近年注目されているICT教育には、環境整備が必須です。
この記事では、ICT環境が整った教育現場の特徴や、ICT環境を活かせる教員の指導力、ICT教育の現状などについて紹介しますので、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。
この記事の目次
ICTを用いた教育について
近年ではICTを用いた教育が推進されています。ICTとは「Information and Communication Technology(情報通信技術)」を略した言葉で、主にパソコンやタブレット端末、インターネットなどの情報通信技術を活用した幅広い内容を指しています。
ICTを用いた学習方法には、「一斉学習」「個別学習」「協働学習」の3種類がありますので、それぞれ紹介していきます。
一斉学習
一斉学習とは、一斉指導による学びを指します。一般的な学校での学習としてイメージされるもので、複数の生徒が一斉に学びます。
一斉学習ではICTを活用することにより、電子黒板などに表示した図形や写真を拡大して説明したり、書き込みなどを活用することでわかりやすく説明することが可能です。
個別学習
個別学習とは、子供たち一人ひとりの能力や特性に応じた学びを指します。同じ授業を行っても、生徒によって学習の習熟度は異なります。
そのため、生徒一人ひとりのレベルに合わせた学びが必要です。ICTを活用することにより、デジタル教材などを利用して自分自身で調べる力を付けたり、自分のペースで学習したりすることができるようになります。
協同学習
協働学習とは、子供たち同士で教え合い学び合う協働的な学びを指します。協働学習はグループ単位で特定の議題について話し合ったり、意見を交換し合うことで思考力や判断力を育成する学びです。
ICTを活用した協働学習なら、タブレットなどを活用することで個々の意見を集め、円滑に協働学習を進めることが可能になります。
ICT環境が整った教育現場とは
ICT教育を行う場合には、環境が整っている必要があります。ICT教育では事前に環境を整える必要があり、環境整備のためにコストを掛ける必要があります。ここではICT環境が整った教育現場の条件について紹介します。
生徒一人に一台のタブレット
ICT環境が整った教育現場の条件は、生徒一人に一台タブレット端末が支給されていることです。これまでの教育現場では、紙媒体の教科書やノートで授業を受けていました。
しかしICT教育を行う現場では、それらの代わりとなるのがタブレット端末です。生徒は自分のタブレット端末で教科書を読んだり、ノートを取ったりします。そのため、ICT環境を整えるためには生徒一人につき一台タブレット端末を用意する必要があります。
電子黒板と無線LANが整備されている
ICT環境が整った教育現場の条件は、電子黒板と無線LANが整備されていることです。
ICTを活用した教育現場では、インターネットは常に利用します。そのため、わざわざ有線LANで繋ぐのではなく、無線LANの環境を整える必要があります。また、すべての教室に電子黒板を配置し、利用できる環境であることも条件です。
ICT環境を活かせる教員のポイント5つ
ICT環境を活かせる教員になるためには、いくつかのポイントがあります。生徒達にICT教育を行うためには、教員自身がそれを活かせる素質を持っている必要があります。
また、教員自身のICT活用指導力はチェックリストによって判断することが可能です。ここではICT環境を活かせる教員のポイントについて紹介します。
ICT環境を活かせる教員1:教育研究・指導準備や評価にICTを活用する
ICT環境を活かせる教員は、教育の準備や評価時点でコンピュータやインターネットが利用できます。
授業で必要なプリント作成時にインターネットを活用して情報収集することができたり、パワーポイントなどを利用してプリントが作成できたりするかどうかがポイントになります。
また、評価の際にはパソコンで生徒一人ひとりの学習状況や成績を管理することができるかどうかもポイントです。
ICT環境を活かせる教員2:授業中にICTを活用して指導する
ICT環境を活かせる教員は、授業でもパソコンやプロジェクターが利用できます。
実際の授業の際に、パソコンなどを使って生徒の興味が湧くような効果的な資料を作成したり、わかりやすく解説を加えた資料を提示できるかどうかがポイントになります。また、学習内容を纏める際にもパソコンなどを活用して生徒の学習定着度が分かる資料が作成できるかどうかもポイントです。
ICT環境を活かせる教員3:生徒のICT活用を指導する
ICT環境を活かせる教員は、生徒自身がパソコンやインターネットが活用できるように指導できます。
教員自身がICTを活用できるだけでなく、生徒にも使い方や知識を習得させる必要があります。たとえば生徒がインターネットを利用して調べものをしたり、Excelを使って表を作ったりできるように指導できるかどうかがポイントになります。
生徒側の目線で考えると
ICTの上手い使い方を教えられる教員がICT環境を活かせる教員だと言えます。
ICT教育での生徒は主に小学生を対象としているため、ほとんどの生徒がまだICTに慣れ親しんでいません。そのため、教員がどのように教えるかによって、コンピュータやインターネットなどの習得や、その後のICTとの関わり方にも差が出ます。
ICT環境を活かせる教員4:情報モラルなどを指導する
ICT環境を活かせる教員は、インターネットのルールなどの情報モラルを指導できます。
インターネットは活用すれば大変便利な道具ですが、一方で犯罪に巻き込もうとする有害なサイトなどもあり、利用には注意が必要です。インターネット上での軽率な発言により、トラブルになるケースもあります。また、長時間の利用で体調を崩すことがないようになど、モラル全般について指導できることもポイントです。
ICT環境を活かせる教員5:校務にICTを活用する
ICT環境を活かせる教員は、直接の授業だけでなく校務でもインターネットを活用できます。
教員は普段の校務でも時間を割かれていますが、ICTを活用できる教員はインターネットを活用し、Excelで資料を作成できるなど、ICTを校務に活用することで上手く時間を生み出せることがポイントです。
ICT教育の3つの現状
ICT教育は現状、満足のいく環境整備ができているとは言えません。ICT教育には電子黒板やモバイル端末、無線LANなどの環境整備が必須となっていますが、ICT環境の整備は現状いまだに満足のいく状態に至ってはいません。
ここではICT教育の3つの現状について紹介します。
ICT教育の現状1:教育用コンピュータの1台当たりの児童生徒数
ICT教育の現状では、教育用コンピュータ1台当たりの児童生徒数は5.6人です。現状の目標としては3クラスに1クラス分の教育用コンピュータが配置されています。しかし現状は5.6人で1台のコンピュータを利用している状況となっています。
ICT教育の現状2:普通教室の電子黒板整備率
文部科学省の調査によると、現状での普通教室の電子黒板整備率は26.7%です。現状の目標としては1学級につき1台、つまりすべての普通教室に電子黒板が整備されている状態でした。しかし現状の普及率は3割も満たしていないという現状です。
ICT教育の現状3:教育者のICT活用指導力の推移
ICT教育の現状では、教育者のICT活用指導力は年々上昇してきています。
文部科学省がまとめたデータでは、調査を始めた平成18年度~平成29年度まで、教育研究・指導準備や評価にICTを活用する能力、授業中にICTを活用して指導する能力、生徒のICT活用を指導する能力、情報モラルなどを指導する能力、校務にICTを活用する能力などがあります。教育者のICT活用指導力の推移の現状として、上記全ての指導力が上昇していました。
ICT教育の課題
ICT教育は現状、環境整備が整っていないという課題があります。ICT教育環境を整えるには、現状では学校側が電子黒板やモバイル端末などのコストを掛けて整備する必要があります。
しかしながら、現状では地域格差もあります。そのため、現状では十分な状態になっているとは言えず、ICT教育の課題といえます。
ICT教育の現状を知り発展に期待しよう!
現状、ICT教育はまだ始まったばかりであると言えます。
ICT教育は国が積極的に推進している分野ですが、現状は発展途上です。しかしICT教育環境を整えて指導することで、将来日本が直面するであろうさまざまな変化に対応できるICT人材を育てることができます。
ぜひICT教育の現状を知り、今後の発展を見守るようにしましょう。