自社開発と受託開発の特徴各3つ|それぞれに求められる4つの力

自社開発と受託開発 特徴と重視される技術

エンジニアの就職先には自社開発と受託開発があります。

自社開発と受託開発にはそれぞれ特徴があり、メリット・デメリットがあります。どちらの働き方を選ぶかは、エンジニア自身です。

今回は、自社開発企業と受託開発企業の違いについてご紹介していきます。

目次

エンジニアの転職先は自社開発か受託開発か

受託開発とは

受託開発とは、別会社から委託を受けてシステムの開発を請け負うことです。受託開発はクライアントから直接仕事を請け負う「元請け」と二次から請ける「下請け」のふたつがあります。

元請けの方が待遇がよい傾向があり、クライアントの開発者をまとめたり管理したりする仕事になります。下請けの場合は、自分でプログラムを書いて納期までに仕事を納める仕事が主になります。元請けの方が大手の企業が多い傾向にあります。

自社開発とは

自社開発でエンジニアが働く場合は、自社のアプリやサービスを開発する仕事が主になります。大きなプロジェクトや憧れの仕事に携わるチャンスがあり、エンドユーザーから直接の評価を得やすいという特徴があります。

また、自社開発の会社の規模はいろいろなので、忙しい企業に入ると残業続きでたいへんです。最先端技術を必要とする場合は研修や講習などを受けさせられることもあり、スキルアップが必須となります。

自社開発と受託開発の特徴各3つ

自社開発と受託開発の特徴を各3つずつあげて、それぞれの内容について詳しく見ていきましょう。

エンジニアが自社開発と受託開発のどちらの就職を希望するかは、自分の仕事スタイルや性格・目標などを指針に決めていくとよいでしょう。そのためにふたつの就職先の内容をよく理解して、シミュレーションしてみることをおすすめします。

それでは、自社開発と受託開発の特徴についてご紹介していきます。

自社開発

エンジニアが自社開発の業務に就いた場合は、常に最新の情報と技術を習得しておく必要があります。自社開発とは自社のアプリやシステムを開発する仕事なので、最先端の技術が必要とされます。

スピード感も重視されます。また、エンドユーザーからの反響がいち早く届くので、顧客の要望にすぐに応えられる技術の高さがあることが前提となります。

すぐに修復ができる・影響力のあるシステムが作れるなど、要求が高い職業です。

1:リリースまでのスピードを重視

自社開発はリリースまでの期間が短いことが特徴です。

自社開発で働く方がのんびりと自分好きなスタンスで仕事ができる印象がありますが、自社開発の企業もいろいろです。ベンチャーやスタートアップの会社の場合は、スピード感が重視されて業務に追われる可能性があります。

予算も限られてくるでしょう。自社開発のエンジニアは業務の期限が限られてきますので、自分のペースでは仕事ができないと覚悟しておく必要があります。

2:ユーザーの反応からブラッシュアップしていく

自社開発のエンジニアはユーザーの反応がダイレクトに返ってくるので、やりがいがある反面、すぐに不具合や問題を解決しなければいけないという特徴があります。エンドユーザーの意見がわかりやすいということは、すぐにシステムを修正できるという利点もあります。

部署にもよりますが、既存のシステムを使い続けているため、最新のプログラミング言語やシステムを取り入れやすいという点も特徴です。

3:ユーザーが集まらないと利益が出ない

自社開発はユーザーが集まらないと利益が上がらない仕組みのため、開発費用が回収できなくなる可能性があります。

クライアントからの要求をもとに仕事を進めていくわけではないので、人気のないアプリや利便性のないシステムは企画しても意味がないものになってしまう危険性があるでしょう。

情報収集やスキルアップを常におこない、最新のシステムを作れる状態を持続させる高度な技術力が必要とされています。

受託開発

受託開発は他の会社からの要望に沿ったシステムを作り上げる仕事です。受託開発はさまざまな会社の企画を請け負う仕事なので、エンジニアとしての腕のみせどころとなるケースが多々あります。

大手の自社開発系会社の一員になるよりも、新しい技術が試せる場合があります。クライアントから直接発注を受けた場合は、システムの企画そのものの指導に携わることになるため、エンジニアとしての豊富な経験と知識が必要となる仕事です。

1:要件を満たしたシステムを納期までに納品する

受託開発は、他者から請け負った業務を必ず納期までに仕上げなければいけないので、スキルが大いに磨かれる仕事です。

また、受託開発はさまざまなクライアントとからいろいろなプロジェクトを委託される仕事なので、エンジニアの経験が自然と高まります。受託開発の仕事は実績と経験を積むことができるため、今後のスキルアップや転職に大いに役立つ内容となっています。

2:納期に間に合わないと残業が発生する

受託開発の仕事は納期までにシステムを作り上げなければいけないため、残業続きでハードな業務が続くケースが多くあります。受託開発の仕事は、システムを一気に作り上げるバイタリティが必要とされる業務です。

受託開発の業務は数か月単位など、プロジェクト単位で動きます。長いときには何年にもわたる作業になるので、体力・気力・やる気がないと続けられない場合もあります。

3:受注開発のため費用回収は安定している

受託開発は他社からの費用でシステム開発をするので、費用回収は安定しているという利点があります。そのため、受託開発は好きなように開発できるというメリットがあります。

プログラミングが好きなエンジニアは、自分の特技を生かしながらシステム構築をしていくことも可能です。また、受託開発の仕事は分担制が多いので、変化を気にせずじっくりとプログラミングに取り組みことも可能です。

自社開発において求められる4つの力

自社開発の仕事に就きたいエンジニアはどのような能力が必要なのかを、4つの項目に分けて詳しくご説明していきます。

1:開発能力

自社開発向きの能力に、開発能力があります。自社開発のエンジニアには、自社の既存のシステムをより良く改善していく技術とセンスが必要です。そのために、新鮮な感覚と時代のニーズに沿うタイムリーな発想が必要です。

新しいだけでなく、ユーザーが求めているシステムを的確に提供できる発想力が大切です。

2:スピーディーな開発サイクルへの対応力

自社開発をするエンジニアには、素晴らしい発想を短時間で形にしてユーザーに届けるための、スピード感が必要とされています。

どんなに素晴らしい企画も、時間をかけて構築していると、あっという間に古い発想となり使い物にならないシステムに変化してしまう可能性があります。

ITが中心の現代社会は、常にスピード感が要求されています。短時間でシステムを構築できる能力が、自社開発の仕事には不可欠となっています。

3:ユーザーのニーズの調査・分析能力

ユーザーが求めているもの・欲しているものを的確につかむための調査・分析力が、自社開発の仕事には必要です。ユーザーと直結している自社開発の仕事は、より高い実績を上げるために、ニーズに合うサービスを提供し続けなければいけないという使命があります。

そのために調査・分析をおこない、客観的な数値として導き出せる能力が、自社開発のエンジニアには必須となっています。

4:変化に対応し続ける力

世の中が常に変化し続けていて、人々との要求も多様化している現代社会では、ニーズに対応し続けるタフな能力が自社開発のエンジニアに必要とされています。

世の中の変化についていける新鮮な感覚を常に持っていないと、自社開発のエンジニアを続けていくことはできません。時代の波を読み取るための高度な情報収集能力が、自社開発のエンジニアの必須項目となっています。

受託開発において求められる4つの力

受託開発において求められる4つの力についてご紹介していきます。受託開発はクライアントからの要望に合わせてシステム開発・構築をおこなう仕事です。

エンジニアとしての経験やスキルをいかんなく発揮して作業に没頭することができます。受託開発のエンジニアは他社と仕事をおこなうため、スケジュール管理能力に長けていなければなりません。自己管理能力と、期限までに仕事をこなせる高い技術力も必要とされています。

顧客要望に合わせたシステム仕様の設計力

受託開発は、顧客要望に合わせたシステム仕様の設計ができなければいけない仕事です。受託開発は開発から実装まですべて、クライアントの要望に沿って進めていかなければいけません。

そのためには、システム構築のすべてを把握して設計できるだけの、高度な技術力と豊富な知識・経験が必要です。

開発スケジュールの作成・調整・管理能力

受託開発には、開発スケジュールの作成・調整・管理能力という、全体を見渡せる大きな視点が必要です。

受託開発の仕事は、クライアントとの綿密な打ち合わせを繰り返しながら行っていきます。スケジュール管理ができない人には務まらない仕事です。

受託開発の仕事でこれらの調整・管理をするためには、いろいろな案件をこなしてきた豊富な実績と経験を持つベテランエンジニアの存在が不可欠となっています。

タスクを確実にこなす力

受託開発には、確実に仕事をこなせるだけの技術力が必要とされています。タスクを確実に実行していかなければ、仕事を納期までに終わらせることができません。

納期を守れないエンジニアに、次の仕事は発注されません。そのための高度な技術と最新のテクニックが、受託開発をするエンジニアに求められています。

常日頃からスキルアップしておく学習能力が必要です。

スケジュールどおりに業務を進める能力

素晴らしい企画やシステム構築できたとしても、スケジュール通りに業務を進める能力がないエンジニアは受託開発に向いていません。受託開発のエンジニアを目指す人は、スケジュール管理ができる人物でなければ務まりません。

受託開発はクライアントありきの仕事なので、少しでも納期に遅れれば、他社に迷惑をかけることになるからです。納期に間に合うだけの技術力・開発力を、普段から身につけておくことが大切です。

未経験者はSESもあるが

未経験者でエンジニアの仕事に就きたい人は、SESという選択肢もあります。SESとはシステムエンジニアサービスの略で、エンジニアが委託契約して請け負う仕事の形態です。

クライアントから受注された仕事そのものを納品する受託開発の業務と違い、エンジニアの労力だけを提供する方式です。クライアントはエンジニアの労働(技術的なサービス)に対価を支払います。

SESの特徴

SESの特徴は、エンジニアの能力が契約の対象となっている点です。クライアントのオフィスへ、常駐するエンジニアが派遣されて技術的なサービスが提供されます。

派遣とSESの違いは、派遣がクライアントの指示で動くのに対して、SESは雇用企業の指揮命令によって業務をおこなう点です。そのため、顧客の指示で仕事をした場合は罰則にあたるとされています。

SESのメリットとデメリット

SESのメリットは初心者でもエンジニアとしての経験が積める点です。デメリットはベテランでスキルアップを狙うエンジニアには不向きだという点です。
SESはがんばって技術力を発揮しても、それ相応の仕事や評価しか与えられない傾向があります。エンジニアとしてさらに上へ向かいたい方は、自社開発や受託開発への転職が向いています。

知識や技術はあるが未経験でエンジニアとしての実践を積みたい方にはSESがおすすめです。

企業側は人材の質の不足も感じている

受託開発・自社開発のどちらにも、企業側がエンジニアの人材に対する質の不足を感じています。人材不足が問題視されている原因に、実は企業側が、エンジニアの質そのものに物足りなさを感じているからだという理由が考えられています。

エンジニアとしての基本的な知識がありながら、日進月歩の業界内で日々の仕事に追われて、スキルアップができていない人材が増え続けている傾向があるからです。

自社開発と受託開発の違いを知り転職先を選ぼう

自社開発と受託開発の違いをよく吟味して、転職先を決めていきましょう。

自社開発と受託開発は似ている点もありますが、仕事に対する取り組みが大きく違っているので、働きはじめてからこんなはずではなかったと後悔しないように慎重に選択してください。そのために、転職前に自社開発と受託開発の仕事内容をよく比較検討することをおすすめします。

やりがいがあり、自分に合う転職先を見つけていきましょう。

この記事を書いた人

元ウェブディレクター/編集者
メイン機はOS9時代からMac。
最近はUnityに興味があります。

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