書き写すという光景を目に浮かべる方が多いと思います。そこにコンピュータやタブレットなどの情報通信機器を導入した教育手法のことがICT教育です。

先生は黒板に板書する代わりにプロジェクターに授業内容を映し出す、生徒はノートではなくタブレットを片手に問題を解いていく、というような風景がわかりやすいICT教育現場のイメージです。もちろんそれだけに限らず、より大きな視点で情報通信を活用する事例がいくつもありますので、この後ご紹介する国内の事例を参考にしてみて下さい。

ICT教育のメリットとは?

では具体的にICT教育のメリットはなんでしょうか?一つは、先生も生徒も楽しんで効率よく授業に参加することができることです。

現代では自分の身の回りにスマホやタブレットなどの通信機器が当たり前のように存在している社会です。そのような機器を学校の授業でも活用できるとなると、指でスライドするだけで、次の授業内容がプロジェクターに映し出されたり、タブレットにて問題を解くとすぐに正解不正解が分かる、など効率的な授業ができ、また、そのような操作を楽しんで行うことができます。

生物の動きや算数の図形の補助線を動的に表示するなどアニメーション的な要素を表現することが可能になったのも、今まで黒板だけでは実現が難しかったICT教育ならではのメリットといえます。

ICT教育の国内の事例3つ

では、具体的な国内の最新事例を3つご紹介します。

事例1:福島県新地町

先生同士の連携をスムーズにし多忙な業務の効率化と生徒への適切な支援を行えるシステムを構築しています。例えば、生徒の不安や悩みを先生間で素早く共有できることで、その生徒へのケアを一律に行うことができたり、学習指導について、先生間の指導力の差を少なくすることができ、生徒がどの先生であっても一定水準の教育を受けることができるようにしています。

出典: 福島県新地町

事例2:渋谷区ICT教育システム

渋谷区の小学校18校、中学校8校で児童数8200、教員数700人規模のICT教育システム「渋谷区モデル」の事例です。

1人1台のタブレットや家庭へのタブレット持ち帰りなどでオンライン学習を充実させ、生徒たちの学習状況などのデータを利活用しています。

出典: 渋谷区ICT教育システム

事例3:大阪市の次世代学校支援事業

大阪市の次世代学校支援事務局の事例です。

データ可視化システムとして児童生徒の状況を一覧化してみることができたり、学校をチームと捉えて、チーム力を上げる為の仕組みをICT教育にて行っていることが特徴です。

出典: 大阪市の次世代学校支援事業

ICT教育の海外の事例4つ

ここからは海外におけるICT教育の事例をご紹介します。ご紹介するのはエストニア、シンガポール、オランダ、アメリカの4ヵ国です。

これらの国は海外の中でも特にIT化が進んでおり、それぞれの国がどのような取り組みをしているのかに注目してください。海外の事例と日本の現状と比べて見るとさまざまなことが見えてきます。

海外のよい事例を、もっと日本の教育に取り入れることが期待されています。

事例1:エストニアは学習教材を電子化

海外の事例1つ目は、エストニア共和国です。バルト三国の1つで、エストニアは世界でもっとも国家の運営にICTを取り入れている国として有名です。

世界的に普及しているSkype(スカイプ)はここ、エストニアで生まれました。エストニアのほとんどの学校はWi-Fiが完備されており、電子化が進んでいます。

事例のひとつには国の方針で、2020年までに学習教材はすべて電子化するよう義務づけられました。

事例2:シンガポールは1人1台コンピュータ

海外の事例2つ目のシンガポールです。シンガポールは、フューチャースクール@シンガポールという政策をとっています。

その事例のひとつとして挙げられるのが、2008年からフューチャースクールに認定された学校では、1人1台のコンピュータが割り当てられるようになりました。日本でも2010年度に総務省主導でフューチャースクール推進事業が始まりましたが、残念ながら現在は廃止になりました。

事例3:オランダはアプリを活用

海外の事例3つ目はオランダです。2013年にスティーブ・ジョブズ・スクールという私立の学校が10校開校しました。対象年齢は日本の幼稚園と小学校にあたる4歳から12歳です。

アップルの創業者の名前がついていますがアップルとは関係ないそうです。ここはICT技術を積極的に取り入れた学校で、生徒ひとりひとりにiPadが配布され、授業も教科書もスケジュールもすべてiPadのアプリで管理されています。

事例4:アメリカはノートPCを全配布

海外の事例4つ目はアメリカです。アメリカは、公立の小学校・中学校でICT化が進んでいます。

メイン州の公立中・高校生には一人ずつにノートPCを配布しています。小学校、中学校で生徒はGoogle アカウントをつくり文章執筆やプレゼンはGoogle docを、課題発表はYouTubeを使うなど、教育界においてICTは必要不可欠です。

教科書やプリントはすべてデジタル化されておりペーパーレスになっています。

ICT教育の国内での課題

日本のICT教育は海外と比べて遅れていると言われています。ICT教育を整備するにおいて、地域格差の問題は費用、そしてICT整備に対する意識格差の問題が課題とされています。

ICT教育を推進する側と、利用する側(教員)、そして保護者との間にICT整備に対する意識格差が生じているのも問題です。さらにICT機器に詳しくない教員は設備が整っていても使いこなすことができないという問題もあります。

日本はICT活用が遅れている

海外の事例を見てわかるように、日本の教育現場ではICT活用が遅れています。特にICT教育先進国のアメリカと比べると、日本は10年以上もICT環境の整備が遅れていると言われています。

その大きな要因として、教員は生徒たちがICT機器を使うことをよいと思っていないことがあげられます。授業中、生徒にICT機器をいじらせると、授業と関係ないことをするという考えが根強いのです。

とはいえ、教職員の年代としてIT機器が身近な世代の割合が年々増えていくので、国内の事例でもご紹介した通り、日本国内でもICT活用における課題のハードルは低くなっていくものと思われます。

Wi-Fi整備率も低い

平成30年、総務省は2020年に向け全国約3万ヵ所のWi-Fi整備を目指すことを提示しました。その中に学校も含まれています。

文部科学省では2022年までに学校におけるWi-Fi整備率を100%としていますが、平成31年時点で全国平均が40.7%に留まっています。

回線が整備されている・いないが二極化

Wi-Fi整備率1位が静岡県73.6%、最下位の新潟県が13.3%と、地域格差が生じています。その中でも宮城県、福井県が普及率を伸ばし、両県ともに50%を越えました。

子どもが住む地域によってICT教育に格差が生じています。文部科学省では各都道府県の整備状況を公表し、整備の促進に力を入れるようになりました。

ICT教育の海外の事例を参考にしよう!

ちいさなお子さんから高齢者まで、スマホ、タブレット、パソコンを使うようになりました。教育現場でもICT機器を取り入れたICT教育推進が進められています。

とはいえ、海外と比べるとまだ日本は後進国です。整備に時間やお金がかかるのと、総務省や文部科学省と教育現場との間にICTに対する意識格差が生じていることも原因です。

今回、海外の事例としてあげた4ヵ国から日本が学ぶことはまだまだたくさんあるのです。

 

この記事を書いた人

兵庫県西宮市出身。現在大学4年生。プログラミングスクールを卒業したのち株式会社SAMURAIでインターン生として活動中。
記事の執筆や編集、業務改善システムの改善を担当中。

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