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効果的な研修期間の設定と管理方法|予算や参加者との関わり方も解説

近年のグローバル化やDX化の流れを受け、研修による人材育成を検討する企業が増えています。しかし研修の実施までには、予算や研修内容、受講人数の策定など、解決すべき課題が尽きません。特に研修期間は研修成果を左右するため、どれくらいの期間が適切なのか、頭を悩ませる研修担当者も多いのではないでしょうか。

そこで今回の記事では、研修期間について以下の内容で詳しく解説します。

研修期間についてのよくある質問にも回答しています。ぜひ研修期間を検討する際の参考にしてください。

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目次

研修期間の重要性とは

研修期間の重要性とは
研修期間の重要性とは

はじめに研修における期間設定の重要性について、以下の内容で解説します。

研修は組織の成長や人材開発に貢献できているか?

研修は組織の成長や発展にどのような影響を与えているのでしょうか。ここでは、研修で組織改革に成功している具体的な例を見てみましょう。

リスキリング先進企業「キヤノン」では、非エンジニア人材をエンジニアへキャリアチェンジさせ、業績を上げています。公募と部門推薦の中から選出された人材は、実務を離れ4ヵ月の研修を受けたのちに、新しい職務へ就く流れです。販売部門などからエンジニアへ転向した社員が、元の所属部署を技術で支援できるといった形で、組織の発展に貢献しています。

不動産・住宅情報サイトを運営する「LIFLE」では、社員が講師を務める「LIFLE大学」という社内大学を開設。「ビジネス」「営業」「ものづくり」の3学部の中に、社長が塾長を務める「経営学」などさまざまな選択講座があります。参加者側だけでなく、講師も自ら学び直すきっかけとなり、会社全体に学ぶ機運が高まったことが研修の成果です。

研修の目的や手法はさまざまですが、効果的な研修の実施により、組織の競争力や生産性向上にポジティブな影響を与えることができます。

研修の種類と平均期間

ここで一般的な研修の種類と、平均的な企業の研修期間を見てみましょう。主な研修を一覧にしましたので参考にしてください。

スクロールできます
研修の種類受講内容期間
新入社員研修社会人としての心構え、自社の方針や理念、仕事の基本、ビジネスマナーなど1~3ヵ月
コミュニケーション研修傾聴力、質問力、伝達力、報連相など1日完結、60分1~9コマなど
リーダーシップ研修リーダーの役割、コミュニケーション、指導法など1~2日
プレゼンテーション研修構成力、表現力、実践演習など1~2日
リスクマネジメント研修リスク分析、リスクコントロール、対処法など1日~
情報セキュリティ研修セキュリティの基礎、事故事例と対策、セキュア環境の構築など 1日~
DX研修IT基礎、デジタルトレンド、RPAなど1日~

多くの企業では新入社員研修に1ヵ月以上の期間を設けています。実際の職務に就く前に、社会人としての心構えやマナー、自社の方針などを習得させるためです。

一方でキャリア社員を対象とする研修は、通常業務との兼ね合いから1〜2日の短期間で行う場合がほとんどです。さらに受講内容を定着させる目的で、上記日程に加え本研修から一定期間を経過後に、フォローアップ研修を実施する企業も増えてきました。

近年はe-ラーニングを導入し、一定期間内に指定の授業(1回30〜60分程度)の受講を促すシステムを取る企業もあり、柔軟な受講方法で研修を実施していることがわかります。

このようにキャリア社員への研修期間は、企業のニーズや研修目的により多様化しています。

研修期間の設定で研修成果に影響

研修の成果は、適切な研修期間の設定により決まる部分も大きいといえます。

参加者が十分な学習と、理解ができる時間を確保するためには、適切な研修期間を設定することが必要です。研修期間が短すぎると、提供される情報の量に対して吸収や実践の機会が不足し、理解やスキル習得が間に合いません。一方で研修期間が長すぎても参加者のモチベーションや関心が低下し、研修の効果が薄れてしまうため、注意が必要です。

学ぶ内容と情報に対し、習得するのに適切な研修期間を設定することで、参加者の学びや成果を最大化できます。

研修期間をどう設定するか

研修期間をどう設定するか
研修期間をどう設定するか

研修における期間の重要性を踏まえたうえで、研修期間の設定の仕方を理解していきましょう。

研修の計画立案のポイント

研修の計画を立案するポイントは、実施目的を明確にすることと参加者のレベルに合わせることにあります。

研修本来の目的は、自社の事業戦略上の課題を解決できる人材の育成です。研修の目的や目標を明確に設定する必要があり、それに合わせて研修期間を計画することが重要です。

研修の目的を明確に伝えられていなければ、参加者は何のために学んでいるのかわからず、主体的に取り組むことができません。反対に研修の目的と目標を把握していれば、研修のゴールを自分の目標として捉えることができるため、研修効果を高められます。

研修の実施目的が自社課題の解決と連動していれば、研修の運営に周囲の協力を得ることも容易です。参加者の勤務調整に上司が協力してくれるなど、研修実施に向け部署間で連携するようになります。

研修期間を設定する際に重要なポイントは、研修対象者の能力や経験レベルに合わせることです。学ぶ内容に対して期間が短すぎると、参加者の挫折を招いてしまいます。参加者のレベルにより難易度の感じ方は異なるため、それぞれのレベルに対し、適切な学習期間を考慮することが重要です。

研修計画の立案時には、実施目的を明確化することと、参加者の能力やレベルに合わせて期間を設定することが重要です。

研修期間を設定するには

研修期間を設定する際に、前回の実施期間を基準にする場合が多いのではないでしょうか。そのときに、前回の研修内容を詳細に分析し、評価を行うことで今回の研修を効果的に実施できます。

学習内容の習得に必要な時間を確保するほか、復習にかかる期間も考慮したうえで、最終的な研修期間を設定します。研修時間は参加者の集中力が続くよう配慮する必要があるため、1コマ60〜90分ごとに20分の休憩を挟むようにしましょう。1日の終わりにふり返りの時間を設けることも、内容を習得するために大切なプロセスです。

適切な研修期間は受講人数によっても異なります。参加者数が多い場合は、日程を長く取る方がグループワークや質疑応答を充実させられるため、研修効果を高められます。

研修期間の設定には、参加者の業務との兼ね合いも考慮に入れる必要があります。参加者の勤務状況により受講の日程調整が難しい場合に、オンライン受講で補習ができるなど、柔軟に対応できると理想的です。

前回実施時の評価をもとに、参加人数や学習事項の増減を考慮し、習得する内容と情報量に対して適切な研修期間を設定しましょう。

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研修の実施と評価方法

研修の実施と評価方法
研修の実施と評価方法

研修後の効果測定が大事といわれるものの、効果的に実施できている企業は多くないのではないでしょうか。ここから研修の実施と評価方法を、以下の内容で解説します。

研修の実施方法

はじめに、研修の計画から実施までの手順を解説します。

  • 1.研修のメニュー決定と予算の確認をする
  • 2.社内で実施するか社外で実施するかを決め、必要な手配をする
  • 3.研修のプログラム設計と参加者募集をする

研修のメニューに迷う場合には、社内でニーズを確認するヒアリングやアンケートを行なうとよいでしょう。

社内研修か社外研修かを決めたら、講師と進行役のファシリテーターを選定します。研修効果を高めるためには進行を講師に丸投げせず、参加者の反応を確認しながら進行をサポートするファシリテーターの役割が重要です。

参加者募集時には受講予定者の人数を把握し、出欠リストの作成および参加者の勤務調整を行います。

研修を円滑に準備・運営するためには、運営スタッフの役割分担をしておくことも重要です。準備会議を開催することで研修の詳細を共有し、協力体制を構築できます。進捗確認のために、会議は開催まで数回実施し、前日の最終チェックも欠かさず行いましょう。

研修の成果は、準備と受講後のフォローで8割決まるといわれます。他部署とも連携を取り合い実施に備えましょう。

研修期間中の参加者へのサポートとフォローアップ

研修の効果を上げるためには、研修中と研修後の参加者に対するサポートが重要です。

研修中にはワークを通して、参加者へ学習のアウトプットを促します。アウトプットすることで、参加者は現在の課題・問題点に気付けるでしょう。さらに学んだ内容を定着させるために、質疑応答とふり返りの時間を設ける必要があります。質問は自身だけでなく周囲の理解度アップにもつながります。

質疑応答で参加者が積極的に発言・行動するためには、ファシリテーターの役割が重要です。研修では質問がしづらい参加者の緊張を解き、コミュニケーションを円滑に進められる環境作りが求められます。

学習内容の定着のためには、研修後のフォローアップも大切です。研修の効果を確かめるために、先に決めた目標に対して達成度の評価を行う必要があります。研修後にアンケートと理解度テストを行うと、研修効果を可視化しやすいでしょう。さらに学習内容を実務で実践する行動変容を評価することも、重要な効果測定のひとつです。

学習内容の実践状況の追跡・評価を行う際に参加者側が「やらされ感」を抱かないよう、研修後の行動目標を参加者自身に考えさせることが大切です。

研修期間後の効果測定と評価方法

研修の効果測定とは、学習の成果と行動変容の評価をすることです。

学習の成果を定量評価するためには、アンケートや理解度テストが有効です。アンケートでは講師の評価や研修の進め方について選択制で回答してもらうことで、研修運営への評価を数値で集計しやすくなります。

参加者の行動変容を測定する方法については、職種や受講内容によっては定量評価が難しいかもしれません。行動変容を可視化する有効な評価基準としては、次の「カークパトリックモデル」の4段階評価が知られています。

  • 1. Reaction(反応)
    研修直後のアンケート結果から、受講生の満足度を評価
  • 2. Learning(学習)
    研修直後のテストの結果から、学習到達度を評価
  • 3. Behavior(行動)
    アンケートやヒアリングで、参加者の行動変容を評価
  • 4. Results(成果)
    研修目標の達成度、職務での業績向上度合いを評価

4つの項目について定期的にフォローし把握することで、研修の総合的な評価が可能になります。もし評価の工程が煩雑でリソースを割けない場合には、LMSやオンライン研修プラットフォームを活用し、集計や進捗管理を一元化することもひとつの方法です。

研修は、実施したままフォローを行わなければ、1年後に効果が1割ほどまで減少するといわれています。研修効果を高めるためには、参加者が目標達成に向け実践し続けられるよう、適切なフォローと評価を行うことが肝心です。

研修期間のベストプラクティス

研修期間のベストプラクティス
研修期間のベストプラクティス

ここからは、研修期間のベストプラクティスに一歩踏み込んで、以下の内容で解説します。

参加者のモチベーション向上

研修参加者のモチベーションを上げるためには、参加者の関心・ニーズに合わせた内容のカスタマイズをすることが重要です。研修内容を決める段階で、社員の関心やニーズをアンケートやヒアリングで把握し、ニーズに沿う内容で研修を計画しましょう。

研修の目的・意義を明確化したら、参加者に周知し理解してもらうことが大切です。参加者が研修目的を自分の目的として捉えられれば、主体的に取り組めるためです。

さらに、研修を講師からの一方通行にせず双方向コミュニケーションとすることも、参加者のモチベーション維持のために必要な要素です。研修では参加者が疑問をその場で質問し解消できるよう、配慮を行う必要があります。

参加者の学びへの意欲を引き出すためのアプローチはひとつではありません。研修効果を高めるために、参加者のニーズと感心にマッチした研修内容を選択しましょう。もし自社のリソースでは研修内容の最適化が困難な場合には、社外研修サービスを活用することもひとつの方法です。

参加者との効果的なコミュニケーション

研修を効果的に実施するうえで、講師と参加者とのコミュニケーションが重要になります。

研修中のコミュニケーションが講師からの一方通行では、目指す研修効果が望めません。しかし参加者が研修中に自ら発言や質問をすることに、抵抗を感じるケースは多いです。

そのため講師とファシリテーターは、参加者が発言しやすい環境を整える必要があります。対面研修の場合は、ファシリテーターが参加者の発言を促したり、発言内容を整理したりすることで、参加者を自発的発言へと引き込む調整役となります。

ファシリテーターが研修の進行をサポートするためには、講師よりも参加者寄りの目線に立つことが重要です。受けた質問内容を客観的に整理し再提示することで、発言者の意図をより明確にできるうえ、他者も発言しやすくなります。

双方向型ライブ配信研修で効果的な研修を実施するポイントは、参加者に顔出しをしてもらうこと、対面研修よりも少人数で実施することです。お互いの顔を見ながら5〜10人程度の人数で実施すれば、コミュニケーションが取りやすく知識の習得が進みます。

オンライン・オフラインを問わず参加者とのコミュニケーションを強化することが、研修の効果を高める重要なポイントです。

研修成果を最大化するフォローアップ手法

研修効果を最大化するためには、参加者に対するフォローアップ活動が重要なポイントとなります。

研修で学習した内容を定着させるには、研修後の定期的な実践状況確認と本人への意識づけが必須です。具体的には、研修後に参加者本人に行動計画を立てさせること、行動計画に対する定期的なフォローを周知することが大切です。研修を1回実施しただけでフォローを行わなければ、時間の経過とともに学習内容を忘れ、実践ができなくなるためです。

さらにフォローアップトレーニングを行うことで、学んだ内容を定着させることができます。フォローアップトレーニングの実施目的は、研修終了後に一定期間を置いてから、再度学んだ内容をふり返り、実践への活かし方を再確認することです。実践をする中で、研修中に気付けなかった課題を見つけた場合にも、フォローアップで新たな課題や疑問を解決でき、新たに学んだ内容を今後の実践に活かせるようになります。

フォローアップの段階では参加者も実践を経て、受講時よりも課題解決へのスキルと知識が上がっているはずです。そのため初回よりも具体的な目標設定ができ、より高い確度で実践への落とし込みができるようになっています。

このように参加者へのフォローアップを行うことで、研修効果を格段に高められるのです。

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研修期間を設定する時の注意点

研修期間を設定する時の注意点
研修期間を設定する時の注意点

研修を効果的に実施するために、研修期間を設定する際に注意すべき点を、以下の内容で解説します。

研修期間の予算とコスト管理

研修期間を設定する際には、予算とコスト管理についても考慮しなければなりません。

研修予算を見積もる主な方法は、前回実施時の予算や実績をもとに算出する方法、想定受講人数から割り出す方法、一から立案する方法です。実際には前回実施時を参考にするケースが多いものの、受講人数の変動や内容の改善・変更により増減させなければならない点に注意が必要です。研修や講師を社外に委託するかどうかによっても、費用が異なります。

研修効果を最大化するために、参加者のフォローアップを経て研修を改善し、内容を充実させる場合もあるでしょう。自社の事業戦略によっては、社内にないノウハウを学ぶため、社外講師に委託する必要も生じます。このように研修は必要に応じて最適化を図らなければなりません。

一方で、学習に十分な期間を確保しながら、経費を節減する方法も検討しなければならないでしょう。その場合に、オンライン研修を活用することで会場費と交通費を削減することもひとつの方法です。オンライン研修であれば、人数上の都合で複数日開催となっても比較的費用を抑えられます。このほかの経費を削減する方法として、各種助成金の活用も視野に入れるとよいでしょう。

知識習得に十分な研修期間を設けながら、工夫次第で経費を抑えることは可能です。

参加者のモチベーション管理

参加者のモチベーションの維持・向上は研修の効果に直結します。

参加者に対しては、この研修を受講することで得られるベネフィットを提示すると、学ぶ意欲の向上につながります。もし自社ですでに実績があれば、過去の参加者の実務成功例やポジション変更、昇進例を紹介できると効果的です。今後の参加者処遇については、研修成果を等級や報酬へ反映するなどの提案を、上層部へ行うことを検討してもよいでしょう。

研修のモチベーションを高めることと同時に、維持する工夫も必要です。研修で学んだその場では内容を有意義だと感じても、実務でうまく行かなければ学んだことが役に立たないと感じてしまいます。参加者の挫折を防ぐためには、受講中と受講後に定期的に進捗確認と課題解決のフォローアップを行い、参加者の実践に並走する姿勢が大切です。

研修で学習意欲を高め、参加者のモチベーションを管理するためには、参加者へのベネフィットの提示や、挫折を防ぐフォローアップの戦略が重要です。

研修期間中と期間後に気をつけること

研修の効果を最大限に引き出すためには、研修期間中と研修期間後のサポート体制が重要になります。

研修の時間割については、参加者が集中して臨める条件を考慮する必要があります。一般に人間の集中力は90分までといわれるため、研修の1コマを90分に納めるよう時間を設定することが重要です。1コマの中でもレクチャーとワークを組み合わせるなど、変化をつけることで参加者は集中力を維持しやすくなります。

研修期間を設定する際には、研修内容と集中が可能な時間数、習得にかかる見込み時間数から逆算することが大切です。

研修後に知識とスキルの定着を図るためには、フォローアップが有効であることは先に解説したとおりです。具体的には、研修から一定期間を過ぎ、ある程度の実践を経てから進捗を確認し、新たな課題の解決策を参加者とともに探ります。参加者にフォローアップを周知することで、本人へ研修後の実践を意識づけることが可能です。

フォローアップの実施時期は、実践で本人につまづきが見られる場合には研修実施から1ヵ月程度、おおむね順調そうな場合でも3ヵ月程度で実施する方がよいとされます。実践がいきなり頓挫してしまうケースと、滑り出しは順調でも周囲の協力が得られずつまづくケースがあるためです。

このような段階的フォローアップで参加者の課題に寄り添うことにより、参加者は研修で学んだことを確実に実践できるようになり、研修効果の最大化を図れます。

研修期間中の管理方法とリソース管理

研修期間中の管理方法とリソース管理
研修期間中の管理方法とリソース管理

ここから研修期間におけるリソース管理の方法について、以下の内容で解説します。

研修期間に進捗を管理する重要性

研修効果を高めるためには、研修期間に進捗をどのように管理するかが重要になります。

研修の進捗管理をすることにより、参加者それぞれの習得度を把握でき、バラつきをなくすための対策を講じられます。

とはいえ、研修期間中に進捗を都度確認することは容易ではありません。特に対面研修での理解度やe-ラーニングの進み具合の把握を困難に感じる方も多いでしょう。その場合には、参加者の進捗を可視化できるツールで一元管理することもひとつの方法です。

参加者の進捗管理が行えれば、参加者の新たな課題も早期に発見できます。本人がつまづくポイントをいち早く把握し、ピンポイントでサポートを行えれば、研修の挫折者を減らせるでしょう。

研修の進捗管理にはツールを活用すると、少ない工程で行うことができます。Excelテンプレート内のガントチャートを利用するだけでも、各タスクの整理と他者との情報共有が容易になります。ほかにも研修進捗管理システムや、汎用のプロジェクト管理ツールを活用する方法も有効です。

研修期間の限られたリソースを有効活用するために、ツールを活用し業務を効率化することも視野に入れましょう。

研修中のリソース管理

ここで、限られたリソースの中で最大の研修効果を出すためのポイントを解説します。

研修の進行や運営に関わる人的リソースとして、講師のほかにファシリテーターが必要なことは先に解説したとおりです。ここでファシリテーターが参加者に働きかけ、主体的に研修に関わることができれば、参加者自身に進行の一端を担ってもらうことも可能になり、スタッフの負担を軽減できます。

研修のリソースとして、会場の確保に頭を悩ませる人材育成担当者も多いのではないでしょうか。研修会場は自社スペースのほか、外部施設をレンタルする方法もあります。参加者の人数と勤務状況、アクセスを考慮し、最適な会場を選択しましょう。研修を外部委託する場合は、研修会社が専用の研修施設を保有している場合もあるため、確認するとよいでしょう。

研修教材を選定する時間的リソースの確保も、担当者が苦心するポイントのひとつです。定例研修の過去の教材では内容が時代にそぐわなくなり、内容を刷新する必要性も出てくるでしょう。そのときはオンデマンド研修教材サービスを活用し、工数を削減する方法もあります。オンデマンド研修であれば常時最新の教材を入手でき、受講の時と場所を選ばないため講師と参加者の日程調整も不要です。

研修リソースの有効活用には、オンデマンドなどのオンライン研修も含めて検討することをおすすめします。

研修中のタイムライン管理

ここから研修期間中のタイムライン管理について解説します。

研修プログラムの進行について、事前に研修の流れを把握してから、実施者と講師で打ち合わせのうえシナリオを作成します。ただし予期せぬハプニングで予定が押すことも考えられます。参加者の発言が長いこと、予想以上にグループワークが盛り上がるといったことも、研修にはつきものです。

また参加者の反応や疲労度によっては講義を中断し、ブレイクを入れる必要もあるでしょう。このような予定どおりに進まない場面に対し、臨機応変に対応できるよう時間に余裕のあるプログラムを作成しておき、最後の質疑応答で時間調整を行うこともひとつの方法です。

開会のあいさつ、注意事項のアナウンスに始まり、講師紹介の開会時のイントロダクションは、参加者の心身を研修に向かわせ整える役割があります。研修の閉会前にも、質疑応答やふり返りの時間を設けることで、参加者の知識の定着を促します。

研修中は参加者の集中力を途切れさせないために、講師は一方的に話さず、参加者それぞれにアイコンタクトや声掛けを行うなどの工夫が必要です。その際に、参加者が理解できているかどうかを確かめましょう。

研修担当者は当日多忙になるため、業務や確認の漏れがないよう、必要事項をチェックリスト化することをおすすめします。研修の進行テンプレートはインターネット上で入手できるため、活用するとよいでしょう。

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研修期間中に効果的なコミュニケーションとは

研修期間中に効果的なコミュニケーションとは
研修期間中に効果的なコミュニケーションとは

最後は、研修効果を上げるために研修中に必要なコミュニケーションについて、以下の内容で解説します。

研修期間中のコミュニケーションの重要性

研修中は講師と参加者の相互コミュニケーションが重要です。

研修が講師からの一方通行では、参加者の知識定着を見込めません。講師とファシリテーターには、参加者の疑問や課題を引き出すことが求められます。参加者から疑問や課題が挙がればグループワークで意見交換を行えるほか、次回への改善にもつなげられます。

研修中にコミュニケーションが重要なのは、講師と参加者の間だけではありません。参加者間のコミュニケーションが円滑になりチームワークが生まれることにより、研修の効果を一層高められます。チームワークが生まれれば、1人では難しい課題でもチームでなら解決できる、ということを体感できるでしょう。

最近は受講のしやすいe-ラーニングを活用する企業が増えていますが、その場合はリアルタイムでセッションやワークを行う機会を別途設けるなど、研修効果を高める工夫が必要です。

オンライン・対面のどちらでも、研修期間中は参加者のコミュニケーションを尊重し、活発な意見交換を促しましょう。

参加者との効果的なフィードバックのやり方

研修効果を高めるためには、参加者への効果的なフィードバックが欠かせません。

相手が受け止めやすいフィードバックのポイントは、その場ですぐに伝えること、相手の性格・人格でなく行動そのものに対し指摘すること、改善のためのアドバイスを一緒に伝えることです。

さらに本人の成長のためには問題点だけでなく、取り組み姿勢や進捗に対するポジティブなフィードバックを行うことも大切です。

研修の進捗評価については定量評価が困難なため、ポジティブな評価を行いづらいかもしれません。参加者への効果的なフィードバックを行うためには、進捗に対しても上司や講師・担当者の主観で評価することのないよう、適切なフレームワークを使用する必要があります。

業績上の研修効果ではなく、参加者の行動変容を研修効果として評価することが重要です。行動変容の評価は、参加者の状態を次の4つのステップに当てはめると行いやすいでしょう。

  • 関心期:行動を変容させることに関心はあるものの、実行する意思はない
  • 準備期:取るべき行動を理解し、行動したいと考えている
  • 実行期:行動を起こしている段階だが、まだ効果に疑問を抱いている
  • 維持期:行動変容が継続しており、習慣化している

例えば研修後まだ目に見える成果がない場合でも、関心期から準備期へ移行していることも考えられます。大切なのは、本人が先に立てた目標を達成できていなくても、行動したこと自体を評価するポジティブフィードバックでやる気を引き出すことです。

客観的な手法を用いたフィードバックを通じ、参加者の次の目標設定と遂行をサポートしましょう。

チーム間のコラボレーションを促進する手法

研修では参加者同士やチーム間のコラボレーションを行えると、研修効果が高まります。

研修期間中にグループワークやディスカッションを行うことは、参加者それぞれが主体性を発揮し、協調性を育むうえで効果的です。もともと業務で接点のなかった者同士が、お互いの行動の根底にある考え方を知ることで、その後の業務で円滑なコミュニケーションが可能になります。グループワークは同時に、個人よりもチームの方が大きな力を発揮できることを実感できる、よい機会にもなるでしょう。

研修で有効なグループワークは以下の3タイプです。

  • 自由討論型:抽象的なテーマについて、グループ内で自由に意見を重ねる。結論は重視しない。
  • 課題解決型:日常や仕事の課題について、グループで解決策を話し合う。
  • チーム対抗ディベート型:1つのテーマについて、2つのチームに分かれて討論する。

各々のグループがチームとして機能するために、スタッフが行うべきサポートは、意見を引き出すこと、メンバーの理解を助けること、話題が逸れたときに軌道修正をすること、結論を引き出す手助けをすることです。

グループワークの後にはフィードバックを行い、進行やコミュニケーションの円滑さ、役割分担の有効性をふり返ることも、今後実務でのチームビルディングに活かすためには大切です。

グループワークやディスカッションを通じて、参加者のチームビルディングスキル向上を図ることができます。近年はオンラインの研修ツールやプラットフォームでもグループワークを行えるようになっているため、選択肢に入れるとよいかもしれません。

よくある質問(FAQ)

よくある質問
よくある質問
研修期間の設定や時間枠にはどのような基準がありますか?

研修期間や時間枠を決定するうえで基準とされるのは多くの場合、研修内容や予算、リソースの制約です。

研修で学ぶべき内容が複雑な場合や、専門性を掘り下げる必要がある場合には、研修時間を長く取る必要があります。そのほか参加者のニーズや目標も、研修の期間や時間を決定する主要な要素です。一方で研修のリソースが限られている場合には、研修規模を縮小し時間を削減せざるを得ないケースも多いです。

近年はオンライン研修の普及により、時と場所を選ばず研修を柔軟に実施できるようになりました。最近ではe-ラーニングの個別学習に加え、リアルタイム研修によるグループワークもオンラインで行えるため、リソースを有効活用して研修を行うために検討するとよいでしょう。

研修期間の長さは、参加者のスキルやニーズに応じてどのように決定すべきですか?

研修期間の長さは、参加者の現状のスキルレベルと目標とのギャップから到達までのプロセスを考慮し、逆算して決める必要があります。

学習効果を高めるためには、事前に参加者の課題やニーズを把握し、それらを解決することを目標に設定することが重要です。目標が決定したら、達成するために必要な受講内容を精査し、習得に十分な研修期間を割り出しましょう。

研修当日だけでなく、参加者へ事前に教材を配布し予習を促す期間を設けることで、研修の効果を高められます。研修後に定期的なフォローアップの機会を設けることも、受講内容を実践で定着させるために重要です。

研修の効果である行動変容を起こすためには、研修前4割、研修中2割、研修後4割の取り組みが重要といわれます(ブリンカーホフの法則)。研修そのものの期間だけでなく、前後のプロセスに対する時間配分も考慮しましょう。

研修期間の実施における予算管理のポイントは何ですか?

予算を見積もる方法には、前回実施時の予算や実績から算出する方法と、想定受講人数から割り出す方法、一から立案する方法とがあります。実際には前回実施時を参考にするケースが多いですが、内容の変更や受講人数の増減により必要経費の調整が必要です。

多くの場合、研修の費用削減や最適化を図る必要が出てきます。研修効果を最大化するためには、参加者へのフォローアップを通じ研修を改善することが必須です。また自社の事業戦略によっては、社内にないノウハウを学ぶために、社外講師に委託するコストが生じる場合もあるでしょう。

知識とスキルの習得に十分な期間を確保しながら、同時にコストを抑えるためには、オンライン研修の活用も有効です。ほかに助成金を活用する方法もあるため、自社でできる経費節減方法をご検討ください。

一般的な企業は1年にどのくらい研修期間を設けてますか?

企業の研修期間は、業種や企業規模などによっても異なります。

一般的な新入社員研修にかかる期間は「1日〜3ヵ月」で、業種・職種別では事務職で2週間程度、エンジニアなどの技術職では3ヵ月を費やす企業が多いようです。

企業規模別では、社員数1,001名以上の企業では1ヵ月以上の新人研修を行うところが47%にのぼる一方、社員数300名以下では研修期間を1〜3週間とする企業が41%でした。中小企業の研修期間が短い理由には、財政面のほか、現場でOJTを行いやすいという事情もあるようです。

全労働者の研修期間については、総務省の調査によると、令和元年度のOFF-JT平均延べ受講時間は年間20.3時間でした。

業種・企業規模別の研修期間の統計は出ていませんが、OFF-JTの受講率は情報通信業で48.4%、学術研究、専門・技術サービス業で48.7%の一方で、生活サービス業・娯楽業では23.6%と、業界・業種により差が見られます。このことから、受講時間数も受講率に連動していると考えてよいのではないでしょうか。

参照:調査結果の概要 1|厚生労働省

実際の企業の研修期間やリソース配分は、企業ごとの人材育成方針によっても異なります。自社の事業戦略と現場のニーズを汲み取り、必要とされる研修を必要なだけ実施することが重要です。他社の人材育成成功事例も参考に、自社に最適な研修期間を設定しましょう。

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まとめ

今回は研修期間の設定について、さまざまな視点から解説しました。

研修期間を決める際に重要なポイントは、自社の方針に合わせて設定した人材育成目標と社員のニーズから、受講内容を割り出し、習得に必要な期間を設定することです。

近年のDX化やグローバル化、働き方の多様化により、研修ニーズも年々変化しています。そのため自社の研修内容や期間を決定するうえでも、必要とされる人材を育成するための内容と、それを実現するための期間を設定する必要があります。

ただし自社のニーズに合わせて設定した内容と期間で研修を実施することが、自社のリソースでは困難な場合もあるかもしれません。そのときはオンライン研修のプラットフォームなど、外部リソースの活用も選択肢のひとつです。

必要に応じて研修期間を柔軟に設定し、もっとも効率的な人材育成の実施を目指しましょう。

目次