Menu

従業員の自己肯定感を高めるトレーニングとは?手法を具体的に解説

「自分ならできる」「自分には無理」同じ事象に対してもポジティブとネガティブの2つの反応があり、この判断と行動を分けるのが「自己肯定感」です。

従業員の自己肯定感を高めることで、組織全体の意欲とチームワークにポジティブな影響を与え、企業の業績向上が期待できるため、自己肯定感を高める人材育成を検討する企業が増えています。しかし一方で、具体的にどのような研修を実施してよいかわからず、お悩みの方もいるでしょう。

今回の記事では、自己肯定感についての概要と、個人や組織へ与える影響、自己肯定感が低い時に試すべきアプローチや組織戦略、自己肯定感を高める具体的な方法について解説します。ぜひ自社従業員の自己肯定感を高める人材育成にお役立てください。

また、侍の法人研修は45,000名以上の指導実績から確立した独自メソッドにもとづき、貴社の抱える課題や目的にあわせてオーダーメイドでカリキュラムを作成。短期間で最大の効果を出す最適なプランをご提案します。

DX推進やIT課題の解決にお悩みの方は、お気軽にご相談ください。⇒サービス紹介資料の無料ダウンロードはこちら

目次

自己肯定感とは

自己肯定感とは
自己肯定感とは

自己肯定感は個人の心理状態や行動に多大な影響を与え、生活の質を左右する重大な要素です。自己肯定感が高い人は、一般に自信を持ち行動が積極的な傾向にあります。一方で自己肯定感が低い人は自信がなく、精神状態も不安定になるのが一般的です。

ここでは、自己肯定感の概要とその重要性について解説します。

自己肯定感の定義

自己肯定感とは、自分自身の価値を認め、自己に対する肯定的な感情を持つことを指す言葉です。これは他者との比較においてではなく、欠点を含めたありのままの自分を肯定し尊重できる感覚をいい、人間が物事を推進する原動力でもあります。

自己肯定感は自分に自信を持っている状態であり、その点では「自己効力感」と共通する部分があります。両者の異なる点は、自己効力感は自分が「できる」と感じている状態を指すのに対し、自己肯定感は「できても、できなくても、大丈夫」と捉えていることです。

類似するもう一つの言葉に「自尊心」がありますが、こちらは自分の存在そのものに価値があると感じ、どちらかといえば他者の干渉を受けない自信を指します。

自己肯定感は個人の幸福感を大きく左右するだけでなく、人間関係を築くうえでも、仕事の成功や自己実現を目指すうえでもベースとなる感情です。自己肯定感は自信やチャレンジ精神の源でもあるため、自己肯定感が高いか低いかにより、仕事のパフォーマンスにも多大な影響を及ぼします。

人の言動が自己肯定感によって左右されるため、自己肯定感の高さ・低さが組織や周囲との関係性をポジティブにもネガティブにも変えてしまいます。そのため、組織においては、自己肯定感を意識的に高めることが求められるのです。

自己肯定感が高い人の特徴

自己肯定感が高い人の特徴として、一般的に自己効力感が高く、物事に積極的な姿勢を持つことが挙げられます。物事を肯定的に考えることができるため、常に言動が前向きです。

自己肯定感の高い人は、楽観的でチャレンジ精神があるため、一見手詰まりに見える状況でも解決策を見いだせる場合が多いです。このような人は自分に軸があり「私ならやれる、克服できる」と信じているため、周囲から困難を指摘されても物事を簡単に諦めません。

また、挫折に対して柔軟に対応できることも、自己肯定感が高い人の特徴です。失敗に対しても「また挑戦すればよい」と即座に切り替えられるため、立ち直りが早い傾向にあります。

さらに自己肯定感が高い人は、自分の感情を理解し適切に表現する高い能力を持っているため、常に感情が安定し、他者に対しても安心感を与えます。このような人は自己理解ができ、自分を認めているため、他者に対しても尊重し長所を認めることができるのです。

このように自己肯定感の高い人は、自身が建設的に行動できるだけでなく、周囲にもポジティブな影響を与えるのです。

自己肯定感が個人の心理と行動に及ぼす影響

自己肯定感は個人の心理と行動に大きな影響を与えます。

自己肯定感が高い人は、一般にストレスや困難な状況に対する耐性が高く、健康的な精神状態を保ちやすい傾向です。こうした人は自分に自信があり、困難な状況でも諦めずに挑戦できるため、行動量が増え、目標を達成できる可能性が高まります。そして目標達成の経験を繰り返すたびに、自己肯定感がさらに高まるのです。

自己肯定感の高い人は、達成感と自己効力感(能力により得られる自信)を獲得し続け、モチベーションの高い状態を維持することが可能です。その結果、対人関係にもポジティブな影響を与えます。

一方で自己肯定感が低い人は、自己否定的な思考に囚われるため、うつ病や不安症などの心的問題を抱えるリスクが高まります。

このような人は自分に自信がないため、常に受け身でチャレンジ精神に欠ける傾向があります。このため周囲からは意欲がなく無関心と思われがちです。また、失敗経験を長く引きずりトラウマになっているため、行動を起こす勇気に欠けるケースが多いです。

また、人の目ばかり気にする言動が多いことも、自己肯定感が低い人の特徴です。このタイプの人は自分の言動が人を不快にし、迷惑をかけていないかどうかを気にし、常に不安に付きまとわれています。周囲に遠慮ばかりしているため、精神的にも不安定になる傾向にあります。

自己肯定感の低い人は、一般に自分の考えや意見を構築できず、他者との建設的なやり取りが困難です。

自己肯定感の重要性

自己肯定感の重要性
自己肯定感の重要性

高い自己肯定感は、個人のパフォーマンスにポジティブな思考と行動、他者への受容と尊重などの効果を現わし、さらに組織のパフォーマンスにも影響を与えます。

ここで、自己肯定感の影響が及ぶ範囲とその重要性について解説します。

自己肯定感が高いと組織にどのような良い影響があるのか

高い自己肯定感が組織へ与える影響について、次の表にまとめました。

組織へ与える影響特徴と理由
・組織の生産性の向上・自分の能力に自信がある
・高いパフォーマンスを発揮する
・労働者の満足度とコミットメント・自己成就感が高い
・職場での満足度とコミットメントも高い
・良好なチームワーク・他人を尊重する
・組織のパフォーマンスを向上させる

自己肯定感の高い人には、大きく分けて3つの特徴があり、それぞれ組織へポジティブな影響を与えます。

特徴1. 「組織の生産性の向上」

高い自己肯定感が組織に与える1つ目の良い影響は、組織の生産性の向上です。

自己肯定感の高い人は自分の能力に自信があるため、一般的に良いパフォーマンスを発揮します。また、物事をポジティブに捉えているため、常に自分が現在できる最善のことをやり遂げようと努め、このことが組織全体の生産性向上に寄与するのです。

特徴2. 「労働者の満足度とコミットメント」

高い自己肯定感が組織に与える2つ目の良い影響は、労働者の満足度とコミットメントが高まることです。

自己肯定感の高い人は、周囲の人間関係や環境を客観的に把握し、最大限に活用できるため、仕事で多くの成果を生みます。そして仕事や職場への満足度が高まると同時に、仕事に前向きに取り組むことで、組織へのコミットメントも高まるのです。

特徴3. 「良好なチームワーク」

高い自己肯定感が組織に与える良い影響の3つ目は、良好なチームワークです。

自己肯定感の高い人は、他人を尊重し、良好な人間関係を築けます。他者の優れている点を素直に認めることができるため、自分と異なる意見に対しても否定せず、関心を持てます。さらに自己肯定感の高い人は、自分の意見を率直に伝えられるため、建設的な意見交換ができ、良好なチームワークを構築することが可能です。

こうした特徴により、自己肯定感の高い人はチームワークを向上させ、組織全体のパフォーマンスに寄与するのです。

自己肯定感が低いと組織でどのような問題が起きるのか

自己肯定感が低い人は、周囲の従業員のモチベーションやエンゲージメント、さらに生産性の低下を招く可能性があります。

自己肯定感の低い人は、物事を他人軸で考えるため、常に不安に付きまとわれています。また、他者と比較し劣等感や嫉妬心を抱える場合も多いです。困難を克服する精神力を持たないため、自力でこうした課題や不安を解消できず、うつ病などの心の問題に発展する可能性も高い傾向にあります。

このような人が職場にいると、周囲は気を遣うため疲弊してしまいます。この状態が続くと、組織で適切なコミュニケーションが働かなくなり、組織のパフォーマンスを低下させます。

さらに自己肯定感の低い人は、失敗を恐れるため自ら行動を起こすことに消極的です。常に困難を避けるため、組織内の他者へ負担がかかることになり、不公平感から不満が生じることもあります。

組織内に自己肯定感が低い人がいることで、労働者の満足度が低下するだけでなく、コミュニケーション不足と不公平感による離職率の上昇、そして従業員ロイヤルティの低下につながる恐れがあるのです。

侍の法人サービスがわかるお役立ち資料セット(会社概要・支援実績・サービスの特徴)をダウンロードする⇒資料セットを確認する

自己肯定感が低い時に試すべきアプローチ

自己肯定感が低い時に試すべきアプローチ
自己肯定感が低い時に試すべきアプローチ

自己肯定感が低い状態は、組織へ多大な悪影響を及ぼします。しかし自己肯定感は、自己理解、ポジティブな自己帯への転換、専門家による支援により改善することが可能です。

ここでは、自己肯定感が低い状況を改善するための一般的な手法と戦略、低い自己肯定感を克服し、自信と自己尊重を再構築するための具体的なステップを解説します。

自己認識と自己理解を深める 

自己肯定感が低い人は、自分の本心と向き合っていない状態にあります。自己肯定感を改善するためには、まず自分の感情を自覚し、認めることから始めなければなりません。

自己理解を深めるためには「ジャーナリング」という手法を用いることが有効です。ジャーナリングは「書く瞑想(めいそう)」とも呼ばれ、頭に浮かんだことをありのまま書き出すことで、自分を知り、不安やストレスを軽減する手法です。

「自分が何を不安に思い、どのような感情を持っているのか」を書き出し言語化することで、物事を客観的に見られます。ジャーナリングを実施する際には、自分の感情に対し「~であるべき」「正しい」「正しくない」などと評価をせず、ありのままの感情を書き出し、自覚することが重要です。

ジャーナリングは、ネガティブな感情を持っている自分を否定せず、そのまま認めることが目的です。すぐにポジティブな思考に切り替えることはできなくても、ジャーナリングを通じ自己理解を深めるうちに、物事の悪い面を良い面として捉える「リフレーミング」ができます(リフレーミングについては後述します)。

ジャーナリングやリフレーミングは通常紙に書いて行いますが、アプリやツールを使うと、時と場所を選ばず、手軽に実施できます。インターネットで「認知行動療法に基づく事項定款改善アプリ」を入手できるほか、AppStoreやGooglePlayにも「できたログ」「幸せの記録アプリ」「Myできたこと日記」「ハッピーノート」といったアプリがあります。それぞれスマートフォンで手軽にダウンロードし、活用することが可能です。

ネガティブな自己対話をポジティブに転換する

自己対話では、自分の中にあるネガティブな感情に対し、きちんと向き合い対話することにより、ポジティブな感情へと転換することが可能です。

ポジティブな感情への転換には、物事の別の面を見る「メタ認知」の能力を養います。これは一歩引いたところから物事を見て、良い面と悪い面の両方に目を向ける「リフレーミング」の手法です。リフレーミングができると、自分にとってネガティブな事象をポジティブに捉えられます。

リフレーミングの実施方法は、まず、自分の短所を10個程度書き出すこと、それから、書き出した短所を長所に言い換えて書き直すことです。

リフレーミングの目的は、短所を直すのではなく長所として活かす方法を考えることにあります。短所をポジティブな面から捉え、長所に言い換えることで、短所が状況により強みにもなることを理解できます。リフレーミングをきっかけに、気付けなかった自分の可能性に気付き、物事を多角的に捉えられるようになります。

自分の可能性に気付いた人は、次第に積極性が生まれるため、自ら行動を起こせます。

専門家からの助けを求める

自己肯定感が低い場合、専門家のサポートを得て克服することも一つの方法です。

自己肯定感が低い人にもそれぞれ個別性があるため、専門家へ相談することで、自分に最も適した解決方法を提示してもらえる可能性があります。また自己流でジャーナリングやリフレーミングを実施したものの、効果が少ない場合にも、適切な方向性を見いだせます。

自己肯定感を高める専門家のサポートには、心理カウンセリング、コーチングなどのプロフェッショナルサービスがあります。

心理カウンセリングは、自己肯定感が低い原因を探り、心の整理をしたい場合に有効です。また病的な精神状態にある場合に、治療が必要かどうかの判断をするために利用することもあります。

一方のコーチングは、本人に自身に対する気付きを与え、本人の中にある未来のなりたい姿を発見し目指すことで、自己肯定感を高める効果があります。コーチングのメリットは自分の思考を明確化できること、コーチが目標達成まで伴走サポートをしてくれることです。そのため、挑戦したいことや達成したい目標がある場合、および目指すべき目標を探している場合は、コーチングが適しています。

専門家のサポートを受ける際の注意点は、カウンセリングとコーチングでは、実施目的が異なるため、組織と本人の目的に合わせ選択することが望ましいです。また、カウンセリングは治療の位置づけのため、料金が低い傾向にありますが、コーチングは目標達成や成果を目的とするため、料金は数十万円かかります。ただし料金が高いコーチは、一般に実績が豊富で、料金に見合った成果が得られます。

自己肯定感を高める組織戦略

自己肯定感を高める組織戦略
自己肯定感を高める組織戦略

ここまで、個人が自己肯定感を高めるアプローチを紹介してきました。このあとは、組織レベルで従業員の自己肯定感を高めるための方法を解説します。

自己肯定感を向上させる環境の作り方

従業員の自己肯定感を高めるためには、組織の中で従業員の心理的安全性を確保することが重要です。

お互いを認め、尊重し合う組織では、従業員が自分の居場所と存在意義を感じられる、心理的安全性の高い状態にあります。また、役職者が部下を尊重・期待し信頼している組織では、部下が各々の持ち味を仕事に活かせます。

従業員が自己肯定感を高めるには、成功体験を積み重ねることも大事です。各々に挑戦するチャンスを与え、小さなことでも達成感を味わわせると、自己肯定感と仕事へのモチベーションが高まります。

その際の注意点として、たとえ結果が成功に終わらなくても、プロセスについて評価する「経過承認」を心がけましょう。自己肯定感の低い従業員は一般に、成果に基づく成功体験が少ないためです。

従業員が組織で心理的安全性と成功体験を得られるためには、管理者が部下の欠点ではなく長所に目を向け、評価を行うことが大切です。

これらを実施してもなお、心理的安全性の確保が困難な従業員がいる場合には、本人の特性を踏まえた異動を行うこともひとつの方法です。管理者に対しても、部下の強みや長所を引き出せる研修プログラムを適宜実施することを推奨します。

組織内に他者を承認するポジティブな組織文化を醸成することが、自己肯定感の高い組織を育てるポイントです。成果だけでなくプロセスに対する経過承認を併せて行うことで、本人の組織に対する信頼が高まります。

フィードバックと肯定的な対話の役割

心理的安全性が高く、お互いを尊重し合える組織を構築するためには、従業員に対する建設的なフィードバックが必要です。従業員の自己肯定感を高めるためのフィードバックは、次のポイントに留意して行いましょう。

  • 本人からの信頼性を確保する
  • 事実を通知する(ポジティブ・ネガティブともに)
  • 理由が腑に落ちるまで対話をする
  • 本人のふり返りを支援する
  • 今後に期待していることを伝える

フィードバックでは、本人の態度に対してではなく、実際の言動など具体的な事実に対して良かった点・改善点を腑に落ちるように伝えることで、本人の心に留まりやすくなります。

この際に評価者に求められるのは、対象の従業員に対し、肯定的な目線を持つことです。リフレーミングの手法で短所を長所に置き換えることに加え、本人の隠れた努力のプロセスを見逃さず評価することが必要です。プロセスを評価し伝えることで、今後の方向性が明確になり本人のふり返りをサポートできます。

フィードバックを実施する際には「〇〇ならできるはず」「〇〇には期待している」など、肯定的な目線から評価を行い実施しましょう。ポジティブな評価を受けたことで従業員は承認されたと感じ、自己肯定感を高めることができます。

侍の法人サービスがわかるお役立ち資料セット(会社概要・支援実績・サービスの特徴)をダウンロードする⇒資料セットを確認する

自己肯定感を高める方法

自己肯定感を高める方法
自己肯定感を高める方法

個々の従業員が自己肯定感を強化するために有効な手法として、複数の視点から行う自己対話があります。また、企業が従業員の自己肯定感の向上を図る場合には、研修の実施が有効です。

ここでは、自己肯定感を向上させるための具体的な方法と効果について解説します。

ポジティブな自己対話の効果とその方法

自己肯定感を高めるために行う自己対話において、ネガティブな自己対話をポジティブな対話に転換するために、実施すべきことを紹介します。

最初に行うことは、自己対話の内容の確認です。具体的には、自分が弱気になっているときに、どのような自己対話をしているのかを観察し、書き出す作業を行います。「自分はダメな人間だな」「才能ないな」など、心で呟いた言葉を収集するのが最初のステップです。

次に、収集した言葉から、自分がどのようなシチュエーションで、どのように感じたのかをチェックします。このプロセスにより、ネガティブな自己対話を行いやすいシチュエーションを把握できます。

その後、ネガティブな自己対話の原因となった事象を、ポジティブに捉えられるような質問を用意します。例えば、仕事の失敗を指摘され、辛いときには「そこから何が学べるのか?」と自分に問いかけます。また、損な役回りの仕事を任された際に「この仕事をする意義は何か?どうしたら有意義に取り組めるのか?」と問いかけることもその一例です。

辛く感じるシチュエーションに対し、建設的な問いを繰り返すことで、ネガティブな感情に支配されなくなります。

さらに対人関係の問題においても、こうした視点を変える質問を使う手法は有効です。例えば相手に対し「最低だ」と憤る気持ちを「どうしてあのような酷い言動をしたのか?」と置き換えてみます。それにより相手の不快な態度の原因や背景に思い至り、逆に相手に対して配慮をするなど、冷静な手段で状況を改善できる可能性が高まるのです。

このように、視点を変えて自分に問いかけるトレーニングを繰り返すことで、従業員の自己肯定感を改善することが可能です。

社員の自己肯定感を高めるプログラムやトレーニング

従業員の自己肯定感を向上させるための有効なトレーニング方法として、自己対話が有効であることは前に解説しました。自己対話にはほかにも複数のアプローチ法があり、個人の置かれている状況に合わせて実施することで効果が高まります。

自己対話の手法のひとつに、質問を繰り返し本心の深掘りをする方法があります。自分へ問いかける手順は次のとおりです。

  • 質問① なぜそう感じるのか?  
  • 質問② 本当はどうしたかったのか?本当はどう思っていたのか?
  • 質問③ それで本当はどうしたいのか?

ネガティブな感情を抱く事象に対し、①で「なぜそのように思うのか?」と自分に問いかけ、出た答えに対してさらに「なぜ?」と理由を深堀りします。そして、②で「本当はどう思っていたのか」と自分の本心を探ります。

最後に③で「本当はどうしたいのか?」「問題を解決するには何をすればいいか?」と、本当の解決策を模索するところまで、深掘りを繰り返すのがこの手法です。

このほかの自己対話手法としては、二人称・三人称で対話をし視点を変える方法があります。人称を変えることでも、同じ事象を異なる側面から見ることが可能です。以下は人称を変えた自己対話の例です。

  • 一人称「プレゼンの準備しなくちゃ。どうして私はまだ始めてもいないんだろう?」
  • 二人称「君、プレゼンの準備した方がいいよ。どうしてまだ始められていないのかな?」
  • 三人称「彼(彼女)、そろそろプレゼンの準備した方がいいよね。なんでまだ始めていないんだろう?」

人称を変えるだけでも視点が変わり、感情を抑え自分を冷静に見つめることができます。

こうして自己肯定感の低い人が、複数の視点から自己対話を行うトレーニングを受けることで、徐々に自分を受容でき、その後の行動に積極性を持つことができるのです。

自己肯定感を強化する研修と教育資料

組織で従業員の自己肯定感を高めるには、研修を受講する方法が最も効果的です。自己肯定感を高める一般的な研修は、次のような内容で実施されます。

  • 自己肯定感とは何か
  • 自己評価の成り立ち
  • 自己との対話の仕方
  • 自分を知る
  • 自分を大切にする
  • 自らにOKを出し自らを応援する
  • コンプレックスの捉え方
  • 他者との関係性の構築
  • 座学での学びに対するワークやロールプレイングでの実践

ただし実際には、従業員の階層や職種、目的ごとに異なるアプローチが必要なため、それぞれに特化したプログラムが設けられることが一般的です。例えばリーダーには部下のモチベーション向上や組織の活性化のために、マネジメントやコーチングなどの手法を併せて学びます。一方で若手には、人間関係の構築や積極性を育成するための研修が実施されることが多いのです。

さらにこうした研修は一定期間が経過後に、個別に進捗のフォローアップを行い、改善に向けたフィードバックを実施する必要があります。フォローアップを実施することで、従業員の3日坊主を防ぎ技能が定着するためです。

このように、企業が従業員の自己肯定感を高める研修を実施する場合には、内容やカリキュラムの個別性・カスタマイズ性が求められるのです。

侍エンジニアの「伴走型オーダーメイド研修」では、異なるスキル・目的を持った方々の自己実現を達成するために、従業員1人ひとりのスキルや課題、なりたい姿に合わせたカリキュラムをオーダーメイドで作成します。学習進捗や理解度に応じて速度調整、学習内容の追加も可能です。貴社専任のインストラクターがゴールまで伴走するため、目標達成まで導くことが可能です。

SAMURAI ENGINEER Biz | プログラミング法人研修

「自己肯定感」に関するよくある質問(FAQ)

よくある質問
よくある質問
自己肯定感をチェックする方法はありますか?

自己肯定感の測定方法としては、古典的な「Rosenbergの自尊感情尺度」をアップデートした「日本版RSES(RSES-J)」の設問を用いることが一般的です。

具体的には、次の10項目の設問に答え、スコアリングし合計点で自己肯定感を診断するものです。

  • 1. 私は、自分自身にだいたい満足している。
  • 2. 時々、自分はまったくダメだと思うことがある。
  • 3. 私にはけっこう長所があると感じている。
  • 4. 私は、他の大半の人と同じくらいに物事がこなせる。
  • 5. 私には誇れるものが大してないと感じている。
  • 6. 時々、自分は役に立たないと強く感じることがある。
  • 7. 自分は少なくとも他の人と同じくらい価値のある人間だと感じている。
  • 8. 自分のことをもう少し尊敬できたらいいと思う。
  • 9. よく、私は落ちこぼれだと思ってしまう。
  • 10. 私は、自分のことを前向きに考えている。

※設問1、3、4、7、10については「1=強くそう思わない」「2=そう思わない」「3=そう思う」「4=強くそう思う」で加点

※設問2、5、6、8、9については「4=強くそう思わない」「3=そう思わない」「2=そう思う」「1=強くそう思う」で加点

(出典:「測定方法:質問紙調査」SIMI社会的インパクト・マネジメント・イニシアチブ

自己肯定感を自己診断する方法として、ほかにもインターネットで数問の設問に答えるチェックシートなどがあるため、活用するとよいでしょう。

自己肯定感が低い人の典型的な特徴は何ですか?

自己肯定感の低い人には、一般に次の特徴があります。

  • 自分に自信がなく、自分にはできないと決めつける
  • 思考がネガティブである
  • チャレンジ精神に欠ける
  • 挫折に弱く、過去の失敗経験を長く引きずる
  • 困難から逃げ出そうとする
  • 他者と自分を比較する
  • 他人軸で考え他者からの評価を気にする

こうした特徴はしばしば組織の成長を妨げるため、改善することが求められます。

自己肯定感が低い主な原因は何ですか?

自己肯定感が低くなる原因としては、一般に次の要素が関係しているといわれます。

  • 親との関係
  • 子どもの頃の体験や過去の失敗経験
  • 学校時代の画一的な教育

自己肯定感の低下は多くの場合、こうした過去の人生におけるトラウマが原因です。

自己肯定感とは具体的に何を指すのですか?分かりやすく説明してください。

自己肯定感とは、ありのままの自分を認め、肯定できている感覚のことです。挫折や失敗、他者との比較などで揺らぐことがなく、状況に関わらず自分を尊重し、自信を持ち続けている状態を指します。

侍の法人サービスがわかるお役立ち資料セット(会社概要・支援実績・サービスの特徴)をダウンロードする⇒資料セットを確認する

まとめ

自己肯定感とは、他者に影響を受けないポジティブな自己評価と自己尊重に基づく自信です。

組織で従業員の自己肯定感を高めるためには、従業員の心理的安全性の確保と成功体験の積み重ねが必要です。

従業員の自己肯定感を高めることで、組織の活性化を図り、自社の業績を向上させることも可能です。従業員の自己肯定感を高める手法には、リフレーミングをともなう自己対話や、研修によるトレーニングがあります。ただし一人ひとりの研修効果を最大化するためには、従業員の属性に合わせた内容のカスタマイズとフォローアップを実施することが大切です。

ぜひ自社従業員の自己肯定感を向上させ、組織力アップを図る最適な方法をご検討ください。

目次