AIチャットとは?メリットやデメリット、活用事例も紹介

AIチャットってどんなものなんだろう?
AIチャットは便利って聞くけど本当?
どんな風に活用すればいいの?

AIチャットの存在を知り「使ってみたい」と興味はあるものの、実際にどんなものなのかイメージが湧かない人は多いですよね。

特徴や利用時の注意点など、詳細を知らないままAIチャットを使いはじめては「ちゃんと調べておけばよかった…」と後悔しかねません。

そこで、この記事ではAIチャットとは何なのか、その意味をメリットやデメリット・活用事例も交えて紹介します。おすすめのAIチャットサービスも紹介するので、ぜひ参考にしてください。

目次

AIチャットとは?

AIチャットとは、利用者が入力したメッセージに対して、AIが自動的に返信するツールを指す言葉です。学習したデータから、AIが質問に対する適切な回答を判断し、メッセージとして送信します。

AIチャットの主な機能はテキストを利用したユーザーとの対話ですが、種類によってはコンテンツ生成や音声認識も可能です。AIチャットボットとして、問い合わせの対応やユーザーサポートにも活用されています。

AIチャットを活用する5つのメリット

AIチャットを活用する5つのメリット

ここからは、AIチャットを活用するメリットを、5つにまとめて紹介します。

年中無休で問い合わせに対応できる

AIチャットを導入すれば年中無休でユーザーからの問い合わせ対応が可能です。

オペレーターが問い合わせに対応するケースの多くは、窓口が開いている時間が決まっています。年中無休で対応するためには、交代制でシフトを組むなどして多くのオペレーターを確保しなければなりません。

しかし、AIチャットを導入すれば、オペレーターの勤務時間を気にせず年中無休で問い合わせ対応が可能です。ユーザーは対応可能時間を気にせず問い合わせができるため、利便性が高まるでしょう。

多くの国に対してサービスを提供している場合にも、AIチャットを導入すれば、時差を気にせず問い合わせを受け付けることができます。

同時に複数の顧客に対応できる

AIチャットを活用すれば、同時に複数のユーザーへの対応が可能です。

電話やメールの場合、1人のオペレーターが同時に対応できるのは1人だけです。そのため、問い合わせが多くなると、その分ユーザーの待ち時間が長くなってしまいます。

AIチャットであれば同時に複数の顧客に対応できるため、ユーザーの待ち時間を削減できます。

顧客対応へのコストを削減できる

AIチャットの活用によって、顧客対応のコストを削減できます。

オペレーターだけで多くの問い合わせに対応する場合、その分の人数が必要です。サービスが認知され、顧客が増えれば増えるほど、必要なオペレーターの数も多くなるでしょう。

オペレーターを増やすと、その分人件費や管理の手間などのコストが発生します。

しかしAIチャットを導入した場合、AIが対応できなかった問い合わせに対応するオペレーターだけいれば問題ありません。人員を削減できるため、AIチャットの導入によってコストを削減できるのです。

顧客対応へのムラがなくなる

AIチャットの導入によって、顧客対応へのムラがなくなる点もメリットです。

人間が対応している場合、どうしても疲労や感情によって対応にムラが生じてしまうことがあります。しかし、AIは疲労や感情の影響を受けることはありません。

また、AIは過去のデータを蓄積できるため、ユーザー1人ひとりに適した応対も可能です。オペレーターがすべての顧客を覚えて個別に対応するのは不可能ですが、AIならば人間よりも適切に対応できる可能性があります。

効率的に顧客データを処理/分析できる

AIチャットを活用すると、効率的な顧客データの処理/分析が可能です。

問い合わせ対応で得られた膨大なデータを収集し、保存するだけでなく、処理や分析までできることがAIの強みです。ユーザーの行動や問い合わせ内容を分析することで、業務の改善に活用できます。

例えばAIチャットボットの「AIさくらさん」を利用すると、ユーザーの利用傾向をリアルタイムに分析可能です。

オペレーターが残した記録だけでは気付かなかった改善点が、AIによる分析で判明する可能性もあります。問い合わせを業務改善に活かしたいのであれば、AIチャットは強い味方となるでしょう。

AIチャットを活用する3つのデメリット

AIチャットを活用する3つのデメリット

メリットに続き、ここからはAIチャットのデメリットを3つにまとめて紹介します。

複雑/曖昧な質問には正確に対応できないことがある

AIチャットは、複雑な質問や曖昧な表現への対応が苦手です。

人間であれば、常識や話している雰囲気から質問者の意図を把握できますが、AIにはそれができません。そのため、人間には伝わる言い回しであっても、そのままAIに質問すると誤った回答が返ってくる場合があります。

例えば「電話できますか?」という質問は、製品に通話の機能があるのか問う意味にも、電話で問い合わせをしてよいか確認する意味にも取れます。このように複数の解釈ができる文章を使うと、AIは意味を取り違え、誤った回答をしてしまう可能性があるのです。

AIが正確に答えられない問題に対してはオペレーターが対応しなければなりません。カスタマーサポートを完全にAIに置き換えるのは難しく、ある程度はオペレーターの対応も必要です。

個人情報の漏洩リスクがある

チャットボットでユーザーの個人情報を取り扱う場合、情報漏洩のリスクがあります。

適切に情報が管理されているか、不安を感じるだけでもユーザーはAIチャットの利用を避けてしまいます。実際に漏洩が発生すれば、企業の価値が下がってしまうでしょう。

例えば、問い合わせ対応の際に住所や電話番号を要求するような運用は、できれば避けた方が無難です。

どうしても取り扱う必要がある場合には、個人情報保護のために適切な対策を講じておかなければなりません。

システムの管理/維持コストがかかる

AIチャットを利用するには、システムの管理/維持にコストがかかります。

AIは、入力されたデータを学習し、適切な回答を返します。そのため、入力するデータが質の高いものとなるように調整が必要です。

さらに、ユーザーから入力された問い合わせ内容に対して、適切な回答ができるよう調整しなければなりません。そのため、他のシステムと比べても、メンテナンスに手間やコストがかかりやすい傾向があります。

AIチャットを導入するのであれば、人件費を削減できる一方で、増えるコストがあることも知っておきましょう。

代表的なAIチャットサービス

AIチャットの特徴をおさえたところで、ここからは代表的なAIチャットサービスを6つ紹介します。

ChatGPT

ChatGPT
出典:ChatGPT

ChatGPTは、自然言語、つまり通常人間が使っているような言葉で自然な会話ができるAIチャットです。

Webサイト上でも、スマホアプリからでも利用可能で、文章の要約やアイディア出しなど、工夫次第でさまざまな活用法が考えられます。機能と言語を指定すればプログラミングも可能で、自分自身でコードが書けない人でもアプリを構築できるのです。

「GPT-3.5」のモデルであれば、無料で利用可能です。月額20ドル支払えば、公開された中で最新である「GPT-4」のモデルを利用できます。

AIチャットくん

AIチャットくんとは、LINEで使えるAIチャットボットです。メッセージを送信すると、それに対して回答メッセージが返信されます。

専用アプリもリリースされ、LINE上だけでなくアプリからも利用可能です。ChatGPTと同様、工夫次第でさまざまな使い方が考えられるでしょう。

1日5回までは、無料で利用できます。利用回数の制限を解除するためには、月額980円の支払いが必要です。

Microsoft Bing Search

Microsoft Bing Searchは、検索サイトであるBingに搭載されたAIチャットです。ユーザーからの質問に対して、Web上の検索結果を利用しながら答えてくれます。

事前に学習した内容をベースとして回答するAIの場合、学習した時点までのデータしか出力に利用されません。しかし、Microsoft Bing Searchはその場で情報を検索するため、最新の情報を利用した回答が可能です。

スマホからはアプリで利用が可能で、PCからはブラウザをMicrosoft Edgeにした場合のみ利用できます。テスト公開中のため無料で利用できますが、1トピックあたり6往復、1日合計60往復までの利用制限があります。

IBM Watson Assistant

IBM Watson Assistanは、バーチャルアシスタントを構築するためのチャットボットです。入力された言葉を理解し、あらかじめ登録された情報から回答を返すアシスタントを構築できます。

IBM Watson Assistantを使えば、プログラミングができなくてもバーチャルアシスタントの構築が可能です。さらに、構築したバーチャルアシスタントを、LINEやSlackをはじめとしたさまざまなシステムと連携できる点も魅力です。

ユーザー数1,000人、月間1万メッセージまでであれば、無料で利用できます。

Azure Bot Service

Azure Bot Serviceは、クラウドサービスのAzure上でチャットボットの作成から公開まで可能なサービスです。

シンプルにテキストベースでやり取りするAIチャットボットはもちろん、Azureが提供している他のサービスと組み合わせることで、音声認識ボットなども作成できます。SkypeやSlackなどと連携でき、使い方によっては無料での利用も可能です。

ただし、Azure Bot Serviceの利用料金は無料ですが、アプリの開発・運用に利用するAzure App Servicesの料金がかかる場合があるため注意してください。

Rasa

Rasa
出典:Rasa

Rasaは、AIチャットボットを作成するためのフレームワークです。プログラミング言語の「Python」で開発されており、自然な会話をするAIチャットボットが開発できます。

オープンソースであるため無料で利用でき、自由にカスタマイズ可能な点が魅力です。一方で、活用のためにはある程度の技術力が求められます。

AIチャットの活用がおすすめな企業/事業主の特徴3つ

AIチャットの活用がおすすめな企業/事業主の特徴3つ

なかには、AIチャットを使うべきか判断できない人もいますよね。

そこで、ここからはAIチャットの活用がおすすめな企業/事業主の特徴を、3つにまとめて紹介します。

顧客対応を重視する企業/事業主

顧客対応を重視する企業/事業主には、AIチャットの導入がおすすめです。


AIチャットなら、年中無休で顧客を待たせずにカスタマーサポートの提供が可能です。さらに、顧客対応にムラが発生することも避けられます。

1人ひとりに合わせた対応も可能なため、顧客に対して手厚くサポートできるでしょう。AIチャットがあれば、オペレーターだけでは不可能な顧客対応も実現可能です。

業務の効率化を推進したい企業/事業主

AIチャットを導入すると、業務効率化の推進につながります。必ずしも人間が実施する必要のない作業は、AIに任せ、他の仕事に力を注げます。

さまざまな使い方が考えられますが、例えば社内でよくある質問などを設定したチャットボットを作成するのもよいでしょう。

わからないことを誰かに質問すると、聞かれた人の時間を奪ってしまうことになります。しかしチャットボットを作れば、質問される人の時間を奪うことはありません。

質問する人も心理的な負担なく何度でも聞けるため、悩む時間を短縮できます。このように、チャットボットの活用によって効率化できる業務は数多くあるのです。

人件費等のコストを削減したい企業/事業主

AIチャットは、人件費等のコストを削減したい企業/事業主の方にも適しています。

AIチャットを導入すれば、カスタマーサポートのオペレーターを減らすことができます。さらに、多くの人を配置する必要がなくなれば、オフィスのスペースを削減することにもつながります。

つまりAIチャットによって、人件費だけでなくオフィス費用の削減にもつながります。ただし、AIチャットシステムの利用やメンテナンスには費用がかかるため注意してください。

AIチャットを活用する際の注意点3つ

AIチャットを活用する際の注意点3つ

最後に、AIチャット活用時の注意点を3つにまとめて紹介します。

活用前に情報の取り扱い方法を確認しておく

AIチャット活用前には、情報漏洩等のリスクを避けるため、活用するAIチャットで個人情報や機密情報などの情報がどのように使用・保管・保護されるか確認しておきましょう。

特に事業で使用する場合には、AIチャットに限らず情報の管理状態を確認しておかないと、機密情報の漏洩によって大きな損失を被る可能性があります。

実際に情報漏洩が発生し、取得するデータの範囲や保管期間を疑問視された例が、マッチングアプリ「Omiai」です。不正アクセスにより会員情報の一部が外部に漏洩、その際身分証明書の画像データを暗号化していなかったことや、退会者も含めた会員の情報を10年間保管していたことが問題視されました。

参考:婚活アプリ「Omiai」171万件情報流出の教訓、顧客データの保管期間が焦点に

AIチャットサービスの「ChatGPT」でも、情報漏洩が発生しています。ChatGPT最初の情報漏洩では、一部ユーザーのチャットタイトルや、初期メッセージが他のユーザーから閲覧可能な状態となりました。

参考:【AdGuardニュース】ChatGPTの初情報漏洩、不気味なAI監視の出現、Instagram広告が増加など

こうしたトラブルが起きることもあるため、外部から閲覧されて困る情報は、AIチャットに入力しないよう注意しましょう。

AIチャットからの回答を鵜呑みにしない

AIチャットからの回答を鵜呑みにせず、精査して活用することも重要です。

AIチャットの回答内容は100%正しいとは限りません。ですから、AIから回答が得られたからと鵜呑みにしてしまうと、認識が誤ったまま進んでしまう可能性があります。

得られた回答が本当に正しいのか、チェックしながらAIチャットを活用しましょう。

AIチャットの仕様が最新か適宜確認する

AIチャットの仕様が変更されていないか、常に最新の情報を確認しておく必要があります。

AI技術は日々進歩しています。新しい機能や改善点を把握しておくことで、より有益に活用できるでしょう。

また、機能が変化するとセキュリティやプライバシーに関する項目に影響を与える可能性もあります。常に最新のセキュリティとプライバシーの基準を満たしているか確認してください。

確認しないまま使用すると、従来の使い方では問題なかった使い方でも、何らかのトラブルが発生する可能性があります。

まとめ:メリット・デメリットを踏まえAIチャットの導入を検討しよう

今回は、AIチャットとは何なのか、その意味をメリットやデメリット・活用事例も交えて紹介しました。

AIチャットとは、ユーザーの入力したメッセージに対して、AIが自動的に返信するシステムです。活用の仕方によっては非常に便利なツールですが、情報漏洩のリスクなどデメリットもあります。

AIチャットサービスにはさまざまな種類があるため、まずは気になるものから触れてみてください。この記事を参考に、AIチャットの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

この記事を書いた人

中川 大輝のアバター 中川 大輝 メディア編集長

東京都多摩市出身。前職では都内ホテルにて設備機器のメンテナンスを経験。当時から副業として行っていたWebライティングと独学でのプログラミング学習経験を活かし、「プログラミング学習の挫折をなくすためのコンテンツ作成」を心がけています。
プライベートでは双子育児に奮闘中。将来、子どもたちが侍ブログを見て、プログラミングを学びたいと思えるメディアを作ることが目標です。
今更ながら「キングダム」にドハマリ中。

目次