仕事に不安を感じる人は5割以上?原因と対処法を徹底解説

不安を感じながら仕事する日々から抜け出したい…
仕事に不安を感じている人はどれくらいいるんだろう?

給料や待遇、職場での人間関係など、日々不安を抱えながら仕事している人は多いですよね。

楽しいことや嬉しいことがあっても、不安を感じるきっかけを根絶やしにしない限り、不安を抱く日々は変わりません。

とはいえ、どうすれば不安を感じずに働けるのか、イメージが湧かない人は多いはず。

そこで、今回は仕事に不安を感じる原因を、対処法も交えて紹介します。そもそも、どれくらいの人が仕事に不安を抱えているのか、その割合や不安を感じるメカニズムなども紹介するので、ぜひ参考にしてください。

目次

半数以上の社会人が仕事に不安を感じている

実のところ、半数以上の社会人は仕事に不安を抱えています。

厚生労働省が常勤労働者・派遣労働者を対象に実施した「労働安全衛生調査」にて、仕事で強い不安やストレスを感じている人の割合は、2019年から3年連続で50%以上だとわかりました。

年号仕事や職業生活で強い不安/ストレスを感じている割合
令和3年(2021年)53.3%
令和2年(2020年)54.2%
平成30年(2019年)58.0%

引用:厚生労働省 「労働安全衛生調査

「自分だけが仕事に対して不安を感じている」と考えている人も多いでしょう。しかし、仕事に不安を感じるのはおかしいことや珍しいことではなく、多くの人が同じ悩みを抱えているといえます。

仕事への不安を感じるメカニズム

仕事への不安は、必ず何らかのきっかけを機に生まれます。

そもそも、不安とは「明確な対象を持たない、恐れの感情」を意味する言葉です。「仕事でミスをしてしまった」といった、実際に起きた事実を「不安」とは呼びません。

例えば「プレゼンがうまくいかなかったらどうしよう」「何かミスをしてしまうのではないか」など、具体性のない漠然とした感情が不安です。

不安が発生する際には必ずきっかけがあります。例えば休みの日にスマホでスケジュールを確認したときや、職場や仕事内容を連想するものを見たときには、不安が発生しやすいでしょう。

何かのきっかけで仕事のことを思い出すと、ストレスを感じます。ストレスを感じると、脳は「逃げる」「戦う」などから最適な行動を判断するために、集中力を高めるのです。

このとき心拍数が上がり、ストレスを感じる状況から一刻も早く脱出できるよう気持ちがそわそわします。これが、不安です。

つまり、不安はストレスを感じた脳からのアラートです。常に不安が頭の中にあるというより、ちょっとしたことで不安が発生してしまう人が多いようです。

仕事に不安を感じる4つの原因

仕事に不安を感じる4つの原因

ここからは、厚生労働省の 「労働安全衛生調査(令和3年)」をもとに、仕事への不安を感じる原因を4つにまとめて紹介します。

仕事量が多すぎる

業務量の多さは、仕事に不安を感じる原因の1つです。

厚生労働省の 「労働安全衛生調査」から、正社員は契約社員や派遣労働者など非正規雇用の従業員と比べ、仕事の量に対する不安を感じる割合が多いとわかりました。

厚生労働省 「労働安全衛生調査(令和3年)」
出典:厚生労働省 「労働安全衛生調査(令和3年)

仕事量が多いと「この仕事量でこの先やっていけるのか」「体を壊してしまわないか」などの不安が生じやすくなります。また、スキルや知識不足を感じて、今後が不安だと考えることもあるでしょう。

残業や休日出勤が発生する状況では、自分の趣味や健康・家族・友人との付き合いなどを犠牲にしなければならない場合もあります。仕事とプライベートの両立が難しくなると、より不安を感じやすくなるのです。

失敗やミスへの恐れ

仕事上の失敗やミスに対する恐れも、不安を感じる原因のひとつです。仕事でミスをしたことがないという人はいないでしょう。

他の雇用形態に比べ、契約社員として働いている人は失敗やミスに対し強く不安を感じるのが明らかになっています。

厚生労働省 「労働安全衛生調査(令和3年)」
出典:厚生労働省 「労働安全衛生調査(令和3年)

「ミスをしたら怒られるのではないか」「評価が下がるのではないか」と不安になってしまう人は多くいます。不安が強い人の場合「大きなミスをして訴えられるのではないか」と考えてしまうこともあるようです。

ミスをして怒られてしまったり、評価が下がってしまったりすると職場での働きやすさにも影響する可能性があります。

そのため、失敗やミスに対して不安を感じる人は多いようです。

クビ・解雇への恐れ

クビや解雇で仕事を失ってしまうことへの恐れも、不安の原因となります。正社員や契約社員に比べ、派遣労働者はクビや解雇に対しての不安を感じる人の割合が多いことがわかりました。

厚生労働省 「労働安全衛生調査(令和3年)」
出典:厚生労働省 「労働安全衛生調査(令和3年)

例えば企業の業績不振やリストラの噂、経済状況の悪化などがあると「クビになってしまうのでは」「契約を切られてしまうのでは」といった不安が発生しやすくなるでしょう。「解雇されたらどのように生活していけばいいのか」「次の仕事は見つかるのか」といった範囲まで、不安が拡大してしまうのも珍しいことではありません。

雇用や経済の状況は自分でコントロールできないため「起こってもいないことに不安にならないほうがよい」といったアドバイスをされることもあります。実際に、取り越し苦労になることも多いものです。

しかし、万が一不安が現実化してしまった場合にはダメージが大きいだけに、ちょっとした噂や環境の変化でも不安になりやすいようです。

職場の人間関係が良好ではない

職場の人間関係が良好ではないと、不安の原因となります。他の雇用形態に比べ、パートタイム労働者は人間関係に不安を感じる人の割合が多いことがわかりました。

厚生労働省 「労働安全衛生調査(令和3年)」
出典:厚生労働省 「労働安全衛生調査(令和3年)

人間関係が良好でないと「上司や同僚とのコミュニケーションで嫌な思いをするのではないか」といった不安が生じやすくなります。自分が直接被害を受けていなくても、職場でのいじめや嫌がらせの場面に遭遇すると、不安が増すケースもあるでしょう。

「職場に行きたくない」という思いが、仕事に対する不安に変わってしまうこともあります。

仕事への不安を解消する方法

仕事への不安を解消する方法

ここからは仕事への不安を解消する方法を、4つの手順にまとめて紹介します。

ここからは、仕事への不安を解消する方法を詳しく解説します。

1.不安の「きっかけ」を特定する

まずは、不安のきっかけを特定しましょう。

例えば

  • 休日に仕事関連のメッセージが届くと不安になる
  • リストラのニュースを見るとそわそわする

など、きっかけが特定できれば不安に感じるシチュエーションを避けられます。

なお、きっかけの特定には不安を感じた際に「何に不安を感じたか」をメモしておくのが効果的です。人間は忘れやすい生き物です。「覚えておこう」という意思だけでは忘れてしまうことも多いため、形にして残しておきましょう。

メモができないときには、いったん覚えておくだけでも問題ありません。ただし、そのまま頭に残しておくだけでなく、できる限り早くメモなどの形に残しましょう。

きっかけを忘れてしまったことで対処できず、また同じような場面で不安を生んでしまうこともあります。きっかけを特定しメモしておけば、不安の頻度を減らせます。

できるだけ早く不安を解消するためにも、きっかけのメモは欠かせません。

2.「きっかけを避ける」方法を洗い出す

不安になるきっかけがわかったら、次にきっかけを避ける方法を洗い出しましょう。ひとつだけでなく複数の方法を考えることで、より自分にあった方法を選べます

洗い出した不安になるきっかけを避ける方法が実現可能かを考える必要はありません。とにかく思いつくものを並べてみましょう。

さらに、思いついたものをジャンル別に分類します。例えば、仕事に関連する情報を見ると不安になってしまう場合を考えてみましょう。

仕事に関連する情報を見ない方法として、次のようなやり方があります。

  • 広告を避ける
  • 電話帳アプリを開かない
  • 通知を見ない

ジャンルに分類するなら広告の場合は「外出」や「テレビ」のジャンルに、電話帳や通知は「スマホ」のジャンルに分類できるでしょう。分類したジャンルを見て、さらにできることがないか考えると、より多くの方法が見つかります。

多くの方法を探しておくことで、より自分に合ったきっかけの避け方が見つかる点が、洗い出しを行うメリットです。

3.実行可能な方法に絞り込む

より多くの情報を洗い出したら、その中から実行可能な方法に絞り込みます。いくらよいアイディアでも、実行できなければ意味がありません。

ひとつずつの方法を実行しているシーンをイメージし、不都合がないか考えてみましょう。

例えばスマホの電源を切る方法は、広告を見ないためには有効です。しかし電源を切ってしまうと、家族などからの緊急の連絡も受けられなくなってしまう可能性があります。

スマホ以外に連絡手段がない場合、ずっと電源を切ったまま過ごすのは実行可能な方法とはいえません。

不安を避けるために、転職が有効な場合もあります。転職にはさまざまな手間もかかり大変ですが、不可能なケースは少ないでしょう。

実行可能な方法に絞り込むときには「大変だから避ける」のではなく、実行したときに不都合があるかどうかを基準に考えてください。実行可能な方法に絞り込むことで、具体的に実践を計画できます。

4.2ヶ月は決めた方法を実行し続ける

不安を避ける方法を決めたら、その方法を2ヶ月は継続しましょう。

方法によっては、続けるためにストレスがかかってしまうこともあります。例えば「寝る前はSNSを見ない」といった方法の場合、最初は意思の力が必要です。

しかしそれでも続けていれば、2ヶ月程度で行動が習慣化します。途中で辞めてしまうと、不安が生じるシチュエーションが減ることはありません。

一度習慣化してしまえば頑張らなくても行動できるようになるため、最初の2ヶ月だけは意思の力で続けられるよう頑張ってみてください。

仕事への不安で陥る4つの病

仕事への不安で陥る4つの病

仕事への不安を放置したままでは、精神的な病が発症する恐れがあります。一度病にかかれば通院や治療で、休職や退職を迫られるかもしれません。

そこで、ここからは仕事への不安で陥る病を4つにまとめて紹介します。

パニック障害

パニック障害は、不安障害の一種です。体には異常がないにもかかわらず、動悸や呼吸困難、めまいなどの発作があらわれます。

何度も発作を繰り返すと「またいつ発作が起きるかわからない」と不安を感じてしまうこともあります。また、前回発作を起こした場所が怖くなり、近付けなくなってしまうのも珍しいことではありません。

会議室や満員電車で発作が出るようになってしまうと、会議への参加や通勤が難しくなり、仕事に支障が出てしまうこともあります。パニック障害は、治療せず放置すれば症状がひどくなり、日常生活に支障が出る病気です。

参考:公益社団法人 富山県医師会
参考:一般社団法人 日本女性心身医学会

睡眠障害

睡眠障害とは、睡眠に関連する病気の総称です。不眠症や過眠症をはじめとした、さまざまな病気があります。

夜きちんと眠れなかったり、眠っているはずなのに日中に強い眠気が出てしまう場合、仕事にも支障をきたします。睡眠不足によるパフォーマンスの低下やミスの増加などで、より仕事への不安が強くなってしまうこともあるでしょう。

不安で夜眠れないと感じた場合には、早めに医療機関を受診するのがおすすめです。

参考:厚生労働省 e-ヘルスネット
参考:医療法人社団 心翠会

うつ病

うつ病とは、脳のエネルギーが欠乏することで発生する病気です。

憂うつでやる気が出ないといった精神面の症状の他に、食欲不振などの身体的な症状も現れます。一時的な気分の落ち込みであれば好きなことや楽しいことをすれば気持ちは回復しますが、うつ病になると好きなことすら楽しいと感じられなくなってしまうケースも珍しくありません。

軽度のうちは仕事ができる人もいますが、無理をすると集中力や思考力の低下によるミスが増えるなどの悪影響が出る可能性があります。重症化すると起き上がれなくなることもあり、再発も多い病気です。

参考:厚生労働省 こころの耳
参考:あらたまこころのクリニック

適応障害

適応障害とは、日常の環境やできごとに対して上手に対処できず、生活に支障が出る病気です。

気分の落ち込みや食欲不振など、症状はうつ病とよく似ていますが、適応障害の場合は原因が明確です。適応障害であれば、ストレスの原因を排除すれば比較的短期間で回復します。

病気の症状として焦りや緊張が生じる場合があるほか、無断欠勤などの行動で仕事に支障が出てしまうケースもあります。うつ病と比べると薬が効きにくく、回復のためにはできるだけストレスの少ない環境での生活が必要です。

参考:医療法人池澤クリニック
参考:そばにクリニック大井町

まとめ:できることから始めよう

今回は、仕事に不安を感じる理由や対処法を紹介しました。

仕事に対して不安を抱える社会人は全体の半数を超えています。仕事への不安を感じるのは、決して珍しいことではありません。

仕事の量が多すぎる、人間関係が良好でないなど、仕事に対する不安の原因はさまざまです。不安には必ずきっかけがあるため、きっかけを避けて不安を解消しましょう。

不安を放置すると、さまざまな病気の原因にもなります。この記事を参考に、不安への対処法を考えてみてください。

この記事を書いた人

中川 大輝のアバター 中川 大輝 メディア編集長

東京都多摩市出身。前職では都内ホテルにて設備機器のメンテナンスを経験。当時から副業として行っていたWebライティングと独学でのプログラミング学習経験を活かし、「プログラミング学習の挫折をなくすためのコンテンツ作成」を心がけています。
プライベートでは双子育児に奮闘中。将来、子どもたちが侍ブログを見て、プログラミングを学びたいと思えるメディアを作ることが目標です。
今更ながら「キングダム」にドハマリ中。

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