【エンジニア必見!】IoTの活用事例から見える未来の生活

今回は、雑誌や書籍でも扱われるようになったIoT(アイオーティー:Internet of Things)について説明します。

言葉は聞いたことがあっても、ピンと来ないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

それは、ひとえに「IoT」が何を指す言葉なのか、まだ定まっていないからだと私は考えています。

この記事では、

・IoTとは
・IoTの活用事例
・IoTで未来がどう変わるか
・IoTが抱える課題

についてご紹介いたします。

IoTについて知りたいエンジニアに限らず誰もが知っておくべき内容なので、ぜひご覧下さい。

目次

IoTとは

IoTが、雑誌や書籍でも扱われるようになりました。

IoTは「モノのインターネット」とも呼ばれています。

様々なモノをインターネットに接続すれば、生活が便利になると考えられ、さまざまな分野で活用され始めています。

たとえば、インターネットに接続した温度計で温度を測定し、測定値をサーバに送信することで、離れた場所の温度をスマートフォンやパソコンで確認できるようになります。

さらに、温度を確認するだけでなく、温度を時間単位で集計することで快適な空間を作るためのデータとして活用できるのです。

IoTは、1つ導入するだけで生活を革命的に改善できる技術ではなく生活を少しだけ改善するための技術と考えると良いでしょう。

いかがでしょう、ちょっと微妙で残念な気持ちになりましたか?

それでも、様々なモノをインターネットに接続することで、少しの改善が山ほど積み上げられ、社会を変えていくのだと私は信じています。

IoTとは何かIoTエンジニアに必要な知識とは何か、をもう少し知りたい方は、以下の記事でまとめていますので、あわせてご覧ください。

IoTの身近な事例

IoTは企業だけでなく、一般家庭でも多く活用されています。

家庭で使われるIoTデバイスは、「IoT家電」「スマート家電」などと呼ばれますので、聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?

「IoTとは何か分からない」という方は、身近な例から知ることで理解がしやすいと思いますよ。

では、詳しく見ていきましょう。

テレビ

テレビは、IoT家電の代表格とも呼べる家電です。最近のテレビは、テレビ単体でインターネットに繋がりスマートフォンのように操作することができます。

YouTubeやNetflixなどの動画からAmazonのショッピングなどを、テレビのリモコンを操作することで楽しむことができます。リモコンに、YouTubeやNetflixなどのアプリを起動するボタンが付いているのを見たことがある方もいるのではないでしょうか?

そのようなリモコンが付いているテレビは、IoT家電という認識をしていただければと思います。

また、

・好きなアプリのダウンロードが可能
・音声を認識し、声だけで操作ができる
・スマホからの操作も可能で、スマホで見たい動画をテレビに映し出す

のような機能もあり、最近はどんどんテレビのスマートフォン化が進んでいます。

スマートスピーカー

「OK,Google!○○して」「アレクサ、○○は?」などといった音声操作ができるスマートスピーカーは、IoT家電の火付け役とも言えます。

話しかけることで天気予報を聞いたり翻訳をしたりと、スマートフォンで検索しなくても会話するように調べ物が出来ます。値段もリーズナブルで手に入れやすいので、持っている方も多いのではないでしょうか?

またスマートスピーカーは、他のIoT家電と連携することで家電を操作することもできます。

例えば、

・照明を消す
・テレビをつける
・エアコンの温度をあげる

と言ったことが話しかけるだけで可能になります。簡単に毎日が近未来のような生活に変えられるので、人気があるIoT家電です。

スマートロック

引用元:Qrio Lock https://qrio.me/smartlock/

Qrio Lockは、スマートフォンで鍵を解施錠することが出来るIoTデバイスです。

スマートフォンを持った状態でドアに近づくだけで鍵を解施錠できるので、わざわざ鍵を探して取り出すという行為が必要なくなります。

また、ドアが締まれば自動で施錠してくれるので、鍵の閉め忘れ防止にもなりますね。他にも、Qrio HubというIoTデバイスと連携すれば、以下のようなことも可能です。

・外出先からドアを解施錠できる
・いつ、誰がドアを解施錠したかスマートフォンに通知される

家族の帰宅確認がスマートフォンで出来るので、お子様がいる家庭にも良いですね。「スマートフォン一つで外出する」というスマートな暮らしが実現できるIoTデバイスです。

日本国内の活用事例

日本国内の活用事例をいくつか紹介しましょう。

東芝スマートコミュニティセンター

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参考:http://www.toshiba.co.jp/iot/usecase/index_j.htm

参考ページは、東芝のIoT活用事例が多く掲載されていますが、ここではビル・施設に関する活用事例を紹介します。

東芝スマートコミュニティセンターでは、画像センサーを多用して人を検知しています。

検知した人数に応じて空調を自動調節したり、エレベーターホールの人数にあわせてエレベーターの稼働を自動制御したりしています。

このようなシステムの導入により、従来に比べビル全体でのCO2の削減量は54%、空調の省エネ率は夏季16%、冬季13%、照明の省エネ率は13%、それぞれ向上しました。

また、エレベーターの待ち時間は20%短縮できました。

東芝スマートコミュニティセンターの2階にある東芝未来科学館では、IoTを活用した体験型イベントが行われていることもあります。

一度お出かけになってみてはいかがでしょうか?

IoT防災監視サービス「管きょリアルタイム監視サービス」

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参考:http://www.meidensha.co.jp/products/water/prod_08/prod_08_01/index.html

明電舎が提供している「明電マンホールアンテナ」は、見た目は単なるマンホール蓋ですが、実は水位センサとガスセンサが取り付けられた優れもののマンホール蓋です。

マンホールごとに水位硫化水素ガス濃度などを計測し、サーバに蓄積します。

蓄積したデータを解析することで、大雨などによって急激に水位があがったことを検知し、早期の情報発信に活用することが期待できます。

お年寄りの元気な生活をそっとみまもる「みまもりホットライン」

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参考:http://www.mimamori.net/

象印マホービン株式会社が、通信機能が付いたiポットを販売しています。

iポットの電源を入れたり、給湯したりするたびに、内蔵されている通信機から専用サーバにデータが送信されます。

たとえば、京都のおばあちゃんがiポットの電源を入れたり、給湯したりした時間が、東京に住む家族にメールで届くというイメージです。

iポットを使えば、生活スタイルを変えず、手間を増やすことなく、離れて暮らす家族の生活を、さりげなく見守れます。

バス安全運転支援システム

IoTを活用したバス安全運転支援システムも開発され、神戸市で実証実験が行われました。

参考:https://www.isid.co.jp/news/release/2016/1222.html

運転手の呼吸脈拍バスの状態を計測し、それらと道路情報(道路の形状や勾配など)を組み合わせて分析することで、車両が危険な状態であることを検知できるシステムです。

バスの運行状況については一般にも公開されたため、渋滞などで遅れた場合も納得して待っていられたようです。

仮にバスが遅れていても、運行状況が見えるだけでかなりストレスが軽減されるのは、簡単に想像できますね。

IoTは生活を改善するための小さな切っ掛け作りをする技術ですから、非常によい取り組みだと言えるでしょう。

海外の活用事例

次に、海外での活用事例もいくつか紹介しましょう。

Streetline

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参考:https://www.streetline.com/

「空き駐車場が見つからない」

時間貸し駐車場にセンサーを取り付け、駐車場の空き状況を管理システムに収集するシステムです。

ドライバーは、駐車場の空き状況や利用料金をリアルタイムに確認できます。

また、駐車場のオーナーが、streetlineを利用するドライバーに連絡を取り、予約を受け付けることもできるようです。

日本の時間貸し駐車場では、駐車場が空いていても、駐車場オーナーは放っておくイメージがありますが、Streetlineを利用する駐車場のオーナーは営業もできるということですね。

駐車場を探してウロウロしていたら、オーナーから連絡が届くというのは、体験してみたいですね。

クリーンで地球に優しいスマートごみ箱「BigBelly Solar」

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参考:http://www.nsw-cloud.jp/cloud/service/m2m/bigbellysolar/

日本でも実証実験が始まっていますが、海外では実際に導入が進んでいます。

「ごみ箱からごみがあふれてしまった」
「煩雑なゴミ回収業務を簡略化したい」

BigBelly Solarは、そういった課題を解決するスマートごみ箱です。

ごみの蓄積状況が、リアルタイムでセンターに送信されるため、ごみ箱ごとに回収作業の要不要を適切に判断できます。

また、蓄積されたデータを解析することで、ごみがあまり溜まらない場所のごみ箱を撤去したり、ごみが溜まりやすい場所のごみ箱を増設したりするなど、ごみ箱の配置を最適化できます。

確かに、ごみがあふれたごみ箱ほど見苦しいものはありませんから、BigBelly Solarが普及することを期待したくなりますね。

Nest Learning Thermostat(ネスト ラーニングサーモスタット)

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参考:https://nest.com/thermostats/nest-learning-thermostat/overview/

Nest Leraning Thermostatは、自宅の温度を管理できるIoTデバイスです。

欧米では一般的に、Thermostat(サーモスタット:家屋全体を適温にする機器)という機器を使用して、部屋の温度を調節しています。日本のエアコンのようなイメージですね。

Thermostatの代わりに、Nest Leraning Thermostatを取り付けると、24時間部屋の温度を記録し、学習し、時間ごとに適切な温度を学習し調節してくれるそうです。

また、外出先からでも温度を調節できる優れものです。

Nest Learning Thermostatは、すでにThermostatが取り付けられている場合に使用できる機器ですから、日本国内で使えるようになるかは未知数ですが、同じようなシステムが販売されることを期待しましょう。

IoTによって未来の生活はどう変わる?

「急な大雨で危険な状態になったときは速やかに通知が届く」
「遠方にいる両親が普段どおりに生活していることがわかる」
「バスが(今以上に)安全に運行されている」
「駐車場を素早く見つけられる」
「ごみであふれたごみ箱がなくなる」
「部屋がいつも快適な温度で保たれている」

いずれも些細なストレスですので、IoTによって、未来の生活が劇的に変化するとは断言できません。

ただ、IoTを活用することで起きる小さな変化が積み重なっていき、数年後にはまったく違う生活になるという可能性は大いにあります。

ケータイやスマホが普及した今、待ち合わせの時間と場所を厳密に決める必要がなくなりました。

このような社会になることを、ケータイがなかったときに想像できた人はいたでしょうか。

気がついたら、まったく違う生活になっていた。私たちはそんな時代を生きているのです。

IoTが抱える問題とは?

人々の生活をより便利にしてくれるIoTですが、運用する上では幾つか課題も存在します。

ここでは、IoTが抱える課題について解説していきます。

セキュリティ対策

IoTは今後もさらに普及が加速していくと考えられます。

IPA(情報処理推進機構)によると、2020年には200億を超える様々な「モノ」のつながりが形成されるそうですが、「モノ」が増えるという事はその分サイバー攻撃などのセキュリティリスクが高くなる事を意味します。

また、IoT デバイスはネットワークと接続し情報やサービスが提供されていますが、「モノ」によってはプライバシー情報がやり取りされている場合もあり、企業等は適切にセキュリティ対策を強化していくことが課題になっています。

ビジネスでのIoT活用や個人でのIoTデバイスの利用が増えたこともあり、今後は個人個人のITリテラシーの強化もより一層求められていくでしょう。

ITエンジニア不足

様々な業界でIoTの活用が進んでおり、IoT開発に必要とされる知識を持ったエンジニアは、幅広い業界での活躍が期待できます。その一方で、IoT開発に必要なエンジニアの人材が不足しています。

IoT開発に限らず日本ではITエンジニアの不足が問題視されており、経済産業省の「IT 人材需給に関する調査」によると、2030年に約79万人のIT人材が不足すると予測されています。

引用:経済産業省(https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/houkokusyo.pdf)

また、IoTから取得したビッグデータを活用するためには、AIを活用できる人材が必要不可欠な為、AIを使いこなせる人材も育成していく必要があります。

こうした人材不足を背景に、国をあげた課題解決に向けた動きが見られています。

まとめ

この記事では、IoTの事例をいくつか紹介しました。

初めにも書きましたが、IoTは、導入するだけで革命的に生活を改善できるモノではなく生活を改善するための小さな切っ掛け作りをする技術と考えると良いでしょう。

だからこそ、どこにでも何にでも誰でもIoTを活用できる可能性を秘めているのだと思います。

これから、IoTを活用した事例はどんどん増えていき、少しずつ生活が変化していくでしょう。

変化をただ見守るだけになるのか、IoT関連のエンジニアとなり変化を起こす側に回るのか、どちらが楽しいでしょうか?

あなたも変化を起こす側になってみませんか?

この記事を書いた人

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