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離職票とは?企業側の作業や離職票作成のタイミングを解説!

離職票は、従業員が退職する際に、発行が必要な書類です。

離職票を発行する頻度は少ないため、改めて内容を確認しましょう。

当記事では、企業が離職票を発行する際に必要な作業や、離職票作成のタイミングを解説します。当記事を読めば、よりいっそう効率的に離職票を発行できるようになりますので、ぜひ参考にしてください。

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目次

離職票とは

離職票とは
離職票とは

離職票は、社員が退職したことを証明し、失業手当を受け取るために必要な書類です。

まずは離職票の概要と役割、企業における重要性、法的側面と企業の責任について解説します。

離職票とは何か

離職票は、従業員が会社を離職したことを公的に証明するための書類です。離職票の正式名称は「雇用保険被保険者離職票」で、退職した従業員が失業手当(雇用保険制度の基本手当)の受給申請に必要とされています。

実際に離職票を発行するのは「ハローワーク(公共職業安定所)」であり、従業員から会社経由でハローワークに申請することで、離職票の作成が可能です。

従業員が退職すると、企業が必要に応じて、離職票の発行手続きを行います。

離職票の役割と企業における重要性

先述のとおり、離職票は、退職した従業員が失業手当の受給申請に際し、ハローワークに提出する書類です。企業としては、退職する社員に離職票の発行を求められた場合、適切な手続きを行って離職票を発行しなければなりません。

また、離職票の「離職理由欄」には、従業員が退職した理由が記載されており、企業にとっては当該欄の記載が非常に重要です。

この理由を書き留めておくことで、離職理由のデータベースが作成できます。このデータベースのデータを集計することで、社員が離職する理由の傾向を把握することが可能です。

離職票の離職理由データを活用することで、「これ以上社員が退職しないようにするにはどうすべきか」の対策・改善活動に活用できます。

離職票の法的側面と企業の責任

離職票は、「雇用保険法 第七十六条 三項」に定められている通り、退職した従業員に発行を求められた際に、企業が発行しなければなりません。

もし、企業として証明書の交付を拒んだ場合、「雇用保険法 第八十四条 三項」に違反することとなり、「六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金」が科されます。
(出典:雇用保険法

これらの通り、離職票の発行は法律で義務づけられているため、退職者から発行を申請されると、スムーズに発行しなければなりません。

離職票の作成・発行する方法

離職票の作成・発行する方法
離職票の作成・発行する方法

続いて、離職票の基本フォーマットや作成のタイミングと手続き、保存期間とその方法を解説します。

離職票の基本フォーマット

離職票は、「雇用保険被保険者離職票-1」と「雇用保険被保険者離職票-2」に分かれており、それぞれ記載されている内容が異なります。

「雇用保険被保険者離職票-1」は「離職票-1」とも呼ばれており、離職者の氏名や個人番号、生年月日などが記載されています。一方で、「雇用保険被保険者離職票-2」は「離職票-2」とも呼ばれており、「離職理由」や「具体的事情記載欄」などの記載があります。

離職票作成のタイミングと手続き

「雇用保険法 施行規則 第七条」より、企業は、被保険者でなくなった日(退職日)の翌日から起算して 10 日以内に、各種書類をハローワークに提出しなければなりません。
(出典:雇用保険法 施行規則 第七条

そのため、離職票の作成は、従業員の退職が決まったタイミングで発行が必要かを確認し、必要であれば迅速に作成することをおすすめします。

また、離職票作成の手続きは以下のステップで実施します。

  • 退職者に離職票が必要か確認
  • 「離職証明書」と「資格喪失届」を作成する
  • 退職者に「離職証明書」を確認してもらう
  • ハローワークに「離職証明書」と「資格喪失届」を提出する
  • ハローワークが離職票を発行し、会社に送付される
  • 会社が離職票を退職者に送付する

まずは、退職者に離職票が必要か確認し、必要であれば「離職証明書」と「資格喪失届」を作成します。(それぞれの用紙はハローワークで入手できます。)離職証明書が作成できたら退職者に内容を確認してもらい、問題なければそれらの書類をハローワークに提出しましょう。

ハローワークが受理した書類をもとに離職票を発行しますので、その離職票を退職者に送付することで、手続きが完了します。

離職票の保存期間と方法

離職票は、雇用保険の被保険者に関する書類に該当するため、退職した日から4年間の保存が義務づけられています。

「雇用保険法 施行規則 第百四十三条」によると、「事業主及び労働保険事務組合は、雇用保険に関する書類をその完結の日から二年間(被保険者に関する書類にあつては、四年間)保管しなければならない。」とあります。
(出典:雇用保険法 施行規則

また、離職票には多くの個人情報を含みます。保存方法についての定めはありませんが、個人情報が漏洩しないよう、鍵のかかるラックなどに保存することをおすすめします。

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離職票と採用プロセス

離職票と採用プロセス
離職票と採用プロセス

先ほど、離職票の離職理由を書き留めておくことで、離職理由のデータベースが作成できると解説しました。

ここからは、離職理由のデータを、新入社員の研修や人材マネジメントに活用する方法を解説します。

離職票と新入社員の入社手続きと研修

離職票の離職理由データは、新入社員の研修時において、何を教育すれば良いかの判断材料になります。

厚生労働省の発表している「仕事をやめた者の退職理由」の統計資料によると、「給与・報酬が少なかったから」や「事業又は会社の将来に不安を感じたから」「会社の経営方針に不満を感じたから」といった理由が上位を占めています。
(出典:仕事をやめた者の退職理由

給与・報酬について、新入社員研修にて改善することは困難ですが、会社の経営方針や将来性についての不満・不安を払拭することは可能です。

新入社員研修を実施する際には、仕事の方法やビジネスマナーに加えて、会社の経営方針やビジョン、パーパス(企業の存在意義)などを明確に伝えましょう。

これらを理解してもらうことで、全社員が向くべき方向が明確になり、不安を払拭することにつながります。

離職票を用いた効果的な人材マネジメント

人材マネジメントにおいても、離職票の離職理由を活用することができます。

例えば、先ほどの「仕事をやめた者の退職理由」の統計資料において、「人間関係がうまくいかなかったから」という理由も退職理由の上位です。もし、特定の部署の退職者において上記理由が大半を占めている場合、当該部署の上司や同僚のコミュニケーションスキルに問題がある可能性が考えられます。

このような場合は、当該部署の人員に対して、コミュニケーションスキルやマネジメントスキルの向上を目的とした研修やセミナーを実施するなどして、各スキルの向上に努めましょう。

よくある問題と対処法

よくある問題と対処法
よくある問題と対処法

当セクションでは、離職票に関してよくある問題や、誤り・不備に対する対処法、再発行の方法などについて解説します。

離職票でよくある法的問題

離職票に関してよくある問題について、退職した従業員から「離職票が届かない」と問い合わせを受けることがあります。これにより、「雇用保険法 第八十四条 三項に違反する」と訴えられ、裁判に発展する可能性があります。

これは、離職票が必要である場合、退職者自身が企業にその旨を伝えなければならないことを知らず、伝えていないというケースが考えられます。

このようなトラブルを避けるためにも、企業側から退職者に対して、離職票の必要有無を確認するようにしましょう。

離職票の誤りや不備に対する対処法

もし離職票の記載に誤りがある場合は、企業側が訂正依頼をハローワークに申請しなければなりません。

まずは本人から離職票を回収し、離職票補正願を作成します。そして上記に加え、離職証明書・被保険者資格喪失確認通知書の事業主控えをそろえて、ハローワークに提出し、手続きを行いましょう。

離職票の再発行とその手続き

離職票は、退職者本人がハローワークに直接申請をすれば再発行が可能です。再発行に際して、身分証明書や雇用保険被保険者証、印鑑などが必要となります。

もし、退職者から離職票の再発行依頼を受けた場合、上記のとおり、ハローワークへ直接申請をすれば発行できることを説明しましょう。

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ケーススタディ

ケーススタディ
ケーススタディ

続いて、離職票のトラブルに関するケーススタディを解説します。

離職票のトラブルとその解決策

離職票のトラブルで最も多いのが、「離職理由の記載」に関することです。

これは、離職理由によって基本手当(失業手当)の受給開始時期が早くなることや、給付日数が多くなることが理由として挙げられます。

例えば、「会社都合退職」である場合、退職から7日後が失業手当の支給開始日ですが、「自己都合退職」である場合は、退職から3ヶ月+ 7日後が支給開始日です。そのため、仮に退職者が「自己都合退職」であったとしても、「会社都合退職」に変えてほしいと言われるケースもあります。

しかし、離職理由に虚偽の記載をした場合、「雇用保険法 第八十三条」により、「6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金」が科される可能性があります。
(出典:雇用保険法

そのため、離職理由に虚偽の記載ができないことを説明し、退職者に理解してもらうことが必要です。

「離職票」に関するよくある質問(FAQ)

よくある質問
よくある質問

最後に、「離職票」に関するよくある質問(FAQ)を説明します。

離職票は従業員が退職した後、いつまでに発行すべきですか?

離職票に発行期限はありません。

しかし、「雇用保険法 施行規則 第七条」にある通り、従業員の退職日翌日から起算して 10 日以内に、各種書類をハローワークに提出しなければなりません。(出典:雇用保険法 施行規則 第七条

離職票はどのような条件で発行されますか?例外ケースはありますか?

離職票の発行条件は、「退職者が所属していた企業において雇用保険に加入していること」です。

雇用保険に加入していた退職者からの希望があれば、企業が離職票の発行手続きを行います。例外として、退職者の次の就職先が決まっており、離職票を必要とせず発行を希望しない場合は、離職票は発行しなくても問題ありません。

従業員が離職票を受け取らない場合、企業側が取るべきステップは?

もし、従業員が次の就職先が決まっていることなどを理由に離職票の発行を希望していない場合は、企業としては発行する必要はありません。

離職票の標準的なフォーマットや見本はありますか?

離職票のフォーマット・見本はハローワークの公式ページで確認できます。
(参考:雇用保険の具体的な手続き – ハローワーク インターネットサービス

離職票を発行する場合、注意すべきポイントは?

離職票をハローワークに申請する際には、以下のポイントに注意しましょう。

  • 離職者の基本情報が誤っていないか
  • 離職理由について、本人との合意が得られているか

離職票には離職者の氏名や離職年月日、雇用保険の被保険者番号などが記載されています。ハローワークから離職票を受領した際に、これらの情報が誤っていないか確認しましょう。

また、先述のとおり、離職票でトラブルとなりやすいのは「離職理由」欄です。ハローワークへの申請前に、退職者本人にもその理由で問題ないか確認するようにしましょう。

 離職票を紛失した場合、再発行は可能ですか?その手続きは?

退職者本人がハローワークに申請すれば、再発行が可能です。また、手続きには身分証明書、雇用保険被保険者証、印鑑などが必要となります。

退職者から離職票の再発行依頼を受けた場合、上記のとおり、ハローワークへ直接申請をすれば発行できることを説明しましょう。

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まとめ

離職票は、退職者が失業手当を受給するための申請に必要な書類です。

会社としては、退職者から発行を希望された場合、ハローワークに離職票の発行手続きを行わなければなりません。

もし、離職票の発行を拒むと「雇用保険法 第八十四条 四項」に違反することとなり、「六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金」が科されるため、必ず発行手続きを行いましょう。

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